政治資金についての誤解

 政治の専門知識について、世間一般ではかなり誤解されている部分も多いワケですが、特に「政治資金」について間違った知識を持ってしまったままの人がかなり多いのではないかと思われます。
 もちろんそれは、普通に生活しているだけなら接する機会がほぼないですから仕方ないコトですし、そもそもタチが悪いのが、マスコミがそれをミスリードして印象批判に悪用するから、ますます正しい知識が広がらないという部分があります。
 これは本来マスコミという存在を自ら否定する行為としか言いようがないのですが、無駄に報道の自由度が高い日本では野放しになっているとしか言いようのない現状があります。
 というワケで、今日はちょっと「政治資金」について、よく誤解されている2つの点について解説をしておこうと思います。
 
 よく誤解されている2つの点はこちらです。
 
1.政治資金は政治家本人だけの活動費ではない。
2.「政治資金=税金」ではない
 
 
1.政治資金は政治家本人だけの活動費ではない
 例えば「国会議員の給料は高い」というセリフもよく聞くところですが、しかし特に国会議員は、複数人の秘書を抱えた組織として活動しています。
 そして議員歳費と政治資金は、その組織の活動費として運用されます。
 つまり議員歳費+政治資金を一般的に言えば、会社の資金であり経費なのです。
 
 よって政治資金からは秘書の給料が支払われます(国からお金が出る公設秘書は3人までで、衆議院議員の秘書が3人だけなんてところは聞いたコトがありません)し、例えば秘書が使う文房具ですとか備品ですとか出張費、場合によっては会合や接待費なんかも、国会議員本人がその場にいなくても政治活動で必要であれば政治資金から出されるべき正当な経費となります。
 ちょっと前に話題になったガソリン代も、プリペイドカードの是非はともかくとして、秘書が移動で使った分も当然政治活動費で賄われるべきモノです。
 よってマスコミはガソリン代を1人分で地球何周とかやってましたが、あれは完全にミスリードであり、例えば5人秘書がいれば5人で割った距離を出すべきなんですね。
 さらに選挙の年となれば、人数も距離も段違いとなるでしょう。
 まずは、政治資金とは「国会議員とスタッフの組織」の経費という性質だというコトに注意してください。
 
 
2.「政治資金=税金」ではない
 よく「政治とカネ」の問題で、いわゆる町の声とかで「税金から私腹を肥やしている」等の感想が聞こえてきますが、これは誤解です。
 政治資金はイコール税金ではありません。
 
 ただし、税金の部分も存在します。
 国会議員の場合、政党に「政党助成金」という税金が国から交付されるコトになっていますから、この部分が政治資金団体に入っている場合は、税金も含まれているという表現になります。
 また性質は多少異なりますが、議員歳費が入っている場合も税金が入っていると言えなくもないでしょう。
 
 しかし間違えてはいけないのが、政治資金と言うと全てが税金と思ってしまうのは間違いです。
 
 「政治資金パーティー」という言葉を聞いたコトある人は多いと思いますし、そのパーティーでは何が行われているかというコトも、なんとなく想像できるでしょう。
 要は、会費を徴収してパーティーを開き、会費と開催経費の差額を引いた「利益」の部分を政治資金に回すというイベントです。
 もちろんパーティー会費は税金ではありません。
 また「政治献金」という言葉も聞いたコトがあるハズです。
 こちらはもっと簡単で、その政治家に政治資金として寄附を行うコトです。
 つまりもらった政治家は、そのお金を政治資金に回すコトになります。
 こちらも寄附は税金からではありません。
 
 このように「政治資金=税金」ではないって、普通の人でも本来は知っているハズなんですね。
 政治資金に税金が入っている場合もあります。
 しかし全額が税金っていうのは、どうなんでしょうか、少なくとも自民党の国会議員だったらあり得ないのではないのでしょうか。
 ですから、もちろん「政治資金は適切に使え」はその通りですが、少なくとも「公金横領だ」という趣旨の発言というのは、それこそ不適切だと言わざるを得ないのです。
 
 
 政治を評価するというのは人それぞれですから、何に重きを置いて判断するかは自由です。
 ただし、事実と異なる間違った知識での評価はアンフェアでしょう。
 それは対象が誰であれ、そうだと思っています。