デモの本質
これ、当サイトにおいてはかなり何度も取り上げているコトなのですが、自民党の石破幹事長がデモについて一石を投じる発言をしたので、改めて取り上げておきたいと思います。
石破さんの発言はこちらです。
今も議員会館の外では「特定機密保護法絶対阻止!」を叫ぶ大音量が鳴り響いています。いかなる勢力なのか知る由もありませんが、左右どのような主張であっても、ただひたすら己の主張を絶叫し、多くの人々の静穏を妨げるような行為は決して世論の共感を呼ぶことはないでしょう。
主義主張を実現したければ、民主主義に従って理解者を一人でも増やし、支持の輪を広げるべきなのであって、単なる絶叫戦術はテロ行為とその本質においてあまり変わらないように思われます。
これ。まさにその通りなんですよね。
やえも何度も言ってますように、デモの本質はテロルです。
なぜならデモは、「少数者がその場にいる人数や怒号による示威行為によって、選挙の結果としての議員の行動を覆そうとしている行為」なのですから、もっと簡単に言えば「少数が暴力的行為をもって多数の考え方を変えようとしている」なのですから、これはテロルそのものですよね。
むしろこれをテロルと呼ばずしてなんと呼ぶのかって言いたいぐらいです。
石破さんは政治家ですから批判されてテロっていう言葉だけは撤回するようですが、間違えてはいけないのが、デモという行為自体はいまの日本ではキチンと許可を取れば合法的行為ですから、これを「行ってはいけない」と言っているワケではないというコトです。
やえも石破さんも、やってはならないとは一言も言っていません。
もう一度石破さんの言葉を見てみてください。
「単なる絶叫戦術はテロ行為とその本質においてあまり変わらないように思われます」
簡単に言えば、デモ(絶叫戦術)の本質はテロ行為と変わらない、と言っているワケです。
問題は「本質」であって、その精神性なワケであり、行為そのものを禁止するとかなんとかと言うお話ではなく、むしろ思想のお話なんですね。
行うコトの是非のお話ではなく、「デモとはなんだ」「デモの本質とはなんだ」という、かなり思想的なお話なのです。
その思想的なお話について石破さんは「デモの本質はテロだ」と言っているだけで、ですからもしこれに批判や反論をしようとするなら、論拠を持って思想的な面において反論はしなければならないハズなのです。
でもやっぱり政治家ですから、「政治的に批判され」て、撤回しちゃいましたね。
ちょっと残念です。
デモとはなんだと言えば、それは「全国民からみれば絶対的少数者が、その場だけ見ればかなり大人数でその場を占有し、拡声器や打楽器などを使って怒号を喚き散らして、人数の威圧感をもっての示威行為を行うコトによって、選挙という公的な国民の意思によって定められた国会議員の意見を変えようとする行為」です。
デモとしては1万人集まったらかなり大規模だと言えるかもしれませんが、しかし、それは「1万/1億2000万強」でしかなく、国民の意見というモノからしたら少数でしかなく、決して政治決定を覆すほどの数(=世論)ではありません。
そもそもたった1万人では、衆議院の小選挙区では当選も出来ませんしね。
でも、世論としたら圧倒的少数でしかないのにも関わらず、ひとつの場所に物理的に1万人が集まったら、それは普通の人からすれば「驚異」でしょう。
もしなにかあっても、なかなか1万人を御するコトはよほど準備をしている警察でなければ難しいです。
例えば、自分自身が一万人の人間に囲まれて、「いますぐ考え方を変えろ」と怒鳴られながら迫られれば、それは大変な「恐怖」でしょう。
しかしそれで「考え方を変えます」とさせたところで、それは果たして民主主義として正しい姿なのでしょうか。
国民の代弁者でもなく、その資格もなく、しかしその場だけでの大人数が、示威行為を行い恐怖を与えるコトで他人の意見を変えさせる。
これがデモなのです。
デモという行為の善し悪しはともかくとしても、デモという行為はこういう行為だというのは否定できない事実なのです。
ここをどう考えるか、です。
言うまでもなくデモ自体は合法行為ですから、よって「恐怖でもって他人の考え方を無理矢理変えさせたところで、デモは合法なんだから問題ない」と言うのであれば、それはそれでそれ以上言いようのないコトです。
思想的には批判しますが、法的には問題ありませんから、仕方ないというしかありません。
ただ、デモを行っている人の中に、果たしてどれぐらいそれを分かってやっているのか、というところが問題です。
自覚的に「恐怖でもって他人の考え方を変えている」と理解してやっているのであれば、それはデモが合法である以上は仕方ないとは思いますが、しかしやえとしたらその人に対しては軽蔑の目で見るしかないでしょう。
思想的にも民主主義的にも、決して相容れられる考え方ではないですからね。
