安保法制反対で現状維持するならますますアメリカ依存が深まるだけ

 安保法制、集団的自衛権の議論に絡んで、なにやらアメリカの存在を理由に反対している人達がいます。
 曰く「アメリカの戦争に巻き込まれる」「アメリカの言いなりになるだけ」とか。
 
 はぁ。
 まぁ百歩譲ってその通りだとしましょう。
 いま国会に提出されている安保法制はともかく、フルの集団的自衛権が行使できる状態になった際、同盟国が攻撃されるような事態が起きれば日本も反撃に参戦するコトは十分にあり得るからです(しかしそれがリスクが高まるというワケではありませんが)。
 ですから、そういう言い分も、とりあえずはアリとしましょう。
 
 しかしでは現状はどうなのでしょうか。
 現状の日本においては、完全にアメリカに守って貰っている状態です。
 確かに日本には自衛隊があります。
 ですから、飛んでくる攻撃を払いのけるコトはできます。
 でもそれだけなんですね。
 日本からしたら、相手が飽きるか弾切れになるまで待たなければなりません。
 こんなコトやっていると日本も無傷ではいられませんし、万が一でも流れ弾とかがそれたら、それこそ一般国民にも被害が出てしまうかもしれません。
 ですから戦争になった以上は、それを早く終わらせるためにも相手を叩く必要があります。
 しかし日本はそれが出来ないのです。
 それらは全てアメリカに任せているんですね。
 ま、こんなコトはこうやって改めて説明するまでもないでしょう。
 
 安保法制に関して反対の意見を持つのは構いません。
 それは人それぞれ色々あるでしょう。
 しかしその論拠としてアメリカを持ち出してしまうのは、ちょっと理解に苦しむワケですよ。
 アメリカに一方的に守られていて、言い換えるなら「アメリカは日本の戦争に70年間巻き込まれて居続けている」のにも関わらず、日本は何もしない、関わりたくないと言ってしまうのは、それはちょっとどうなんですかと首をかしげざるを得ません。
 自分はイヤだから他人に丸投げしよう、自分がイヤなコトは他人にさせればいいと、平然と言ってのける神経は、ちょっとやえには理解できないんですね。
 そしてなにより、この話題でアメリカを持ち出すコトは、それは自動的にアメリカが世界一の超巨大大国であり、それに常に追随する日本でなければ成立しないというコトが成り立たなければならないという矛盾に気づいていないワケです。
 
 結局いまの日米安保体制というのは、軍事の大部分をアメリカに任せているからこそ、それ以外の部分でどうしてもアメリカに譲歩せざるを得ない現実があるワケです。
 そして同時に、日本はアメリカとだけ軍事同盟を結んでいるのですから、アメリカの国力が弱まれば、同時に日本の防衛力が下がるコトに直結します。
 ですから日本はこの日米安保体制を維持し続けるためには、アメリカと常に共同歩調を取りつつ、同日にアメリカには世界一の軍事大国であり続けて貰わなければ困るワケです。
 例えば、中国と北朝鮮でアメリカの軍事力を凌駕する事態になれば、日本は本当に難しい状況に追い込まれてしまうでしょう。
 日本の軍事力なんてモノは、「最後は相手を叩かなければならない」という戦争の状態になってしまうと、9条などで手足を自ら縛っている以上は、かなり実力は落ちてしまうのですから。
 つまり日本が現状のままを望めば望むほど、アメリカが世界中で嫌われるほど強権を持ち続けられる存在でいてもらわなければならないのです。
 
 アメリカ憎しで安保法制に反対している人は、それは「日本は現状通りアメリカと寄り添い続けなければならない」「アメリカは世界で唯一の超大国であり続けなければならない」と言っているコトと同義なんですね。
 どうしてそれに気づかないのでしょうか。
 政策論としてアメリカと対等の関係になろうと思うのであれば、少なくとも制度的にアメリカと対等の制度を整備しなければならない、つまりはフルバージョンの集団的自衛権を行使できるようにし、状況によってはアメリカ以外の国とも軍事同盟を結べるような環境を整えなければならないというコトにどうして気づかないのでしょうか。
 そんなのは国対国の関係だけに関わらず、全ての問題に置いて当たり前のコトのハズです。
 
 この件だけに限らないのですが、頭に血が上りすぎて視野が狭くなってしまうコトには注意しなければなりませんね。