自称「イスラム国」とやらに対する基本的な認識 (4)

 自称イスラム国とやらの最終的な目的はどこにあるのかっていうのは分からないのですが、少なくとも一つ確実なコトが言えるのは、「現在の秩序を乱す」というのが大きな目的の1つであるコトは確かでしょう。
 現状がすでにそうで、既存国家の土地を暴力によって不法占拠し、また人質を取って様々な要求をして傍若無人な非道行為を繰り返し、現在の国際社会を法や言論などを用いるのではなく、恐怖と暴力をもってして現状を強引に変えて自分たちの思いのままにしようとしていますよね。
 日本に対しても、それがイスラム国とやへの介入であっても介入でなくても日本の行為は現在の国際社会の法秩序の中での範囲内の行動でしかなく、それは誰にも批判される謂われは無いのですが、しかしそれに対して法秩序の中での反対では無く、単なる暴力でもって変更させようというのは、それは現在の国際社会の中における秩序の破壊以外何物でもないでしょう。
 
 イスラム国とやらにどんな言い分があろうとも、許しがたい犯罪でもってでしか自らの考えを主張できない以上は、それは独り善がりでしかなく、我が儘でしかなく、まったく容認できるモノでありません。
 耳すら傾けるべきではないモノです。
 犯罪者は犯罪者であり、そこにどんな強い思いを持っていようとも、それを認めた途端に犯罪も認めるコトになってしまうのですから、犯罪を犯した瞬間にその人の主張は、主張とすら認めてはならないのです。
 
 その上で国際社会の重要な一因としての日本の適切な行動とは何かを考えれば、それは「普段通りの生活を行う」コトなのではないでしょうか。
 
 イスラム国とやらにしてみれば、やはり大国である日本が本格的に対イスラム国戦争に参戦するコトは、感情論を抜きにしても、戦略面で大変な打撃になります。
 それはそうでしょう。
 日本のGDPっていうのは世界から見ればとんでもない大額で、変な話、曲がりなりにもG20の韓国でさえそのGDPは東京都だけのそれとほぼ同額ぐらいです。
 そう考えれば、仮に資金提供だけだとしても日本の参戦というのは他国の数倍の力になり得るワケで、逆に言えば今回の安倍総理の人道支援を対イスラム国対策だと読み違えてしまった部分も、その辺の焦りが見え隠れすると言えるでしょう。
 それは、かなり前に拉致した人を今さら合成かもしれない画像を用いて、安倍さんのスピーチに合わせて交渉材料としてきたコトからも察せられるワケで、またこれまた合成かも知れない音声で「どうか、安倍に私の場合にも同じことをさせないでほしい」なんて言わせているワケで、その狙いはすなわち「日本の揺さぶり」が大きな部分を占めていると考えられるワケです。
 
 では揺さぶりをかけられた方としてはどう対処すればいいのかと言えば、簡単ですよね、揺さぶられないコトです。
 
 日本は原理原則を貫くだけで、国内でもイスラム国とやらの言動に惑わされないよう、日常の毎日をおくればいいのです。
 逆に一番マズいのは、日本国内で日本国民がイスラム国とやらの要求を真に受けて、向こうにも一理あると同調し、イスラム国とやらの要求を飲むよう日本政府に追求するコトでしょう。
 イスラム国とやらの構成員だってバカじゃないですから、自分たちが犯罪行為を行っているコトぐらい自覚しているでしょうし、だから要求を完全に蹴る可能性も高いコトも想定済みでしょう。
 しかしその中において、イスラム国とやらの要求を日本政府が飲む可能性を考えるのであれば、それはまさに「日本国内からの声」によるモノしかないワケです。
 特に民主主義国家における「国内の声」は政治に対して大きな力になりますからね。
 あの手この手で揺さぶりをかけてくるイスラム国にとって、その揺さぶり通りに動く日本国内の一部の動きというのは、まさにイスラム国とやらの思うツボそのものなのです。
 むしろイスラム国とやらとしては、そういう自分たちの要求通りに動く人間がいるコトを見越しての、そういう連中が存在し動くこそこそが作戦の最も重要な要因としての脅迫作戦だと言えるでしょう。
 日本国内で揺さぶられている連中はそれが分かっているのでしょうか。
 
 冷たいようなコトを言うのであれば、それが国内の犯罪であったとしても、出来るコトというのは限られています。
 国内で誘拐犯罪が起きたとしても、政府が身代金を出したりはしません。
 国内なら警察権力が及びますから警察という力を政府として出すコトはできますが、しかし逆に言えば、事件の当事者以外の人間というのは、報道などで事件の存在を知るコトはあってもそれ以上をどうこうするコトはありません。
 数日経てば忘れるほどの出来事です……例え死人が出たとしてもです。
 結局社会とはそういうモノであり、逆に全ての事件や事故によっていちいち心痛めて社会生活をストップさせていては、社会とは成り立たないのです。
 事実として今現在だって日本国内で誰か死んでいるかもしれませんが、社会はそれでも関係なく動き続けていますよね。
 そういうモノです。
 
 それを暴力をもって無理やり破ろうとしているのかイスラム国とやらであってテロリズムであって、よってそれに対抗する一番の力というのは「日常の生活」そのものなんですね。
 この辺のロジックは、一度冷静に考え見るべきコトなのではないかと思うのです。
 
 
 (つづく)