自分でも何をやったらいいのか分からないけど、とにかく自分の言う通りにしなかったから悪だと言う卑怯者

2014年2月26日

 この問題を長々とやってもしょうがないのは分かっているんですが、どうしても最後にこの一点を指摘させてください。
 「天ぷら批判」をした人が、他の人からメチャクチャ言うなと指摘された後に、「不測の事態に備えて官邸や公邸で待機しておくべきだ」という言い訳をしている件についてです。
 例えば、ジャーナリストと名乗っている津田大介氏も、
 

 「弁当食え」じゃなくて現場に任せる指示済みでも不測の事態発生したらすぐ次の指示出せるよう待機しておいた方がいいんじゃないの。会食は先送りできる予定なんだしって話なのですが……。

 
 と、散々批判された後に、とって付けたかのように、こういう言い訳をしてしまっています。
 このツイッターまとめを読んで頂ければ分かるのですが、そもそもこの人、最初は「TPOの問題だ」と、前回指摘した感情論で批判をした「命の重さの選別者気取り」の方を理由していたのに、その後他の人から「TPOの問題っていうなら、天ぷらを食うなと言うのと同じように、お前の金髪もなんとかしろ」と言われて、
 

 この国には髪を染めた人間が真面目なこと語ったらいけない法律があるのでしょうか。

 
 と逆ギレをしてしまって、ただでさえ「日常の行為を中断させる感情論のくだらなさ」を指摘した自らへの批判を見事に読み取れてない程度の日本語能力しか持っていないコトを露呈したあげくに、さらに恥の上塗りで、途中から「不測の事態に備えて官邸や公邸で待機しておくべきだ」という当初とは別問題を持ち出してしまい、見苦しさを倍増させてしまっているんですね。
 これ、前々回にも言いましたように、「職務執行のあり方への疑問」と「感情論」とをごちゃ混ぜにして批判から逃げようとする卑怯者の典型例です。
 
 ただ、どうも「不測の事態に備えろ」と言われると、なんとなく納得してしまう人も多いようですので、ここはもう一度キチッと問題を整理しておきたいと思います。
 
 結論から言いますと、「不測の事態に備えろ」と他人の行動を制限する主張というのは、「悪魔の証明」です。
 そもそも「不測の事態」って何なのかっていう部分がかなり不明瞭なんですね。
 「不測の事態」なんだから「予想不可能なんだ」と言うのかもしれませんが、それこそが悪魔の証明そのものだと言うしかありません。
 もっと具体的に言うと、この場合の「不測の事態」とは、「総理大臣が官邸にいる状態で直接指示しなければならない」という事態のコトですよね。
 「不測の事態に備えて総理は官邸に戻れ」と言っているのですから、つまりは「「官邸で総理が直接指示するような事態」が起きたらどうするんだ」というのがこの批判の趣旨というコトに他なりません。
 しかしいったいぜんたい、「総理大臣という行政府全体の指揮官が直接指示しなければならなくなるような事態」とは具体的にどういう状態を指し示すのか、ここをまずは考える必要があります。
 
 前々回説明しましたように、特に先週末の段階というのは、「最低限、生命維持活動を確保するための対応」というステージでした。
 そしてこのステージにおいては、日本の通常部隊は消防と警察がであり、またそれを超える事態になったときに備えて自衛隊がいるワケですが、今回の場合はもう自衛隊が出動していた後の場面でしたよね。
 つまりですね、自衛隊の出動というのは、日本の行政にとってはもう最終兵器なワケですよ。
 日本の行政には、災害対策という場面において自衛隊というカード以上のカードは持っていません。
 特に「最低限、生命維持活動を確保するための対応」の場合においては、自衛隊以上のカードって無いですよね?
 あります?
 あったら是非教えて頂きたいんですが、おそらく自衛隊以上の装備は日本の行政にはないハズです。
 となれば、もはや行政としては「最低限、生命維持活動を確保するための対応」の場面においてはこれ以上ない部隊である自衛隊というカードを切った後だったワケなんですね。
 日本の業らいにはもう手立てはありません。
 変なお話、自衛隊で対処出来ないような事態というのは、誰も何もできない状態と言うしかないでしょう。
 
 では、そういう「最低限、生命維持活動を確保するための対応」ステージにおいて、さらなる不測の事態とは、どういう場合であり、どんな対応が迫られる場面だと言えるのでしょうか?
 
