タイトル捏造記事だと指摘するタイトル捏造記事
シリーズの途中ですが、どうしても気になる記事を見つけてしまいましたモノで、今日はそちらの指摘をさせていただきます。
細野豪志民主党幹事長の「訳がわからない」発言は「表現の自由」を指摘したもの【党幹部の動き】
民主党の細野豪志幹事長は、19日、インターネットの生番組において行われたアンケートで、自民党の支持率が73.9%だったことについて、「訳がわからない」と述べた。
番組は、「ニコニコ生放送」の中にある民主党チャンネルで「【ネット選挙解禁へ】民主党、ネットと向き合う夏!」と題して、細野豪志幹事長と、ドワンゴ社員の2人が出演。民主党のネット選挙への取り組みについて、トークが展開された。
番組では、開始から6分あたりで「あなたの支持政党はどこですか」というアンケートを実施。視聴ユーザーに対して「1.民主党」「2.民主党以外」「3.支持政党無し」の3択で答えてもらったところ、「1.民主党…4.5%」「2.民主党以外…78.0%」「3.支持政党無し…17.5%」という結果が出た。
民主党以外を選んだ方が多かったため、さらに、「1.自民党」「2.自民党以外」という選択肢で回答をしてもらったところ、「1.自民党…73.9%」「2.自民党以外…26.1%」という結果となった。
これに対して、細野氏は、「訳がわからない」と発言する。
「いきなりかましますけどね、わたしねー、これがわけわからないんですけれどもね、だって、最も、表現の自由を規制しようとしている政党でしょ?
まず憲法。(自民党の改憲案では)憲法21条で、公益及び、公の秩序のために、制限できると書いてあるわけですよね。こんな憲法、ネットの人認めるんですかね。私ね、そこは、考えたほうがいいと思いますよ。我々は、言論の自由を守ります。」
(ニコニコ生放送「【ネット選挙解禁へ】民主党、ネットと向き合う夏!」より。 2013/06/19)
まずこの記事のタイトルを読んでいただきたいのですが、もう一度引用すると
細野豪志民主党幹事長の「訳がわからない」発言は「表現の自由」を指摘したもの
です。
これって普通に読んだら、「本当は細野幹事長は、表現の自由に対して「訳がわからない」と言ったのに、他のメディアでは別の場所を指して言っている、つまり捏造している」という意味に捉えられますよね。
少なくともやえはそう読み取りました。
そして他のメディアとは、多分これらのコトでしょう。
細野氏、ネット番組で激怒 支持低迷に「訳が分からない!」
民主党の細野豪志幹事長は19日夜、インターネットの生番組に出演し、番組アンケートで同党の支持率4.5%に対し自民党が73.9%だったことについて「訳が分からない。(自民党は)最も表現の自由を規制しようとしている政党なのに」と怒りをぶちまけた。
細野氏は自民党の憲法改正草案が表現の自由を規制していると指摘した上で「こんな憲法をネットの人は認めるのか。皆さん、考えた方がいい」と怒りの矛先をネットユーザーに向けていた。
こちらの記事のタイトルは
細野氏、ネット番組で激怒 支持低迷に「訳が分からない!」
ですから、確かに同じ発言なのにタイトルだけで両者を比較するとかなり印象の違う記事になります。
そして産経の記事のタイトルを普通に読めば、「細野幹事長の発言は「支持率低迷」に対しての「訳が分からない!」である」という風に読み取れるワケですから、つまり最初の記事が言いたいコトは、「事実はそうではない。こっちが事実だ」と言いたいコトになりますよね。
特に最初に引用した方の記事は後追い記事になりますから、つまり後から引用した産経新聞などの記事のカウンターとしての記事であるワケで、前者の記事は確信を持って「違う」と言っていると読み取れるワケです。
さてでは、実際はどうなのでしょうか。
前者の記事はカウンターとしてですから、記事中に詳しく発言を文字に書き起こして検証しています。
もう一度その部分を引用してみましょう。
「いきなりかましますけどね、わたしねー、これがわけわからないんですけれどもね、だって、最も、表現の自由を規制しようとしている政党でしょ?
まず憲法。(自民党の改憲案では)憲法21条で、公益及び、公の秩序のために、制限できると書いてあるわけですよね。こんな憲法、ネットの人認めるんですかね。私ね、そこは、考えたほうがいいと思いますよ。我々は、言論の自由を守ります。」
ん?
これ、細野幹事長、やっぱり、「支持率」に対して「わけわからないんですけれどもね」って言ってますよね?
