総理大臣評価論 1
掲示板でこのようなコメントを頂きました。
やえちゃんこんばんわ。
最近、おーぷんで歴代総理大臣スレを立てている者です。
平成後期の総理大臣について書くうちに、ぜひともやえちゃんの評価を知りたくなりました。
もしよろしければ取り上げていただけますと幸いにございます。
下記にurl乗っけときます。
http://utuke.org/archives/1063042369.html
コメントありがとーございまーす。
というワケで、せっかくですので小渕総理以降の総理大臣について、やえの評価について書いてみたいと思います。
と言っても、どの面を評価するのかによって、内容は随分変わってしまうコトでしょう。
政策と言っても経済や外交や社会保障など色々ありますし、また政治家は政策だけでなく政局もその力を計る意味では大きなポイントですから、これを外すのも違う気がします。
しかしそんなコト言っていては収拾が付かないのも事実で、なかなか困ってしまいますね。
というワケで考えた結果、政策についてはこれを評価するとなると、結局は評価者の思想や好みで評価が分かれますから、今回についてはあまり政策の評価はしない方向で行こうと思います。
では何で評価するのかと言えば、政権運営とか政治家としての行動についてです。
その総理大臣はどう政治家として歩んでいったのか、大げさに言うとそういう感じで書いてみたいと思います。
まずですね、民主党政権の総理については評価しなくていいですよね?(笑)
まぁ敢えて言いますと、3人の中で一番やえの評価が低いのが菅直人総理で、最もマシなのが野田総理です。
人によっては鳩山総理を最低に挙げる人もいるでしょうけど、やえは民主党が万年野党の時代からずっと菅直人議員は本当にヤバいと言い続けていましたので、総理に就任した時は本当に絶望でしたね。
結局あの人は運動家でしかなく、政治家になってもその運動家の思考が全く抜けなかったワケで、そんなので政治ができるワケがないんですよ。
この場合の「政治」とは、決して永田町で行われている行為だけの意味ではなく、広く「人間同士が行う社会行動」という意味での政治になります。
つまり菅直人という人は、「外野からがなり立てれば人間は動くだろう」という非現実的な思考を最後まで捨てるコトができなかった、いや今でも抜け出せない人なんですね。
しかし人間とは、理屈もありますが感情もあって、複雑な人間関係の上で相手がいてこそ自分がいるっていう社会の中で生きている動物なのであり、人を動かすとはこの現実を踏まえた上で行わなければ上手く行かないのです。
こんなのは永田町だけでなく、少人数のサークルの中でさえ同じコトが言えます。
だれだってそんな経験、一度や二度では済まないハズです。
しかしそれすら最後まで分からなかったのが菅直人という人間なんだろうと、そういう評価です。
そういう意味では、野田総理については、この人、自民党に所属し、自民党の権力争いで揉まれていれば良い総理になったんじゃないかなと思っています。
頭は良い人ですし、他人の意見を飲み込む気概も持っています。
ただ、環境が民主党だったというのがこの人の最大の不幸だったのでしょう。
菅直人総理とは真逆で、周りの意見を飲み込むコトができるからこそ、民主党という政党の雰囲気に抗うコトができなかったと思うんですね。
つまり、元々この人の気質ではないけど「反自民・反官僚・親労働組合」などという民主党のしがらみ(というかもはや民主党のアイデンティティですよね)に最後まで付き合ってしまったのが失敗した原因なワケなのです。
ですから、この程度のイデオロギーしかない民主党に浸からずに、ある種の何でもありの自民党の中で権力争いを行い、それで勝利して総理大臣になっていれば、もっとこの人らしいバランス感覚のある政治が実行できたのではないかと思うのです。
そういう意味では、優秀な人なのは間違いないこの人が、この程度で終わってしまったコトはもったいないですねとやえは思っています。
宇宙人については、宇宙人の思考はよく分からないので、分かりません。
宇宙人には総理大臣はできないというコトだと思います。
おっと、評価しなくていいですよねと言いながら、キッチリ評価してしまいました。
では次誰行きましょうか。
まずは小渕恵三総理にいきましょうか。
小渕総理は、まさに自民党らしい政治家だったと言えるのではないでしょうか。
政策もできるし、政局にも力をキチンと持っていた、ケンカもできる人ですし、また新しいモノを取り入れようとする意欲もありましたし、そしてこれらを活かす実行力も持っている人でした。
よく言われますように、他人の言葉に良く耳を傾ける人で「人柄の小渕」なんて言われていましたが、その通りで自民党内をうまくまとめていたというイメージが強いです。
この辺、娘さんである小渕優子議員にも受け継がれているのかもしれません。
