是々非々の対応をしろ言いながら是々非々の対応をしたら批判する矛盾

 政権交代してからは野党自民党は法案によって是々非々の対応をするって言ってましたよね。
 今までの野党社会党や民主党には一切「野党責任」を求めず反対のための反対をスルーしていた、いえむしろ推奨すらしていたマスコミですが、なぜか自民党にだけは是々非々の対応を求めました。
 そして真面目な自民党は、民主党のような無責任な態度は取れないと、その方針を決めました。
 しかし是々非々ってなんですかともう一度考えてみてください。
 それは法案によって法案ごとに賛否を決める、自民党なら自民党の主張に沿う法案であれば賛成するし、自民党の主張に沿わない法案なら反対するという意味です。
 言うまでもないコトですよね。
 
 別のお話をします。
 内閣不信任案ってなんでしょうか?
 例えばウィキペディアには「特定の内閣を信任せず退陣を求めることを内容とする決議」と書いてあります。
 まぁその通りでしょうね。
 内閣不信任案とは読んで字の如く「内閣に対して信任しないというコトを決議する案」です。
 例えば以前何回か大臣に対する不信任案や参議院での問責が出されたコトがありますが、これはやっぱり読んで字の如く、その大臣1人に対して信任しないというコトの決議ですよね。
 ですからここからもやっぱり内閣不信任案とは「内閣全体を内閣として不適格だから信任しない」とする案と言えるワケです。
 
 では、自民党の立場というモノを考えてみましょう。
 自民党、消費税増税に関しては前の参議院選挙で公約に掲げて戦い、そして自民党は参議院選挙では一番議席を得て勝ちました。
 よって、自民党の主張する消費税増税は民意を得ている状態にいまはなっているワケです。
 つまりですね、自民党は自らの公約を達成しようとしているだけなんですよ。
 しかも「前倒し」で。
 ただし自民党は野党ですから、自らの公約を達成するためにはどうしても与党の力が必要です。
 ですから自民党としては、自らの公約を達成するという民主主義の「大正義」のために、与党民主党を利用しているだけなんですね。
 民主党がたまたまいま与党だから民主党を利用しているだけです。
 別に民主党だからっていう理由ではありません。
 正確には「野党が与党を利用している」っていうだけなんですね。
 
 自民党は全ての法案に対して是々非々の対応をすると決めており、その上で自民党は消費税増税は公約として掲げて民意を得ているのですから、チャンスがあれば公約達成をしようとするのは当然です。
 そもそも是々非々を求めたのはマスコミと国民ですよね。
 ですから自民党は公約部分の達成については是々非々の原則に従って達成のために民主党を利用しているだけなのです。
 別に民主党に親切心で野田総理の願望を叶えてあげようとしているワケではありません。
 自民党は自民党のため消費税をしようとしただけです。
 
 そして内閣不信任案は内閣全体を不信任する話です。
 消費税は是々非々の法案のお話ですが、内閣不信任案は民主党政権そのものへの評価です。
 この両者、リンクする部分があると思いますか?
 リンクしません。
 自民党はこれまで一度たりとも民主党政権を肯定したコトはありません。
 消費税に対する自民党の態度というのは、自民党が自民党のためにやっているだけです。
 民主党を助けようとかそういうコトは一分もありません。
 ですから、消費税への賛否と内閣不信任案に対する賛否全く関係がありません。
 この両者を混同して語る行為は害悪だと言っておきましょう。
 
 消費税法案を推し進める努力はするけど、内閣を信任するか不信任するかと聞かれれば、当然自民党は不信任するというのが当たり前であり、これこそが「筋」なのです。
 
 いつから内閣不信任案は特定の法案の是非を問う案件になったのですか?
 やえは寡聞にして知りません。
 内閣不信任案は内閣全体を肯定するか否定するかの案です。
 いまの自民党にそれを問うたら否定するのが当たり前じゃないですか。
 消費税法案も含めて、今まで自民党が民主党政権を肯定したなんて聞いたコトないでよ。
 自民党は野党だから公約を達成できない、だから与党の力を利用するってだけの話で、ここに民主党という単語が出てくる必要は無いのです。
 いまたまたま与党にいるのが民主党ってだけの話程度なのです。
 
 マスコミも国民も、政権交代直後、もしくは参議院選挙直後に自民党に「是々非々の対応をしろ」と言った人は、いまの自民党の是々非々の対応を理解しなければなりません。
 決して是々非々の対応とは、民主党に常に有利な対応をしろってコトではありません。
 当たり前ですよね。
 是々非々とは、案件ごとに態度を変えるっていう意味です。
 自民党、是々非々の対応してるじゃないですか。
 なんで批判するんですか?
 是々非々の対応をしろって言ったくせに、是々非々の対応をしたら批難するって、どれだけ自分勝手ですかと、我が侭ですかと、餓鬼ですかと。
 そういう態度こそが政治の足を引っぱっているんです。
 キチンと理解してください。
 
 果たして誰がいま日本の政治の足を引っぱっているか、よくよく考えてみてください。