胸襟開くのは総理自身
いま野田総理のマイブームは「胸襟を開く」です。
これ、国会の内外でしきりに言っています。
「与野党を越えて胸襟を開いて議論しましょう」と、もう耳にタコが出来るぐらい言いまくっています。
でもやえは言いたいです。
本当に胸襟を開くべきはアナタでしょうと。
アナタ自身が胸襟を開いていないのに、なぜ相手にだけ開かせようとしているのですかと。
それはとっても卑怯な行為なのではないのですかと。
言うまでもありませんが、いま自民党など野党の態度が硬化している理由は問責決議です。
田中防衛大臣と前田国交大臣に対して、参議院が正式に問責決議を可決したにも関わらず、この２大臣は未だに大臣のイスにしがみついているからです。
問責が障害となって国会の動きが鈍いのは、そんなのは誰が見ても明らかであり、もし本当に野田総理が野党の理解を得ようと思うのであればこの問題をどうにかするのが何よりも一番であり、そしてそれは野田総理にこそ出来るコト、総理大臣にしか大臣の罷免は出来ないのですから、もし胸襟を開くのであればまずは野田総理からだというのはもはや考えるまでも無いコトです。
この点、勘違いをしている人がいます。
特に民主党が一番勘違いしているワケですが、この２大臣の辞任という問題は、単なる自民党の個人的な意見ではありません。
参議院の問責を言うと必ず「ねじれているのだからいちいち言うコトを聞いていたら自民党の思うままじゃないか」と言う人がいますが、しかしそれは自民党が自民党だけの意志で好き勝手振る舞っているワケでは無く、あくまで選挙を通じて国民が参議院で議席を与えたからだという事実を忘れてはいけません。
国民の意思があるからこそ、参議院では自民党の意志が正式決定されるワケであり、ねじれているのは決して自然災害でもなんでもなく、自民党のクーデターでもにく、国民の意思によってねじれているのです。
つまり問責決議は、参議院という国権の最高機関の一翼を担う日本で最も重い機関が正式に決定したという「参議院の意志」なのです。
決して自民党が民主党を攻撃するだけの意味で言っているワケではありません。
これはもはや「自民党だけの意志」を越えて、「国会の意志」となっているのです。
もちろんなぜあの２大臣が問責を受けたのかという理由も大切ですが、同時にこれは「参議院の意志」だというコトも忘れてはならないのです。
例えばいま衆議院が解散しないのは、それは選挙によって決定された議席によって民主党が多数を占めているからです。
そして民主党が与党であるのは国民の意思だからです。
決して民主党が民主党の意志だけで与党の座に就いているワケではありません。
それは憲法と法律と選挙の結果として、民主党が衆議院では多数をとっているからであり、ここの点に関しては誰にも否定はできません。
ですから最終的に「解散権は総理にある」という言葉は正論であり、それは誰にも崩せない論理です。
いま政府を民主党が中心になって構成されているコトに対しては、誰も「民主党の我が侭だ」なんて言う人はいませんよね。
しかしそれは同時に、参議院においてねじれが発生して問責が決議されたというのも、それは国民の意思を元にして憲法と法律によって規定されているコトだというコトも忘れてはいけません。
衆議院で民主党で過半数を持っているのと、参議院では民主党は過半数割れしているのは、同じ意味であり、同じ国民の意思であり、同じ重みをもっていコトなのです。
「衆議院は解散しないし、消費税法案を議論するのは国会の仕事であり、国会議員はみな真摯に胸襟を開いて応じるべき、でも参議院の問責は自民党の個人的な我が侭だから聞く必要ない」
結局のところ、野田総理も民主党もマスコミもそれを支援する人も、要はこういうコトを言っているのです。
メチャクチャのデタラメです。
法律を知らない仕組みを分からない、ただただ自分の意見だけが通るべきだと思っている、子供以下の逆コナン君です。
もし胸襟を開いて欲しいと思うなら、自分から胸襟を開きましょう。
そしてキチンと制度を理解し、重みを理解して、いま一番最初に何をやるべきかを考えなければなりません。
こんなのは政治に関わらず全てのコトにおいて、「オレ様がやりたいからやる。お前らはオレ様の意見を胸襟を開いて聞いていればいい」なんて態度では、誰も付いてきませんし、なにも物事は動かないでしょう。