不祥事で最近表舞台には出ていませんが、不思議な魅力で平成研究会(元小渕派・現額賀派)の次のエースは小渕優子だと前々から言われています。
「この人の言うコトならいいか」という人間から溢れ出る説得力を持つ人というのはそう簡単にいるモノではなく、政治家にとって、こういう魅力を持っているというのは大変強いと言えるでしょう。
そう言えば「冷めたピザ」と評されたコトもありましたが、やえはそうは思いません。
この人は周りの人の意見を聞き飲み込む度量があるからこそ、自分では決断できないかのように見えたのかもしれませんが、実際は違うんだと思っています。
例えば本当に決断できない状況というのは鳩山内閣の時のような、言うだけ言って期待させるだけ期待させたあげくに出てきたのは総理自身のボヤキだけだったというような状態のコトを言うのであり、周辺事態法や二千円札など、評価はともかく結果結論を出してきた人に表現する言葉ではありません。
現在ではだいぶ高い評価を得ている小渕総理ですが、やえとしましても、おおむね高い評価で良いのではないかと思っています。
これは極めて自民党的な力が最も良い形で発揮された総理だったと言い換えるコトができるとも思います。
元々頭はいいし、官僚ともキチンと意思疎通ができてパイプがある、その上で自民党の政治家の中で権力闘争を勝ち抜いて派閥の会長となった(なにせ小沢一郎に直接勝った人です)上で総裁総理に就任している人であり、つまり「総理に耐えうる政治家」だったと言えるワケなんですね。
政治とは複雑な事情がより複雑に絡み合っているモノであり、単に頭がいいとか人当たりがいいとか、それだけでは勤まりません。
政治とは人間総合力であり、総理大臣とはその最たる位置にあるモノです。
もちろん何事にも例外はあって、必ずしも毎回その総合力が高い人が総理になるワケではない、例えば後で評価しますが、第1次の時の安倍総理には理想や理念は人一倍ありましたが、あまりにも経験がなさ過ぎたために志半ばで倒れたワケですが、しかし少なくとも小渕総理は自らの力と能力と運で総理になった人です。
自民党の権力闘争とは、この人間総合力を磨き、またふるい落とすコトができる唯一の場である(自民党じゃないとダメという意味ではなく、現在のところ残念ながら自民党にしかないという意味です)と思っていますが、すなわち小渕総理はこれらの総合力がかなり高かった政治家だったと、やえは評しています。
在任中に亡くなってしまったのが惜しかった名宰相だったと言っていいのではないでしょうか。
っと、これ書いてて結構面白いですね(笑)
というワケで、もうだいぶ長くなったので、ここで一旦区切りますが、まだ数名しか評してないので、もうちょっと続けようと思います。
よろしくお願いします。
ディスカッション
コメント一覧
鳩山、管はどう考えても政治家にすら向いてない奴が総理になってしまった事例で、二度と繰り返しちゃいけない教訓みたいなものだもんなあ
金本位制はその算出量的に、限られた国にしか採用出来ない
この時点で日本が金本位制度に移行できたのはまさに偉業でしょ
そらいまとなっちゃ古くさい上に貨幣流通量の調整も出来ない遅れた制度だけどね
20世紀までは国家の威信と信用が掛かってたわけよ
現代知識でとやかく言うのは無意味だわな
大航海時代の壊血病や、20世紀日本の脚気、結核治療の抗生物質みたいなもんで、後知恵であーするべきこーするべきなんて誰にでも言えるわな
なんか僕へのレスだったのにいない間に凄い議論がされてますねw
.
イッチさんへ
確かに野田さんは舐めちゃいけない人だと思ってます(蓮舫代表は馬鹿にしてるみたいですが)
増税政局で谷垣さんを失脚させることに成功しましたしね、そんなの蓮舫代表にできるとは思えない
ただ「人によっては」というのははあんまり意味の無い議論かと
「沖縄に基地を無くそう」な人達は鳩山さんの事を何故か未だに評価してるし
「日本から基地を無くそう」な人は管さんを評価しているって話になってしまう
「管さんが首相だったら原発事故は起こらなかった」とか皮肉じゃ無く言ってる人が居ますもん
あとこの一連の議論については緊縮財政と増税について分けて議論した方が良い気がします
小泉政権~第一次安倍政権は緊縮財政だったと言われてますけど
PBは健全化されたし何より景気が良かったから問題あったとは思えないし
勿論量的緩和してたとか海外の景気が良かったとか景気良かった理屈は知ってますけど
それでも増税なしでも財政健全化が出来た訳でしてそれは決して無視できない事かと
ああ、失礼。松方はデフレにしましたね。確認不足で申し訳ない。
言い忘れましたが、私は金本位制移行を偉業とは思っていません。金本位制は金の量で経済が左右されてしまう害悪でしかありませんので。
それと財政健全化はデフレ脱却しない限り不可能です。
>>松方正義はデフレにはしてないですが……
松方財政が「松方デフレ」としてwikiにありますが、これはデフレ政策ではないのでしょうか?
