TPPで自民党はウソは付いていないが?

 コメントレスの前にちょっとひとこと言わせてください。
 
 これは本当に悪質なデマだと思うのですが、ネットの一部では「自民党は選挙前にはTPPは参加しないと言ってたのにウソを付いた、裏切った」という言い方をしているところを時たま見かけます。
 2chのまとめブログとか、こういうレスばかり集めているようなところもあったりしています。
 でもやえは寡聞にして自民党が「TPPには絶対参加しない」なんて言ってたなんて聞いたコトがありません。
 
 自民党がこの前の衆議院選挙に際して出していた政権公約(Jファイル)には、このように書かれています(PDFファィル)。
 

 TPPに関しては、政府が国民の知らないところで、交渉参加の条件に関する安易な妥協を繰り返さぬよう、わが党として判断基準を政府に示しています。
 ①政府が、「聖域なき関税撤廃」を前提にする限り、交渉参加に反対する。
 ②自由貿易の理念に反する自動車等の工業製品の数値目標は受け入れない。
 ③国民皆保険制度を守る。
 ④食の安全安心の基準を守る。
 ⑤国の主権を損なうようなISD条項※は合意しない。
 ⑥政府調達・金融サービス等は、わが国の特性を踏まえる。
 
※ISD条項「投資家対国家間の紛争解決条項」(Investor State Dispute Settlement)の略語。主に自由貿易協定(FTA)を結んだ国同士において、多国間における企業と政府との賠償を求める紛争の方法を定めた条項。

 
 特に①です。
 「「聖域なき関税撤廃」を前提にする限り、交渉参加に反対する」というのは、選挙前から先日の安倍総理の交渉参加表明まで、散々マスコミで報道されていたコトです。
 よもやTPPに興味のある方でこのフレーズを聞いたコトがない人はいないと思います。
 自民党は先の選挙で堂々とTPPについても言及して戦いました。
 それがこれです。
 そして、この①を読んだとしても、テレビや新聞で見たとしても、この部分をキチンと理解すれば自民党はひとことも「TPPには参加しない」なんて言ってないコトぐらい簡単に分かるコトでしょう。
 逆にこの部分をどう読んだらそうなるのか、教えてもらいたいぐらいです。
 
 時にマスコミなんかが「「聖域なき関税撤廃」を前提にする限り、交渉参加に反対する」の部分について「分かりにくい」とか言ってましたが、ちょっとそれは最低限の日本語能力を疑うとしか言いようがないと思います。
 別に難しくないじゃないですか。
 「どの品目も関税ゼロって言うなら交渉自体にすら参加しません」って言ってるだけですよ。
 こんなの日本で義務教育を終えた日本人ならだれでも理解出来る日本語です。
 むしろこんなコトすら分からない程度の日本語能力でしたら、政治に口出しするのはやめてほしいぐらいです。
 マスコミは自民党叩きの一貫としてそんなコトを言っていたのでしょうけど、自民党ははじめからいままで単純明快にTPPについては明言しているのです。
 
 聖域が無いのであれば、交渉の段階で参加しない。
 でも聖域が無いのが前提じゃなければ、交渉は参加する。
 これは普通の日本語能力を持っていれば、選挙前から、つまり自民党が野党の時から理解出来ていたコトです。
 誰も騙していません、ウソも付いていません、普通の人なら普通に理解出来るコトです。
 そして自民党は、そういう公約を掲げた上で与党になるだけの議席を与えられたのです。
 誰でもない「国民自身に」自民党は与党の席を与えられたのです。
 国民自身が自民党に与えたのです。
 この事実を忘れてはいけません。
 
 前回TPPについては「デマや流言がけっこう多い」と言いましたが、これは最たる例でしょう。
 この自民党の公約、逆に言えば「「聖域なき関税撤廃」を前提にしない」のであれば交渉参加するっていう意味であり、それを選挙の前に公約として誰でも見れる場に公開し、パンフレットとして配っていたのですから、今回の安倍総理の行動は、まったくもって理にかなっている、誰も裏切っていないしウソもついていない「宣言通りの行動」ですよね。
 ですから、これを「ウソを付いた」と言ってしまうのは、それこそウソでありデマだと言うしかありません。
 
 これから安倍政権がTPPに関してどう交渉していくかは分かりませんし、それは注視していかなければならないところですが、繰り返しますがデマだけはいけません。
 マスコミやネットや他人の言葉に惑わされないようにしなければならないでしょう。