そしてそれは、世間一般の普通の人でも同じでしょう。
とてもじゃないですけど日本の常識において、「恐怖でもって他人の考え方を変える」という行為が正義だとは言えないですよね。
ここをどう考えるか、なのです。
石破さんはこう言ってます。
「主義主張を実現したければ、民主主義に従って理解者を一人でも増やし、支持の輪を広げるべきなのであって」
その通りなんですよね。
自分の考えが正しいと思うのであれば、他人を恐怖でもって暴力的行為でもって考え方を変えさせるのではなく、その人の本心から納得させて理解者を増やすっていうのが、正道であり本来のあり方でしょう。
そしてその結果として選挙の結果が変わるのであれば、それこそが民主主義の王道ですよ。
デモする人たちは、なぜこうしないんですかね。
できないんですかね。
しかし出来ないからと言って、他人に恐怖心を与える行為が正しいと言ってしまうのは違うでしょう。
デモという行為が合法的かどうかは議論する余地はありません。
ただ、デモという行為の本質は何かという問題は、合法かどうかは別の問題として、思想の問題として考える必要があるのです。
逆に言えば、デモはテロル的行為だけど民主主義社会においては特別に認められているだけ、とも言えるのでしょう。
結局デモの本質は恐怖であり暴力的行為であり、それはテロルと本質性はなんら変わるところはないのです。
ディスカッション
コメント一覧
だとしたら、問題はやはり報道機関のやり方でしょうね。
匿名氏は先のように仰り、事実自分としてもまあそんなもんだろう、という見解ではありますが、だとしたら尚更、報道機関はそれを伝える必要があるでしょう。
例えば、沖縄でよく起こる反米デモ。同じ人数や主張ではあっても、それが生粋の沖縄県民のものか、それとも実は本土からやってきた団体(某◯マル派とか)かだと、説得力が大きく違ってくるでしょう。
そして実際に、2006年に於いて、彼らは発表人数を騙し(主催者側で11万人、実際は4万程度)、報道機関は臆面もなく主催者側の数字をそのまま垂れ流してしまったのです。これこそが真っ赤な嘘。もはや沖縄の民意ではありますまい。
ところが、左に優しい朝日や毎日はいざ知らず、地元の新聞(琉球新報等)すら伝えていません。唯一きな臭いと論じたのは産経くらい(最近になって漸く読売が明かし始めましたが)。
知らないで報道したのならば、現地での取材力が余程落ちた事を何よりも証明するでしょうし、知っていて沈黙したならば、それこそ犯罪そのものでしょう。そして現に、産経以外の報道機関(之も敢えて言うならば、反対のための反対が否めなかったが、真実にまあ近い記事を載せたということで不起訴処分)は10数年以上この罪を隠してきたといっても過言ではないでしょう。
結局、一般市民が細部に至るまで調べつくすのは不可能である以上、やはり「国民と政治家の敵はマスコミ」になってしまうのでしょうねぇ……。
まあ現代の民主主義・民主制の制度はアナーキスト・労働者・消費者の直接行動で拡大されてきた部分も大きいのので、
穏健化した非暴力なテロといえなくもないような。
有権者の中で少数だから選挙に期待できずデモをするしかない、
とするとデモ=マジョリティであることの証明なのでうかつに参加できないというか、
毎度参加者が同じ団体のような気もするのでサブカル集団における一種のオタ芸のようなものでしかないのではないかと
相変わらず、マスコミは分かってないなあ……
――石破氏ブログに批判の声 「政治家としての資質を疑う」――(12月1日、朝日)
「なんだ、これは」。29日のデモに参加した東京都世田谷区のパート、中山照章さん(60)は同日夜にツイッターでブログを知り、驚いた。「『法案は民主主義を壊すものだ』と訴えている矢先に、反対意見を狙い撃ちにしたい政権の本音が出た。反対運動が盛り上がってきて、焦っているのではないか」と話す。
「デモとは何か」の著書がある五野井郁夫・高千穂大准教授(国際政治学)は「人々が声をあげるのは、法案を承服していないから。(デモを)石破氏は『絶叫戦術』と言うが、やむにやまれず声を出しているのであり、テロ行為と変わらないというのは民主主義を愚弄(ぐろう)している」と指摘。そのうえで、石破氏の政治家としての資質にこう疑問を投げかけた。……(略)
どうして左の方々は乱暴や革命にこれ程までに優しいのでしょうねえ?
→石破氏は『絶叫戦術』と言うが、やむにやまれず声を出しているのであり、テロ行為と変わらないというのは民主主義を愚弄(ぐろう)している
→やむにやまれず?たった300人という、数少ない方々が?
しかもその正体は、日本婦人連合会(そういう類)であることはNHKでさえも伝えている。そしてその正体は、「憲法9条を守ろう!」などと、無責任であった社会党のご意見と何ら変わらない……。