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%9D%BE%E6%96%B9%E3%83%87%E3%83%95%E3%83%AC
>>そういう意味では緊縮したからダメというわけではなく、それが適切か否かで評価すべきと考えます。
はい、この考えは私と同じです。
しかし、財政の健全化を第一に考える人がいる、というのはそれは一つの考え方であると思います。
その意味で「論者によって評価が分かれる」というのが公平な評価ではないでしょうか?
鳩山と官は「誰が見ても論を待たないレベルで頭おかしい」のと比べればまだ評価はマシだと私は考えます。
この話題すらも論者によって異なる視点の違いに過ぎない話ではあります。
このため、この話はここで終わりにしたく存じます。この場は議論を交わす場ではなくやえちゃんに対してコメントを行う場なので。
デフレは害悪ですが、過熱したインフレも害悪です。
デフレ脱却には積極財政、過熱したインフレには緊縮財政が必要です。
そういう意味では緊縮したからダメというわけではなく、それが適切か否かで評価すべきと考えます。
インフレ時に積極財政するのは馬鹿ですしデフレで緊縮するのは阿呆です。
松方正義はデフレにはしてないですが……
麻生さんは経済政策は良かったですが、デフレ脱却には至りませんでしたね。
任期とか日銀とか色々ありますが。
安倍さんも消費税上げずに積極財政貫いてればデフレ脱却出来たでしょうにね。せっかくの黒田砲も政策がついてこないではね。
>>デフレ下での緊縮財政、増税、金利引き上げは経済を活性化することはありません。
これはもちろんその通りです。
しかし歴史上、例えば松方正義は超緊縮デフレ政策を行い、国民からひんしゅくを受けましたが、これは結果的に金本位制への移行という偉業に繋がりました。
宰相・蔵相の評価は「経済を活性化させる」ことのみではなく、よりよい後世を残す努力と結果によって決まるものではないでしょうか?
……という意味合いで「論者によって評価が分かれる」という言葉を使いましたが、確かにあの震災後かつ大恐慌下という1920年代後半のような状況で緊縮財政を貫くのはアホだと私も思っています。
歴史は具体的に繰り返されると言いますが、まさしく旧平価で金解禁を断行した浜口雄幸そのものです。
平成の高橋是清たる麻生太郎によって政策が転換されるところまで具体的なのが歴史の面白いところであります。
デフレ下での緊縮財政、増税、金利引き上げは経済を活性化することはありません。
その結果、未だにデフレ脱却出来て居ないわけです。
その評価は標準的なマクロ経済学を学べば一貫したものになりますよ。
ぐぬぬ……続きが早く見たい……
>>ズミシさん
野田の消費税増税に関して言えば、まだ弁明の余地があります。
積極財政と緊縮財政の天秤は後世の評価が非常に難しく、一概に緊縮財政を否とすることはできないと思います。
ただ、緊縮財政実施決定者よりも緊縮財政決定後に経済が停滞しないようにそれを実施した人とではもちろん評価は後者のほうが高いですし、その意味で野田さんにこれといった評価はありません。
しかし、「論者によって評価が分かれる」というレベルに達しているあたりは、前任者二人と違うと思っていいかと思います。
小渕首相は竹下政権以降止まってしまった「戦後の総決算」を実行した仰る通り名宰相でしたね
最初人気無かったのに国旗・国歌法や通信傍受法、周辺事態法等の難しい法案を通し
借金王と罵倒されても消費増税で冷え込んだ景気回復に努めて株値を2万にし
最終的に「何となく小渕」で国民の過半数から支持を得たのが凄い
あと民主党政権に関しては一番実利的に日本にダメージを与えたのは野田首相だと思ってます
菅政権から続く超円高株安路線を受け継ぎTPPを含め国内空洞化を推進し
消費税増税を決めて日本経済を致命的なダメージを与えようとしていた
森元総理と福田元総理をどう評価するかが楽しみです。
場合によっては大いに反論する準備をしておきますから
小泉の評価知りたい
安倍ちゃんは代替おるん?
現段階の自民党員で打線みてみたいなぁ
面白いんですよねー歴代総理の通信簿的なスレw
伊藤内閣から第三次安倍内閣まで全部書いててすごく楽しかったです。
「疾風の勇人」を読み始めてから自民党に興味を持ち始めたんですが、鳩山爺から安倍までの自民党の系譜はやえちゃんのほうが詳しいと思いますので、ぜひとも続きを楽しみにしています。
よければ他の歴代総理評価についてもご意見いただければ幸いです!