構図を分かりやすく書けばこうです。
-------------------------
・ネットの人は表現の自由規制にうるさい
↓
・自民党は表現の自由を規制しようとしている
↓
・自民党の支持率が高い
↓
・「わけわからない」
-------------------------
ですから、「わけわからない」は完全に「支持率」に向かっての発言ですよね。
むしろこれを「「表現の自由」を指摘したもの」と表現する方が不自然ではないのでしょうか。
もっと言えば、
-------------------------
・ネットの人は表現の自由規制にうるさい
↓
・自民党は表現の自由を規制しようとしている
↓
・これを期に自民党の支持率が下がり始める
-------------------------
であれば、「わけわからない」ではないですよね。
むしろ「わけわかる」状態でしょう。
これだけでも十分に「わけわからない」という言葉は「支持率」にかかっているというコトが分かると思います。
さらに前者の記事はこう書いています。
細野氏がネットユーザーに言いたかったことは、アベノミクスや外国人参政権などの問題で自民党を支持している人が多いようだけれども、自分が活動しようとしている分野に規制をかけようとしているのが自民党政権ではないのかという点であろう。それなのに、支持率が多いというのに対して「訳がわからない」。
実はこの記事も、細野幹事長の発言本文の構図はちゃんと掴んでいるんですね。
この分析はその通りだと思います。
「自分が活動しようとしている分野(表現活動)」→「規制をかけようとしているのが自民党政権」→「それなのに」→「支持率が多い」→「訳がわからない」
まったくやえの読み取った内容と同じです。
はい。
ですからつまりやっぱり、「訳がわからない」のは「支持率が多い」という点に対してですよね?
なのになぜあんなタイトルになってしまっているのでしょうか。
もし、この文脈を「自民党の動きがわけがわからない」と捉えるのであれば、それは日本語読解能力に問題があるとしか言いようがありません。
細野幹事長は「だって、最も、表現の自由を規制しようとしている政党でしょ?」と言っているのですから、政党の評価に対しての言及であり、決して「規制の動きそのもの」に言及しているワケではありません。
日本語的に「規制しようとしている政党でしょ?」と言う場合のその一文の主語というか主体は「政党」になりますから、文章の意味合いは「政党の評価がわけわからない」となります。
もし動きそのものへの評価を問う言い方をするのであれば、せいぜい「規制をかけようとしているんでしょ、わけがわからない政党だよ」っていう言い方になるでしょう。
この場合の「政党」は主体ではなく、規制という動きにかかってくる名詞の役割しか負っていないワケです。
でも実際はそういう言い方ではなく、「規制しようとしている政党でしょ?」って言っているのですから、この時点ではもう「細野幹事長の頭には「支持率」に対する疑問が浮かんだ」と捉えるしか無いのです。
そもそも本当に「表現の自由規制の動き」だけに言及しているのであれば、支持率調査は一切無関係というコトになります。
規制の動きと支持率は関係ないのですから、規制の動き自体に意義を唱えるのであれば、支持率調査は関係がないですよね。
でも細野氏の発言は、支持率調査の発表直後のモノであり、自身も「これが(わけわからない)」と支持率の結果に対して明確に代名詞を作って支持率を指しているのですから、もはやこれだけでも十分に「わけわからない」は「支持率」に対してのモノだと言えてしまうのです。
いや、言うしかないのです。
よってこれを「細野豪志民主党幹事長の「訳がわからない」発言は「表現の自由」を指摘したもの」と表現するのは、かなり無理があります。
この一文自体が日本語的にちょっと意味不明になっている気もするのですが、一応好意的に解釈したとしてもそれは、「自民党の表現の自由規制に対して訳が分からないと細野幹事長が発言した」という意味になろうかと思います。
しかし内容からすれば、このまとめ方は適切ではありませんよね。
日本語として不適切、もし国語の「この文章を○○文字いないにまとめなさい」という問題があれば×を付けるしかない回答だと言わざるを得ません。
このタイトルは内容を正確には伝えていないのです。
悪質と言わざるを得ないのが、前者の記事は産経などの記事を受けてのカウンターとしての記事であるワケですから、意味としては「お前の記事は捏造だ」と指摘するのが主目的のひとつである記事だというコトです。
でもその指摘は、むしろその指摘の方が捏造になってしまっているので、これはちょっとどうですかと言うしかありません。
なぜこんなコトになってしまったのか、記者が意図的に内容を誤魔化しているのか、何も考えずにタイトルを付けてしまったのかは分かりませんが、残念ながら「タイトル捏造だと指摘するタイトル捏造」になってしまっているのです。
ちょっとこれは、意図的でなかったとしても悪質と言わざるを得ないのです。
マスコミによるタイトルでの印象操作はよくあるコトで、それは当サイトでもよく指摘しているところですが、さらにその反対もあり得るというコトも気をつけなければならないですね。
「ネットは必ず真実」なんてあり得ないのですから。
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