甘利元大臣の件でいくつか

2016年2月4日

 電撃的に辞任した甘利元大臣ですが、いくつか気になる点がありますので、書いておきたいと思います。
 
 まず最初に、コメントでも頂いているのですが、前回の更新に対して「自分は「役所と接触するコト自体が悪だ」というような報道をしているとは感じなかった」という感想をいただいてます。
 もちろんやえだって全ての報道を見ているワケではないですし、むしろテレビとか見ない方だと思いますので、感じ方は人それぞれだと思います。
 そしてそれを否定するつもりも、偏ってると言うつもりもありません。
 偏ってるのはやえの可能性も高いですしね(笑)
 
 ただひとつ言わせて貰えれば、やっぱりあの甘利さんの辞任会見で、結構報道の仕方って随分変わったんじゃないかという風には思っています。
 時間が経てば経つほど、告発者の一色某という人物が怪しいというのがバレてきてますから、特に大手マスコミはどんどん報道の仕方が慎重になってきていますので、結局今の段階の報道というのは「新事実の公開を待つ」という姿勢と共に、「甘利さん本人が認めた事実だけを報道する」という姿勢に変わっているんですね。
 要は、キチンと収支報告書に記載されていた50万円の献金と、秘書が横領した300万円のお金について、ここについてのみをマスコミはいま基本的に扱っているワケです。
 
 でもやえが書いた前回の文章は、甘利さんが記者会見する前のモノなんですね。
 公開自体も前日に公開しているハズです。
 ですからマスコミも、まず何をどう報道すればいいのかまだ迷っていた時期だったのでしょう。
 そもそも甘利さん自身も最初は「50万円は部屋では受け取っていない」と言っていたぐらいですから、第三者のマスコミとしては、一色氏と甘利大臣とどっちが本当のコトを言っているのか確証が持てないワケです。
 でもやっぱり権力は叩きたい。
 となれば、少なくとも「役所やURに接触した」というコトは否定できない事実なので、まずはそこを叩く材料にした、というのが実際のマスコミの考え方だったのではないでしょうか。
 
 ここで強く言っておきたいのは、こういうマスコミの姿勢です。
 結局理屈とか中身の是非じゃないんですよ。
 「とにかくなんでもいいから政治家や権力者を叩きたい」という行動が、甘利さんの記者会見の前後で見えてしまっているんですね。
 そしてこんな行動原理は、本来最も軽蔑されるべき浅ましいモノなのではないのでしょうか。
 
 今回の件でも改めてマスコミのデタラメさが露呈したとやえは思っています。
 ここはもっと多くの人が気づいて欲しいなと思う点なんですね。
 
 もう一点、指摘しておきたいコトがあります。
 結局今回早々に甘利さんは大臣の職を辞任してしまいましたが、しかしいまのところの情報では、甘利さん個人や、「政治家甘利明」としては違法行為を行ったとは言える状況にありません。
 今の時点で何か問題があるとしたら、秘書が300万円を横領したという点です。
 
 しかし横領は「個人の犯罪」です。
 もっと言えば、横領の場合、雇い主である甘利さんは被害者の立場となります。
 普通の会社で考えてみてください。
 社員が会社の金に手を付けたら、社長は被害者ですよ。
 ですからこれで甘利さんが辞任しなければならない理由は本来ないハズなのです。
 
 マスコミではしきりに「監督責任」とか「監視しなかったのが悪い」とか言われてますが、仮にも大臣職にある人間に対して言うセリフじゃないと思うんですよね。
 大臣はもっと広く大きなところを見るのが仕事なワケです。
 むしろ、今までの一政治家ではなく、ただの一議員の仕事を置いてでも大臣としての仕事に邁進するというのが本来のあり方なのではないのでしょうか。
 まずこの点でちょっと矛盾しているというか、あまりにも叩くのが目的になってしまって、大臣という職を軽く見過ぎている気がしてなりません。
 
 そもそもだいたいにしてですね、普通の会社と違って政治家やその事務所というのは、「お金を集めるのが目的」の組織ではないのです。
 あくまで目的は「政治の運営」であって、お金は手段でしかありません。
 よって、お金を集めるコトこそを目的にしている企業であればトップがお金のコトに責任を持つのは間違いではありませんが、政治家が事務所のお金のコトを全て秘書に任せるというのは、政治家としてはむしろ正しい姿な気がしてなりません。
 政治家は政治のお仕事をするための手段としてお金を集めているだけであって、逆に「お金のコトを主目的にしている政治家」って、それダメじゃないですか。
 いままで散々国民が批判してきたコトなんじゃないんですか?
 
 例えば秘書が仕事上のコトで犯罪を犯したら、それは政治家の罪と言ってもいいと思います。
 例えば小沢一郎事務所にした石川知裕元議員ですが、これは秘書としての職務として犯罪を犯していますし、それは裁判によって有罪が確定となっています。
 よってこれは、本来小沢一郎議員本人が責任を取るべき問題のハズなんですね。
 石川秘書が小沢一郎という政治家の名代として犯した犯罪なのですから。
 こういう場合は、政治家が責任を取るべきです。
 
 しかし甘利さんの場合は、いまのところ違います。
 繰り返しますが、横領は職務上の犯罪なのではなく、それは単なる物取りであって、個人の犯罪です。
 むしろ経営者や責任者は被害者です。
 果たしてこんなコトで責任をとってしまってもいいのでしょうか。
 やえは甘利さんにももしこれを理由とするなら辞めるべきではなかったと言いたいですし、そしてこれを理由に責め立てるマスコミも無責任だと思います。
 こんなのがまかり通ってしまえば、社会的秩序は崩壊してしまいますよ。
 「騙された方が悪い」なんていうのは、法治国家として決して認めてはならない考え方です。
 この辺もうちょっと整理して考えるべきだとやえは思っています。
 
 もしかしたら甘利さんの件、まだ続報が出るかもしれませんが、今日の段階ではこの辺を強く指摘しておきたいと思います。
 こういう風潮がまかり通ると、最悪「国力を弱めるために罠を仕掛ける」コトも容易になってしまうのですからね。
 もっとこの辺の意識をちゃんと持った方が良いと思います。