 不測の事態ですから「何が起きるのか」という部分を「予想は不可能だ」というコトにしておいてもいいんですが、ですがその場合においても対応する側が「どういう対応するべきなのか」という点はハッキリしています。
 それは、何度も言ってますように「最低限、生命維持活動を確保するための対応」です。
 そうでしょう?
 これ以上を優先させる事項が、少なくとも災害の場面においてはあり得るとは思えません。
 超局地的どか雪でもいいですし、大雪崩でもいいんですが、そういう「不測の事態」が起きたとしても、その場合のまず何を持っても最優先させられるべき対応というのは、「最低限、生命維持活動を確保するための対応」しかありません。
 つまり巻き込まれた人の救出、というところですね。
 いくら「不測の事態」が「予測不可能」だとしても、その対応はまず変わらないのです。
 
 では、その不測の事態が起こったときの対応としての「最低限、生命維持活動を確保するための対応」は、実際誰が行うのかと言えば、それは、自衛隊ですよね。
 この場面においても、日本の行政の装備としては、自衛隊という部隊以上のカードは持ち得ていません。
 ですからこの段階においては行政としては、もう「持ちうるカードを全て切った後」であり、仮にその後に予測不可能な不測の事態が起こったとしても、それはすでに動いている自衛隊が対処するしかなく、同時に自衛隊以上に対処出来る人はいないのです。
 つまりこのステージにおいて不測の事態が起ころうが起きまいが、自衛隊というカードを切った以上は、もう行政としては出来るコトはやり尽くしているのです。
 
 こういう事実を前にした時、では「不測の事態に備えて官邸や公邸で待機しておくべきだ」という批判をどう受け止めるべきなのでしょうか。
 結局こんなの、実質的には全く意味の無いコトをもって「日常を壊せ」と言っているだけであり、もしかしたら安倍教の教徒達による感情論からの批判なのかもしれませんし、もしくは「出来るコトは無いけどやれ」という矛盾したコトを押しつける、悪魔の証明のような、「自分でも何をやったらいいのか分からないけど、とにかく自分の言う通りにしなかったから悪だ」と言っているに過ぎない卑怯者の行為でしかないのです。
 他人の不幸をダシにして他人を貶めようとしている人間なのです。
 
 もうちょっと言いましょうか。
 安倍総理が天ぷらを食べられていた場所っていうのは赤坂なんだそうですが、赤坂って官邸まで車で10分ぐらいなんですよ。
 参考までに載せておきますが、地下鉄の丸の内線で「赤坂見附~国会議事堂前」までは、移動時間だけだと2~3分ぐらいの隣接駅です。
 で、総理大臣ともなれば仮にプライベートだったとしても常にSPさんが付いているワケで、まして当然警察の警備車両を伴っての自動車が近くに待機しているワケで、その気になれば緊急車両として信号も無視して走行出来るのですから、10分あれば十分官邸に戻ってこれます。
 実際はドアツードアでも5分程度なんじゃないですかね。
 まぁここでは念には念を入れて30分というコトにしましょうか。
 つまり「不測の事態」が起こった時に、第一報として総理のもとにその情報が入てから官邸に戻るまでに30分かかったとしましょう。
 ではここで考えるべきコトというのは、「その30分の間」に「総理が官邸にいなければ手遅れになってしまう場面」とはどういう場面なのか、という想定です。
 
 ありますか?
 
 内容としては繰り返しになりますが、消防も警察も自衛隊も、スーパーマリオのようなゲームのキャラクターじゃないんですから、いちいち総理がコントローラーを握って細かい動きまで指示する必要なんてありません。
 むしろ現実論としては、現場が見えていない人が強権を持って細かいところまで指示を出してしまう方が、よっぽど問題でしょう。
 というか害悪ですよね。
 邪魔です。
 どこかの総理がそんなコトしようとして現場を大混乱させたっていうのは、まだまだ記憶に新しいハズです。
 ですから、「官邸に到着するまでの30分」という非常に限られた時間の中で「不測の事態」とやらが起きたとしても、少なくとも「その30分」というのはあくまで「最低限、生命維持活動を確保するための対応」になるのですから、やっぱりマリオではない現場の判断が出来る、むしろ普段からそういう訓練を専門で受けている専門部隊である自衛隊の行動範囲内でのお話であり、総理大臣なんていう行政全ての最高指揮官の出る幕ではないのです。
 むしろなにより、自衛隊に任せるっていうのがこのステージにおける最高の手段であるワケです。
 この事実を前にして、いったいぜんたい「不測の事態に備えろ」とは具体的にどういう行為を指すのか、本当に教えて欲しいです。
 
