もし処分をしないのであればそれはただのサル芝居だ

 可決は想定通りでしたが、消費税法案が衆議院を可決しました。
 そしてこれは予想通り過ぎて予想を超えてしまったという複雑な表現ですが、民主党の小沢派や鳩山派などの議員から大量の造反反対票が投じられました。
 投票前の予想では、54人が党を離れると少数与党になってしまうところ、反対者は40~50数名と予想されていましたが、実際に反対票を投じたのは54人を越えて57にものぼったというコトで、ここはかなりの予想外だったと言えるでしょう。
 この結果について、本会議場であのむっつり顔がデフォルトの小沢一郎がニヤニヤを止められなかったみたいで、それだけ予想以上の大満足の結果だったというコトなのでしょう。
 
 さてこの騒動は、ここが始まりと言っても過言ではありません。
 これで小沢・鳩山派と民主党執行部の亀裂は決定的になりました。
 ここからこの両派がどのような動きをするかです。
 執行部がどんな処分を下すのか、それとも小沢派が先に離党して先手を打つのか。
 ここがハッキリしなければ次に進みません。
 
 消費税増税法案はまだ成立していません。
 参議院での審議と採決が必要だからです。
 ですからこれからは、参議院での採決をどうするのかという点での攻防が出てくるワケです。
 もしこの問題を両派ともになぁなぁにしてぼやかしたままだと、最悪参議院では否決される可能性があります。
 
 この消費税法案の発端は、野田総理が民主党代表として民主党として、自民党と公明党に頼み込んで始まった法案です。
 思い出すまでもなく自民党は当初、民主党と協議するコトも否定していました。
 その当時はマスコミから大バッシングを受けていましたから、記憶している人がほとんどでしょう。
 ですから自民党も公明党も本当は協議すらやりたくなかったワケですが、野田総理が頼みに頼み込んだので、自民党も増税という政策だけを考えれば参議院選挙でその公約で国民の負託を得ているという背景もあり、致し方なく自民公明は協議に応じ、そして合意に至りました。
 こういう経緯があるワケです。
 ですから繰り返しますが、これは野田総理が民主党の代表として民主党として頼み込んだコトが発端となって始まったお話なのです。
 
 よって、そもそも頼み込んできた民主党の方がこの体たらくでは、処分しないと言うのであれば、頼まれたからこそイヤイヤはじめた上に苦労してまとめたという努力を押しつけた自民党と公明党に、いい加減にしろと愛想をつかれても仕方ない、というより当然だという状態なワケですね。
 自分の身に置き換えて考えてみてくださいよ、「この仕事は私が担当だけどひとりではキツイからお前もやってくれよ。ほら大変だろ、難しいんだよ。ま、でも私は1/4もやらないけどな」なんて言われて怒らない人がこの世の中にいますか?
 特に造反自体は物理的にだって止めようがないですから仕方ないとしても、それを処分しないというコトになれば、結局本気で党内をまとめようという覚悟が無かったと言われても仕方ないですから、では参議院は反対に回るとなっても自民公明としては筋が通っていると言えるでしょう。
 だってですよ、こんなのが通用するのであれば、自民党だって議論の段階では反対者がいっぱいいたのですから、じゃあ谷垣総裁だけが賛成するから後の人は自由投票にしていいよっていうサル芝居を打ってもいいというコトになるじゃないですか。
 つまりもし民主党執行部が造反者に処分無しや甘い処分で終わらせたら、それは自民と公明に対してサル芝居を打ったというコトになりますよね。
 「お前のところはまとめろ、でも自分のところは適当にやるから後よろしく」では、怒らない方が異常です。
 ははぁ、民主党の言う野田総理の言うマスコミの言う3党合意とはそんな軽いモノだったのですかと。
 政治家が、公党が約束したコトがそんな軽いワケがありません。
 サル芝居を打てば通るなんて、そんな約束はこの世の中にあってはならないのです。
 ですからサル芝居を打ったというコトになれば、当然「約束は反故だ」と成っても当たり前の話なワケです。
 
 これからはここを忘れないようにしましょう。
 今回の消費税法案は決して自民党が主導したワケではありません。
 自民党は本当は麻生政権時代の方針を継承して、自民党が主導で景気経済対策と消費税問題をこなしたいのです。
 それを曲げて頼んだのが「民主党」なのです。
 これは決して野田総理個人が個人的に谷垣総裁に相談したのではありません。
 「党対党」という単位での約束事です。
 この構図は忘れないようにしましょう。
 
 マスコミがまたジミンガーを発動しそうな雰囲気ですが、この構図を忘れないようにしてほしいです。
 もし仮に民主党がサル芝居を打っていたコトになって自民党が怒って参議院で問責を出した時に、マスコミが「自民党は責任を取れ」と言い出しかねませんが、いったい誰がメチャクチャにしているのか、キチンとここで覚えておきましょう。
 日本の政治が民主主義政治として筋は通さなければならないと思う人であれば、絶対にこの民主党の出鱈目は正さなければなりませんし、マスコミのデタラメに荷担してはなりません。
 誰が何を言っているのかしっかりと聞いてほしいと思います。