総理大臣評価論 1

2016年12月26日

 掲示板でこのようなコメントを頂きました。
 

やえちゃんこんばんわ。
 
最近、おーぷんで歴代総理大臣スレを立てている者です。
平成後期の総理大臣について書くうちに、ぜひともやえちゃんの評価を知りたくなりました。
もしよろしければ取り上げていただけますと幸いにございます。
 
下記にurl乗っけときます。
http://utuke.org/archives/1063042369.html

 
 コメントありがとーございまーす。
 というワケで、せっかくですので小渕総理以降の総理大臣について、やえの評価について書いてみたいと思います。
 
 と言っても、どの面を評価するのかによって、内容は随分変わってしまうコトでしょう。
 政策と言っても経済や外交や社会保障など色々ありますし、また政治家は政策だけでなく政局もその力を計る意味では大きなポイントですから、これを外すのも違う気がします。
 しかしそんなコト言っていては収拾が付かないのも事実で、なかなか困ってしまいますね。
 というワケで考えた結果、政策についてはこれを評価するとなると、結局は評価者の思想や好みで評価が分かれますから、今回についてはあまり政策の評価はしない方向で行こうと思います。
 では何で評価するのかと言えば、政権運営とか政治家としての行動についてです。
 その総理大臣はどう政治家として歩んでいったのか、大げさに言うとそういう感じで書いてみたいと思います。
 
 まずですね、民主党政権の総理については評価しなくていいですよね?(笑)
 まぁ敢えて言いますと、3人の中で一番やえの評価が低いのが菅直人総理で、最もマシなのが野田総理です。
 人によっては鳩山総理を最低に挙げる人もいるでしょうけど、やえは民主党が万年野党の時代からずっと菅直人議員は本当にヤバいと言い続けていましたので、総理に就任した時は本当に絶望でしたね。
 結局あの人は運動家でしかなく、政治家になってもその運動家の思考が全く抜けなかったワケで、そんなので政治ができるワケがないんですよ。
 この場合の「政治」とは、決して永田町で行われている行為だけの意味ではなく、広く「人間同士が行う社会行動」という意味での政治になります。
 つまり菅直人という人は、「外野からがなり立てれば人間は動くだろう」という非現実的な思考を最後まで捨てるコトができなかった、いや今でも抜け出せない人なんですね。
 しかし人間とは、理屈もありますが感情もあって、複雑な人間関係の上で相手がいてこそ自分がいるっていう社会の中で生きている動物なのであり、人を動かすとはこの現実を踏まえた上で行わなければ上手く行かないのです。
 こんなのは永田町だけでなく、少人数のサークルの中でさえ同じコトが言えます。
 だれだってそんな経験、一度や二度では済まないハズです。
 しかしそれすら最後まで分からなかったのが菅直人という人間なんだろうと、そういう評価です。
 
 そういう意味では、野田総理については、この人、自民党に所属し、自民党の権力争いで揉まれていれば良い総理になったんじゃないかなと思っています。
 頭は良い人ですし、他人の意見を飲み込む気概も持っています。
 ただ、環境が民主党だったというのがこの人の最大の不幸だったのでしょう。
 菅直人総理とは真逆で、周りの意見を飲み込むコトができるからこそ、民主党という政党の雰囲気に抗うコトができなかったと思うんですね。
 つまり、元々この人の気質ではないけど「反自民・反官僚・親労働組合」などという民主党のしがらみ(というかもはや民主党のアイデンティティですよね)に最後まで付き合ってしまったのが失敗した原因なワケなのです。
 ですから、この程度のイデオロギーしかない民主党に浸からずに、ある種の何でもありの自民党の中で権力争いを行い、それで勝利して総理大臣になっていれば、もっとこの人らしいバランス感覚のある政治が実行できたのではないかと思うのです。
 そういう意味では、優秀な人なのは間違いないこの人が、この程度で終わってしまったコトはもったいないですねとやえは思っています。
 
 宇宙人については、宇宙人の思考はよく分からないので、分かりません。
 宇宙人には総理大臣はできないというコトだと思います。
 
 おっと、評価しなくていいですよねと言いながら、キッチリ評価してしまいました。
 では次誰行きましょうか。
 まずは小渕恵三総理にいきましょうか。
 
 小渕総理は、まさに自民党らしい政治家だったと言えるのではないでしょうか。
 政策もできるし、政局にも力をキチンと持っていた、ケンカもできる人ですし、また新しいモノを取り入れようとする意欲もありましたし、そしてこれらを活かす実行力も持っている人でした。
 よく言われますように、他人の言葉に良く耳を傾ける人で「人柄の小渕」なんて言われていましたが、その通りで自民党内をうまくまとめていたというイメージが強いです。
 この辺、娘さんである小渕優子議員にも受け継がれているのかもしれません。
 不祥事で最近表舞台には出ていませんが、不思議な魅力で平成研究会(元小渕派・現額賀派)の次のエースは小渕優子だと前々から言われています。
 「この人の言うコトならいいか」という人間から溢れ出る説得力を持つ人というのはそう簡単にいるモノではなく、政治家にとって、こういう魅力を持っているというのは大変強いと言えるでしょう。
 
 そう言えば「冷めたピザ」と評されたコトもありましたが、やえはそうは思いません。
 この人は周りの人の意見を聞き飲み込む度量があるからこそ、自分では決断できないかのように見えたのかもしれませんが、実際は違うんだと思っています。
 例えば本当に決断できない状況というのは鳩山内閣の時のような、言うだけ言って期待させるだけ期待させたあげくに出てきたのは総理自身のボヤキだけだったというような状態のコトを言うのであり、周辺事態法や二千円札など、評価はともかく結果結論を出してきた人に表現する言葉ではありません。
 
 現在ではだいぶ高い評価を得ている小渕総理ですが、やえとしましても、おおむね高い評価で良いのではないかと思っています。
 これは極めて自民党的な力が最も良い形で発揮された総理だったと言い換えるコトができるとも思います。
 元々頭はいいし、官僚ともキチンと意思疎通ができてパイプがある、その上で自民党の政治家の中で権力闘争を勝ち抜いて派閥の会長となった(なにせ小沢一郎に直接勝った人です)上で総裁総理に就任している人であり、つまり「総理に耐えうる政治家」だったと言えるワケなんですね。
 政治とは複雑な事情がより複雑に絡み合っているモノであり、単に頭がいいとか人当たりがいいとか、それだけでは勤まりません。
 政治とは人間総合力であり、総理大臣とはその最たる位置にあるモノです。
 もちろん何事にも例外はあって、必ずしも毎回その総合力が高い人が総理になるワケではない、例えば後で評価しますが、第1次の時の安倍総理には理想や理念は人一倍ありましたが、あまりにも経験がなさ過ぎたために志半ばで倒れたワケですが、しかし少なくとも小渕総理は自らの力と能力と運で総理になった人です。
 自民党の権力闘争とは、この人間総合力を磨き、またふるい落とすコトができる唯一の場である(自民党じゃないとダメという意味ではなく、現在のところ残念ながら自民党にしかないという意味です)と思っていますが、すなわち小渕総理はこれらの総合力がかなり高かった政治家だったと、やえは評しています。
 在任中に亡くなってしまったのが惜しかった名宰相だったと言っていいのではないでしょうか。
 
 っと、これ書いてて結構面白いですね(笑)
 というワケで、もうだいぶ長くなったので、ここで一旦区切りますが、まだ数名しか評してないので、もうちょっと続けようと思います。
 よろしくお願いします。