復活折衝は政治主導

2012年4月15日

 政治用語に「復活折衝」というモノがあります。
 もしかしたら厳密には「ありました」と言うべきなのかもしれませんが、これは自民党政権時代のこの時期の予算に関する用語でして、現在の民主党政権でこれが行われているかどうかは、ごめんなさい、やえは知りません。
 まぁとにかく、自民党政権時代には、秋の臨時国会が終わり、来年の通常国会に提出する予定の来年度予算案を決定するための重要な場として「復活折衝」というモノがありました。
 
 民主党政権になってからというモノ、法案や予算の決め方というのがメチャクチャになって、というか民主党政権になって自民党とはまた別の決め方に組み替えるというのだけでしたらまだいいのですが、民主党の中の人事が変わるたびにやり方を変える、例えば鳩山-小沢時代は小沢幹事長に全てが一極集中するような決め方でしたし、菅政権の時は「自分を辞めさせたければこの法案を通せ」とかデタラメでもはや政権の体を成していませんでしたし、現在の野田内閣はどうするのか分かりませんが少なくとも前原民主党政調会長が口先ばかりで威勢のいいコトを言って政府の足を引っぱっていますからこれまた混乱が予想されるところですけど、このように人によってやり方がコロコロ変わる人治国家のようなやり方では国民がムダに混乱するだけでメリットなどありはしません。
 キチンと大枠があって、その中でいかに国民の声を反映させられるシステムを構築して、そして運営していくのか、これこそが政治の本来のあり方でしょう。
 自民党政権時代にあった「復活折衝」も、その1つだったワケです。
 
 自民党政権時代の予算の決め方というのは、衆議院や参議院で審議する前から色々と役所も絡んで予算を組んで議論して決定していました。
 全部を説明すると大変なので機会があればおいおいしていきたいと思いますが、ちょっと調べましたら、キチンと感情抜きで説明している方もいらっしゃったので、ご紹介をしておきたいと思います。
 

 概算要求基準、補正予算、復活折衝とは?
 
 もっとも、予算編成は4月、新たな予算が実施された瞬間から始まっています。日本の予算はよく「財務省(旧大蔵省)主導」とよくいわれますが、一から十まで財務省の官僚たちが予算をきめるわけではありません。じっさいは、むしろ逆です。
 (中略)
 このあと、この原案の修正交渉がはじまります。これを「復活折衝(せっしょう)」といいます。これは各省の総務課長と主計局の局員(主査)レベルの交渉からはじまり、決着がつかない場合は各大臣と主計局長の交渉(大臣折衝)や、さらには自民党幹部と財務大臣との交渉(政治折衝)がおこなわれたりして、最終的な政府の予算案が決定します。

 
 この引用を読んで貰うだけでよく分かるのですが、つまり復活折衝とは、それまで内閣(総理)が大枠を決定し、それに沿って財務省が概要を決めて、さらに各役所が必要な予算を組んで財務省と折衝し(概算要求)、その上でほぼ予算案が決まって、そして最後の作業として与党議員が大臣と直接折衝するという作業が「復活折衝」なのです。
 最後の最後で、大臣と与党議員、つまり政治家同士が話し合って個別の予算についてこれをどうするのか、予算案の中に組み込むべきか、やめるべきか、これを決定するのです。
 主に、いままでの予算議論の中で落ちてしまった予算を政治家が大臣に復活させるよう折衝するので、これを「復活折衝」と呼ばれているのです。
 
 これって政治主導ですよね。
 
 そもそも政治家の仕事というのは、道筋を決定するコトです。
 どこに行って何をするのかというコトを決めるのが政治家の役割であって、その決定の後に、そこに行くためには何が必要なのか、それを実行するためにはどれだけお金が必要なのかという部分は、これは言ってしまえば誰でも出来るコトですから、官僚が行うワケです。
 極端に言うと、政治家と官僚の違いはここにあります。
 官僚は誰がなったとしても、やるコトは一緒なのです。
 変な例えですが、タクシーの運転手は誰がなったとしても指示すればその場所に送ってくれるワケで、つまり政治家とはタクシーに乗った後に「どこに行くか」の指示をする人だと言えるワケなのです。
 
 ですから、まず総理や内閣が予算の大綱を決めるコトも政治主導というか政治家の仕事そのものですし、また復活折衝だって、これは官僚が詰めたコトを、さらに国民の代表として予算を組み替えるというコトなのですから、やっぱりこれこそ政治主導です。
 民主党やマスコミは、この復活折衝を古い政治のやり方だと批判していましたが、でも古いかどうかというのは良い政治かどうかとは一切関係なく、そしてこれは民主党の言う政治主導そのものなのですから、本来はキチッと評価されるべきモノなのではないでしょうか。
 当の民主党は最近全然政治主導なんて言わなくなりましたしね。
 さも自民党は官僚主導で政治を行ってきたかのようにマスコミもずっと喧伝してきたワケですが、実情はこのように違っていたワケです。
 
 まだまだ東北の復興が予算にとってかなり重大な意味を持つ中で、果たして民主党政権はまともな予算を組むコトが出来るのでしょうか。
 やえには心配しかありません。