 これ実は、災害だけに留まらないお話です。
 例えば軍事の問題です。
 「不測の事態」なんて言い出したら、災害時だけに留まらず、全くの日常でも同じコトが言える、例えば「急に北朝鮮が攻めてきたらどうするんだ。常に官邸で弁当食ってろ」ってというお話にすらなり得ると思うのですが、でもこの場合でも、さっきと構図は同じなんですね。
 「官邸に到着するまでの30分」、一時間でもいいですけど、かなり初期の段階におけるその間に「何が何でも総理が官邸にいなければならない理由」というのは、まず無いハズです。
 これまで何度もニュースを見せつけられているので分かると思うのですが、ミサイル発射にせよ航空機での攻撃にせよ、いまの自衛隊の装備であればかなり早い段階でその予兆は察知出来ます。
 北朝鮮がミサイルを発射しそうだなんて情報、もう数日前からテレビ情報ですらバンバン流れていましたよね。
 まして、もし仮に早い段階で察知できなかったとしても、日本に向かってくるミサイルを打ち落とす行為そのものは、すでに現行法令下においても特に総理大臣の許可が無くても出来る行為です。
 あと5分後には決断しなければ迎撃不可避になるのに総理の許可が無いから撃てない、という状況には現行法下でもならないのです。
 唯一まだ議論が出来てなくて危ないお話としては、日本ではなくアメリカに向かうと思われるミサイルをどうするのかっていう場合が整備が出来ていませんが、ただこの辺の場合だとしても、必ずしも総理大臣ではなく防衛大臣の許可でもできるようにはなるでしょう。
 さらに言えば、それは必ずしも「官邸にいなければできない」ワケでもないかと思います。
 今は携帯電話があるのですから、仮に「官邸に到着するまでの一時間」だとしても、指示自体はできるワケで、決して紙にサインしなければならないってワケもなく、よって軍事の面においても初期中の初期のステージにおいては手遅れになるっていう場面がちょっと想像出来ません。
 
 もちろん、戦争とは高度に政治判断が局面ごとに求められるモノ、勘違いしてはいけないのが、災害とは違い戦争とは外交であり政治ですから全く別次元の問題であって、だから出来るだけ早く官邸に戻るべきなのは確かですから、食事中でも一報が入ればすぐに官邸に戻るべきでしょう。
 もしミサイルが撃ち込まれた後でものうのうとゴルフのプレイを続けるなんていうコトは批判されて当然です。
 しかし間違えてはならないのが、「総理が外でご飯食べてるなんて何事だ。常に不測の事態に備えて、ご飯はいつ何時でも官邸で食べろ」と、普段からの日常すら縛るようなコトを言ってしまうのは間違いです。
 日本はマンパワーの国家ではありません。
 日本は法治国家なのですから、ほんの数時間程度の「最低限の対応(人命救助やミサイル打ち落とし)」は、オートマティックに行えるように普段から備えておくコトの方が重要なのです。
 
 「不測の事態に備えて官邸や公邸で待機しておくべきだ」と言っている人は、つまり現在の日本の法令では最低限の対応すら総理大臣が官邸にいなければ何も行えないんだと言っているのに等しいのですが、果たして本当にそうなんですか?
 ずいぶん弱々しい国家に聞こえてしまうのですが、しかしもし実際そうであれば、ちゃんと具体的に示してくださいよ。
 じゃないと心配で仕方ありません。
 もし本当にそういう不備があれば、そこは具体的にキチンと示してこそ改善に繋がるワケで、単に総理が官邸にいればいいだけのお話ではありませんし、いないコトだけを批判しても全く無意味でしょう。
 それは「法の不備」なのですから、もし批判するなら次に繋がるような批判が必要です。
 まさか「安倍さんのクビを取るためだけ」「クビがとれればなんでもいい」なんて理由じゃないですよね?
 それはキチンと「日本のために、日本国民の未来のため」に、批判をしているんですよね?
 ここをハッキリさせてほしいです。
 
 「不測の事態に備えて官邸や公邸で待機しておくべきだ」なんて言っている人は、安倍総理に苦労を共に分かち合って欲しいと願う安倍教の教徒か、もしくは自分でも何をやったらいいのか分からないけど、とにかく自分の言う通りにしなかったから悪だと言っている卑怯者かの、どちらかなのです。
 どちらにしても恥ずかしい人達ですね。