社会党に先祖返りする民主党

 いよいよ維新の党ですらあきれ果ててしまいました。
 先週の衆議院厚生労働委員会をはじめとして維新の党は、これまで民主党と共に行ってきた「欠席戦術」をやめ、委員会にはちゃんと出席するという方針に転換しました。
 もちろん各党に言い分はあるでしょう。
 事前に協議をすると幹事長会談で書類にサインしておきながらそれをまったく履行せず、自民党が委員会の場でそれを岡田副総理(サイン当時幹事長)に問いただすと、「いまは幹事長じゃないから知らない」とメチャクチャなコトを言い放ったために、さすがにこれでは審議なんて出来ない(そもそも国会の前に協議するという約束も破っているので)と言った野党時代の自民党の例もありますように、国会における委員会のあり方については各党言い分はあるでしょう。
 そして国民は、その理由こそを判断材料として評価すべきだと思いますし、だからこそ各党がどういう主張をしているのかっていうのを国民としてしっかりと見定める必要があると言えます。
 その中での今回の民主党と維新の党の対応の違いが出たワケで、いよいよ維新の党は委員会の場で民主党を激しく糾弾しました。
 

 民主・維新が非難合戦=再編構想遠のく
 
 「55年体制の亡霊が徘徊(はいかい)している。与党と維新で議論を深めていきたい」。安全保障関連法案の質疑を行った12日午後の衆院平和安全法制特別委員会で、維新の足立康史氏は、共産党と共に欠席した民主党を酷評。与党議員からは拍手が起こった。
 足立氏は安倍政権との協調に前向きな大阪系の一人で、労働者派遣法改正案を審議した同日午前の衆院厚生労働委員会でも民主党の対応を批判。同委では、委員会室内にとどまっていた民主党議員から維新議員に「与党か野党か分からない」などと罵声が飛んだ。

 
 「55年体制の亡霊」、つまり闘争のための闘争であり、議論の中身による結果ではなく闘争が目的の欠席はその手段でしかなかったという、55年体制と呼ばれた時代のやり口に過ぎないと、そう維新は民主を激しく糾弾しているワケです。
 これまでは維新も含めて「与党or野党」というそれだけの理由だけで、野党は共闘して与党と闘わなければならないという固定概念で動いていたのでしょう。
 そして「野党第一党」の方針に従い、とにかくいまは欠席闘争だというコトで、維新もそれに付き合っていたのでしょう。
 しかし、もともと是々非々を掲げていた維新の党の、特にこれまで民主党などからの合流組でない議員から、さすがにこんな理屈が通らないただの日程闘争には参加できないと非難の声がこうしてあがったワケです。
 
 すなわち、結局維新の党は分かっていたのです、平和安全委員会をはじめとする野党の欠席の理由が、ただ単なる「反対のための反対」であったコトに。
 口では色々言っていたけど、そんなのは全く理由にならないコトに。
 
 まぁそれはそうでしょう。
 マスコミはほとんど取り上げませんでしたので知らない人も多いのかもしれませんし、なんとなく民主びいきに報道するので気づいていない人も多いのかもしれませんが、「各大臣はまともに答えない」というのも、マスコミフィルターを通さず国会を生で見れば、あんなモノはただイチャモンにしかなっていないのは一目瞭然でしたし、厚労委員会にしてもこれまでずっと審議を積み重ねてきたのに急に「年金問題が先で、それが終わるまでは採決には応じない」も、それは別問題すぎて全く理屈にならないコトは冷静に考えれば簡単に分かるコトでしょう。
 そもそもいまは中央省庁ですらない年金機構の、さらにメールの添付ファイルを開けたせいという現場のミスでしかない行為が発端で発生したというのが問題も原因なのであって、それをいきなり総理大臣の責任であるかのように言うのは、ちょっと理論の飛躍過ぎて、もし真面目に言っているのでしたら頭大丈夫ですかと心配になるレベルです。
 こんなモノは委員会を欠席できる理由になりはしません。
 さすがにこんなデタラメな理由での欠席に、維新の党は我慢できなかったのでしょう。
 単なる「反対のための反対」、議論ではなく物理的手段で法案を廃案の仕様とする手法、これらを維新の党は容認するコトができなかったのです。
 

 派遣法改正案 民主党、「委員長に飛びかかるよう」文書で指示
 
 衆議院の厚生労働委員会は12日、労働者派遣法改正案に反対する民主党などの野党議員が、開会を阻止しようとして、大混乱となった。
 厚生労働委員会は、派遣法改正案の審議と採決に反対する民主党議員らが、渡辺委員長の入室を阻止しようとして、もみ合いになった。
 渡辺氏は、この際、首に手をかけられたり、けられたりしたという。
 FNNが入手した民主党議員作成の文書では、「委員長にとびかかるのは委員会メンバー」などと、身体的に物理的な力を行使して、採決を阻止するよう指示が明記されている。
 渡辺厚労委員長は、「議論をしないで、暴力で自分たちの思いを成し遂げようということであっては、これは国会の機能は果たすことができません」と述べた。
 首をコルセットで固定した渡辺氏は、診断書を示しながら、全治2週間の頸椎捻挫(けいついねんざ)を負い、痛み止めの注射を打ったと訴えた。
 委員会は、民主党と共産党が審議を欠席し、結局、12日の採決は見送られた。

 
 そして民主党の、この暴力行為です。
 しかもこれ、組織的犯行なんですね、文書で委員に指示しているのですから。
 「55年体制の亡霊」
 理由なき反対、パフォーマンスたのめの欠席、言論ではなく暴力による阻止。
 本来このような時代遅れは国民の側かから否定しなければならないハズのコトなんですよね。
 
 そしてなんと昨日の安保の委員会には民主党ついに出席し始めました。
 これも自らの矛盾を露呈しているようなモノなんですね。
 だって与党は特に態度を変えていないのですから、ただ維新が欠席闘争をやめただけのコトでしかないのワケで、よってもし本当に民主党に「欠席せざるを得ない理由」があったのであれば、それをやめる理由はないんですよね、本来。
 もしいま欠席闘争をやめたのであれば(いやもうやめてるんですが)、じゃあこれまでの欠席闘争はなんだったのですかと、自ら過去の欠席闘争を否定するんですかと、そういうコトになってしまいます。
 つまりは、民主は自らの態度で自らの理由なき欠席闘争を否定してしまっているのです。
 この程度なんですよね。
 
 要は維新が出席するようになったので、いよいよマスコミが民主党を庇えなくなったので、あせって出席し始めたっていうのが真相なのでしょう。
 共産党も同様です。
 審議とか議論とか関係なく、ただパフォーマンスするために、マスコミ映りのために欠席闘争なんて仕掛けていたのです。
 ここに全く理屈を見いだすコトはできません。
 こういうデタラメは国民から見抜いて、批判して、こういう政党を否定しなければならないでしょう。
 それが政治の質を高めるコトなんだと思います。