比例を減らす弊害

2012年4月15日

 最近言いたいコトがいろいろ多いのですが、ひとつひとつ取り上げていきたいと思います。
 今日はまず、今国会で改正されるかもしれないと目されている、選挙制度の問題を考えてみたいと思います。
 まずはこちらの記事をご覧下さい。
 

 衆院選挙制度改革:小選挙区0増5減、比例80減 各党地元から反発 「声届かず」「増税の前哨戦」
 
 民主党は18日の政治改革推進本部で、衆院の「1票の格差」是正に向け、自民党の「0増5減」案を採用した衆院議員選挙区画定審議会(区割り審)設置法改正案と、衆院比例定数を80削減する公職選挙法改正案を正式に決めた。しかし、自民、公明両党は比例80の削減に反対する方針で、法案の行方は見通せない。与野党協議が不調に終われば、民主党は24日召集の次期通常国会に関連法案を単独で提出する構えだが、定数が減る県の関係者からは戸惑いの声も出ている。

 
 選挙制度の問題は、いわゆる「1票の格差問題」など色々な問題が絡み合うのですが、今日はシンプルに1つのコトだけに注目しておこうと思います。
 いま与党民主党が示している案は記事にもありますように、小選挙区が「0増5減」、そして比例は「80減」という案です。
 小選挙区の方法は自民党の提案の丸飲みのようなのですが、比例については民主党独自案のようで、そのままズバリ80議席を削減するという案です。
 いまの世の中、議員は削減するのが正義みたいな空気があるので、一見この80という数字はすごく良い案のような印象を受けるところですが、これには大きな問題があります。
 それは「議員を削減するのが正義」という空気は違いというお話しではなくて、もし仮にそれが正しい考え方だったとしても、この「比例80減」というのは大きな問題があるのです。
 
 というのも、郵政選挙があって前回の選挙があって、それでよく言われたコトとしては、「小選挙区制は票数のワリに結果が極端になる」というモノがありましたよね。
 というか、いまでも良く言われる、しかも否定的な感じで言われるコトが多いです。
 簡単な理屈です。
 例えば10つの選挙区で全ての結果が6:4という票差でA党が勝ったとしたら、これは4割はB党の支持もあるというコトになるのですが、しかし選挙としては10:0という結果になってしまうからです。
 だからこれは、民意が正しく反映されないという弊害もありますし、また極端に触れすぎる選挙は政治の安定にとっては大敵だという弊害も指摘されているワケです。
 そしていま民主党以外の政党が「それでは大政党だけが極端に有利になる」と反発していますが、理由はここにあるんですね。
 つまり小選挙区は「1か0か」の選挙ですから、仮に比例を廃して全てを小選挙区だけで決めてしまうと、やはり普段は与党第一党と野党第一党が国会では主導権を握り、政治の中心を担うコトになりますから、自然と選択肢はこのどちらかになるという考え方になってしまいますから、選択肢が極端に少なくなります。
 また組織力も資金力も違いますから、小選挙区だけになればどうしても「大政党」が有利になるというのは、間違いない事実です。
 そしてそれは、単に自分のところ(小政党)が不利になるって言う自分本位だけの考え方ではなく、結局それは国民にとっても「民意が正しく反映されない」「選択肢が少なすぎる」「政治が安定しない」というコトで不利益にもなるから反対だと言っているワケなのです。
 
 果たしてこれでいいのでしょうか。
 
 そもそもいまでも「小選挙区制でいいのか」という議論があるワケですが、比例8削減は、さらに増して「小選挙区制」を強める結果にしかなりません。
 いくら議員削減が正義だったとしても、この理論矛盾は放置しておくべきではないでしょう。
 やえは本来比例制度は嫌いな制度なのですが、しかし現行制度で比例を廃止してしまうと、このような民意を反映していない選挙制度になってしまうのです。
 それは民主主義の自殺と言わざるを得ません。
 単に議員定数を減らす、良かったね、という問題だけでは済まないコトは最低限理解しておかなければならないでしょう。
 
 そういう意味も含めてこの前は、惜敗率全国一律で復活させるべき論を唱えたというのもあるんですけどね。
 ただし、ご指摘を頂いたのですが、確かにこれでは1票の格差がさらに広がるかもしれません。
 難しいですね。
 
 繰り返しますが、現行制度のまま民主党が言うように単純に「比例を80削減する」というのは、やってはならない手法です。
 民主主義が歪んでしまいかねません。
 ここは冷静に、単に「議員がいっぱい減るのだからいいじゃないか」という単純な思考回路に陥らないよう、キチンと民主主義の意義を考えてから結論を出して欲しいと思います。
 やえ自身もどういう選挙制度がモアベターなのか、まだまだ答えが出ていませんので、引き続き御意見をいただければうれしいです。
 よろしくお願いします。