政党の役割とは

 政党とはなんでしょうか。
 じっくりと考えたコトがありますでしょうか。
 多くの人にとって政党とは、気付いたら存在していた自民党と、鳩山元総理が巨額の子ども手当によって作った民主党と、あと自民党から分裂した党とか、なんだかこわい共産党とか、そのぐらいの認識だろうと思います。
 自分にとってはあまり関係が無い存在というのが大部分の人の感想でしょう。
 
 距離感はそれでもいいんですが、しかし、政党が存在している理由はちょっと考え直してほしいと思います。
 というのもですね、「党議拘束」っていう言葉を聞いたコトあると思うのですが、これって基本的にマイナスイメージで語られる場合がほとんどですよね。
 多分政党っていうモノをじっくりと考えていない場合、パッと「党議拘束」という言葉を聞くと、これはなくした方がいいモノという認識がまず浮かぶのではないでしょうか。
 ハッキリ言いまして、これは認識を間違えていると言っておきたいと思います。
 
 政党って、まぁ政党によって多少性格が異なるのですが、基本的には、基本理念に賛同した人間が集まる集団ですよね。
 自民党なら自由と民主主義や自由経済、憲法改正なんかも党是としての共有認識ですね。
 共産党なんかはもっと分かりやすくて、ひとことで言えば共産主義思想による国家運営を目論んでいる政党であり、所属議員はそれを達成しようという目的で集まっているワケです。
 ですから自民党と共産党は絶対に相容れない存在同士なのですが、このように基本理念の旗が政党というモノです。
 
 ただし、国会議員という存在は、まず自分の理念があって、その理念を達成したいからこそ立候補して議員になっている一言家なワケですから、議員同士で考えが全く同じ人というのはいないでしょう。
 それは議員に限らず普通の人でもそうですよね。
 やえもこういうサイトをやっていますから一言家の端くれですが、いままで1から10まで全て考えが一緒だと思った人に会ったことは1人としていません。
 他人とは意見が違って当然です。
 それが国会議員という考え方を売り物にしている人たちならなおさらでしょう。
 だからですね、政党というのは基本的な大まかな理念があった上で、それに合致する政党に所属して、そして細かい部分については個別に議員同士が議論して決めていくという仕組みなんですね。
 
 この政党の基本的な仕組みを理解した上で、ではもう一度「党議拘束」っていうモノを考えてみてください。
 政党は1から10までの思想を議員に縛るモノではありません。
 共産党は違うのかもしれませんが、自民党なんかはそもそも党の綱領や規約に政策の細かい部分までは書かれていませんから、だから党の大まかな基本政策に逸脱しない範囲で議員同士が議論して結論を得ていくワケですね。
 つまり、「党議拘束」っていうモノは議論した結果の上に成り立っているモノなのです。
 
 そして国会においてはこれがあるから、1つの結論に向かって政策を進めていくコトが出来るのです。
 議員に限らず誰だって意見はバラバラですから、もしこれをまとめる努力をしなければいつまで経っても結論を得るコトはできません。
 でもテレビ討論と違い国会では1つの結論を必ず得なければならないのですから、必ずどこかで意見の集約をしなければなりません。
 その単位として必要なのが政党なのです。
 
 いま民主党が、消費税増税法案に対して所属議員が反対票を投じても処分しない可能性について言っていますが、もしこんなコトをするのであれば、民主党は政党としての体を成していないとしか言いようがありません。
 もしそんなコトをするのであれば、もう党を解散させた方がいいです。
 そもそも、ではなんのために政党としてまとまっているんですかと聞きたくなります。
 別に政党は義務ではありません。
 政党に所属するコトが法令で定められているワケではありません。
 だから党内で議論をまとめられずに、国会での採決でもまとまれないのであれば、ではそもそも何のために政党を組んでいるのかが分からないワケで、それなら最初から全員無所属で自由に投票していればいいじゃないですかとしか言いようがなくなるワケです。
 民主党は何のために政党を組んでいるのですか?
 
 逆に言えば、もしこのような行為をするのであれば、政党を組んでいる意味というのは政党助成金などの利益を得るためだけになりますよね。
 お金のためだけに政党を組んでいる。
 こんなの果たして許されるのでしょうか。
 
 繰り返しますが、政党所属は義務ではありません。
 政党がなければならないという法はありません。
 ですから、党内で議論が出来ないとか、1つの結論を得られないっていうのであれば、それは政党を辞めるべきです。
 むしろ国会での審議を阻害する存在であるなら、そんな政党は無くすべきです。
 
 いまの民主党は、こういう存在なのです。
 
 党議拘束を悪とする風潮が未だに存在していますが、よくよく考えて下さい。
 それが悪であれば、では政党を辞めるべきじゃないですか。
 テレビ討論ではなく1つの結論を得なければならない政治上の集団であるなら、1つの結論を得るために議論しなければなりませんし、結論が出たら1つにまとまらなければなりません。
 そのための政党なのです。
 
 明日採決と言われてますが、その後民主党がどういう行動に出るのか、しっかりと見ていて欲しいと思います。