民主党の処分問題はもはや政治問題だ

 この問題についてはもう一度おさらいをしておきましょう。
 先日の衆議院本会議において消費税増税法案に対して民主党の50人以上の議員が党議拘束に造反して反対票を投じ、また10数人の議員が採決から逃げて棄権したコトに対する、民主党執行部の処分問題です。
 
 これに対し自民党谷垣総裁は「処分をしないと参議院での採決には応じられない」と言っていますが、これに対し「他党のコトは関係ないだろ」とか「結局政局か」みたいな批判が飛び出しています。
 正直やえはこういうコトを言う人って、ちょっときつい言い方になりますが、社会に出たコトが無いのかなって思っちゃいます。
 十四歳のやえが言うんですから散々です。
 だって、他人の党に向かって「自分のところはまとめますから、なんとか協力をお願いします」って言っておいて、でも造反しても処分しないよんなんて言われたら、じゃああの時の約束はどうなるんだってなるのは普通すぎるお話じゃないですか。
 つまり約束をした時点で、これはもう自分だけの問題ではなく、約束をした全ての人の問題であり、そしてその約束をした舞台全体のお話なのです。
 
 一般社会のコトとして置き換えてみてください。
 例えばA社とB社が合同出資してイベントを開催するコトになりました。
 もともと両社ともこういうイベントがやりたいと思ってはいましたが、どちらも単独では色々と難しいイベントでした。
 特にA社はもっと会社の規模が大きくなってからすべきだという意見が根強くあった会社です。
 そんな時B社がA社に持ちかけました。
 「どうですかA社さん。ウチと手を組んでイベントやりませんか」
 
 A社とB社は本来ライバル会社です。
 社内にはお互いに「あそこと手を組むなんてまっぴらごめんだ」と言う社員もいるぐらいです。
 でもそれを承知でB社はA社に頼み込ました。
 「どうかA社さん、お願いします。とりあえず準備委員会を作って話を詰めましょう。ウチも必ず社内をまとめますから、A社さんの方もお願いします。我々の責任でやらせていただきますから」
 最初A社は断り続けました。
 社内的にも、会社の規模的にも、時期尚早と判断しているからです。
 でもB社はあの手この手で交渉をしてきます。
 時に、そのイベントを望むお客さんさえ使って「ほら、お客様もこんなに望んでいるんですよ。準備委員会だけでも作りませんか。とにかく話し合いをしましょうよ」と煽りもしました。
 そしてそれに、そうだそうだと言う客も多かったのも事実です。
 
 こういう背景に、ついにA社は決断を下します。
 「そこまで言うならやりましょう。もちろんやるからにはこちらからも条件を出しますし、出資金も同額です。1000万ずつというコトにしましょう。当然そちらの社内もまとめてくださいよ。こっちも万全を尽くしますから」
 このA社の決断で、ついにイベントが開催されるコトがほぼ決まりました。
 あとは様々な手続きを踏むだけです。
 
 A社は早速、社内に対してプレゼンを始めます。
 いくら社長と言えども社長の決断だけでは会社は動きませんから、キチンと社内をまとめ方向性を定めなければなりません。
 その間においては反対意見もありましたが、それをなんとか社長が議論し説明をして収めて、A社はさあやるぞと1つにまとまるコトが出来ました。
 またB社との折衝も進めて条件も詰め、出資金の話も正式の合意して、万全の態勢を整えました。
 あとはお客様に一般告知するだけです。
 
 そんな時、突然B社がこんなコトを言い出しました。
 「1000万円ずつの出資という約束でしたが、ウチは社内に反対者が多くて結局500万しか出せなくなりました、まぁそれでもイベント出来るんですからいいじゃないですか」
 
 やえだったら怒りますよ。 
 特にA社の社員だったらなおさらですし、そうでなくても客の立場だって怒りますよ。
 こんな状況に対して「そんなのB社の事情なんだから他人が口を出すな」って言えますか?
 絶対に言えませんよ。
 そんなの常識外ですよ。
 是非協力をお願いしますって言ってきた者が、いざやってみると出来ませんでしたって言い出して、しかしそんなのは相手に対する責任は発生しないなんて言ってしまうのは、もはや日本人としての常識からは完全に外れているとしか言いようがありません。
 
 A社がB社に対して「なんとかしろ」って言うのは当然ですよ。
 これに対して「1500万円でもイベントは開催できるんだからやれ」って言ってしまうのは、あまりにも無責任すぎます。
 なんでB社から持ちかけられた話なのに、A社の方が多くのリスクを負わなければならないのでしょうか。
 本来なら会社の規模や持ちかけてきた経緯を考えればA社とB社のリスクは1:2でもおかしくない、500万円と1000万円でもおかしくないのに、それを公平でいいと言う方がもはや大きなA社の決断だったのです。
 それなのにB社が一方的に約束を破っておいて、それに怒るなと言ってしまうのはなんなのでしょうか。
 A社が「約束を守れないならこっちはもう手を引く」と言っても、完全に正論です。
 まだこのイベントは正式に発表したワケではありませんので、お客さんに対する背信にもなりませんし、そもそも背信になるならその原因と責任はどう考えてもB社です。
 この状態でお客の立場からもしA社を責めるのであれば、ちょっとその人は日本人の常識をお持ちでない方だと言わざるを得ません。
 どう考えても責められるべきはB社ですし、なんとかする責任はB社にあって、それをA社に要求するというのはちょっとまともに判断力を持っている人ですかと心配になるレベルと言わざるを得ません。
 
 いまの民主党の処分問題は、もはや政治問題なんですよ。
 民主党の内部だけの問題ではありません。
 もしこれを民主党だけの問題として矮小化するのであれば、それは完全に誤魔化しであり、むしろ民主党の太鼓持ちをしようという意図しかあり得ないと断ずるしかないでしょう。
 
 約束を守れなかったのであれば、自民党は手を引いて当然です。
 もし処分しなくてもいいってコトを許すのであれば、それはサル芝居をはじめから仕掛けていたコトにしかなりません。
 口だけで約束して、実際ははじめからお金なんて用意する気はなかった、投票するつもりはなかったと言われても仕方ありません。
 じゃあ自民党だって谷垣総裁だけが賛成票を投じ、あとの議員さんは全員反対票を投じていてもそれでよかったと言うのですか?
 処分問題は自民党には関係ないっていう人は、そういうコトを言ってるんですよ。
 本当にそれを許すというのであれば、ぜひ自民党には参議院の採決の時には、約束だけして反対票を投じてほしいです。
 この場合少なくとも「処分問題は関係ない」と言った人は、この行為を一切批判出来ませんからね。
 よくよく覚えておいてください。
 
 これはいつも言ってますが、政治は人間関係です。
 人間のために政治はあるのですから、人間関係があるからこそ政治はあるのですから、政治でもっとも大切なのは人間関係なのです。
 そして人間関係で一番大切なのは信頼関係ですよね。
 信頼関係がなければ政治なんて出来ないんですよ。
 有権者と立候補者、支持者と政治家、国民と国会議員、この関係も信頼関係ですよね。
 そして当然議員同士でも政党間でも信頼関係があってこそなのです。
 ここが崩れれば政治なんて成立しないのです。
 
 もし民主党が本当に処分をしない、または処分とは言えない適当な対応でお茶を濁すのであれば、もともと信用出来ない政党ではありますが、これで完全に「約束を守れない政党」だとハッキリしますので、もはやなにをいっても信用出来ないと言うしかありません。
 存在しているコト自体が害悪と言うしかないでしょう。
 この問題はそれほど大きな広い意味を持っているのです。