小沢新党で最も注目すべきところ
小沢一派が新党を立ち上げました。
その名も「国民の生活が第一」という、なんとも言いにくい党名が昨日発表されたワケですが、とりあえず略称は「国生」でいいんですかね、立ち上がりました。
で、早速なんですが、この政党の注目点はなんだと思いますか?
政策でしょうか、人事でしょうか、それとも民主党との立ち位置でしょうか。
違います。
そもそも小沢一派がいまの民主党とこういうコトになった直接の原因は、民主党の中で意思決定のためのプロセスがしっかりとシステム化されていないからです。
だからそれぞれが「自分が言っているコトの方が正しい」と言ってしまっているワケで、こんな混乱になってしまっているワケなんですね。
だから小沢一派が新党を立ち上げるのでしたら、まずここを注目すべきなのです。
歴史を紐解きますと、一番最近似たようなコトと言えば、郵政の時の自民党の混乱でしょうか。
そうです、国民新党が出来たキッカケのアレです。
しかしあの時の今回のと全然違う点は、自民党は党としての意志決定機関がシステムとしてキチンと出来上がっている点というコトでしょう。
よく当サイトでは紹介して入れところですが、自民党は「部会→政務調査会→総務会」という党の正式な機関でもって政策などを審議して上に挙げて、党としての正式決定とすると規約に定められていますから、この手続きはいくら自民党総裁だとしても曲げるコトはできないんですね。
例えば自民党では総務会がNOと言えば、総裁であってもそれを曲げるコトは出来ないのです。
まして部会という段階で、所属議員であれば誰でも自由に出席して意見を言う場があるワケで、長老議員でも一年生議員でも平等に意見を言い決定に関わるコトが出来るというのがシステムとして自民党は整えているのです。
このように自民党は議論する前からキチンと手続きを決めていて、誰の目にも分かる形を公開しているワケで、郵政法案の時もこの手続きをキチンと当時総裁だった小泉総理が取った上で法案を提出して国会での採決にかけたのであって、だからこそ反対した亀井議員らの行為というのは完全に造反としか言いようのない行為だったと言えるワケなのです。
だから亀井議員も、「自分達の方が自民党だ」なんてコトは言いませんでしたよね。
政策の違いがあるから造反した自分達が出て行くと、ここは筋を通したのでしょう。
しかし民主党にはこういうシステムがありません。
国会でも何度か話題に上がりましたが、結局、どの機関を通せば民主党としての意志決定になるのかハッキリとは出てきませんでした。
国会で聞かれてもこれなんですから、当然現場はもっとなぁなぁでしょう。
なんとなく上の方が決定だ党議拘束があると言うと、それが決定かのように捉えられていた程度のコトだったのだと思われます。
ですから今回の消費税のような様々な意見がぶつかり合うような案件の時には、党内での議論というモノが出来なくなってしまうワケです。
議論しても、なにをもって決定かが決まっていないのですから、いつまで経っても個々人が言いっぱなしで終わるんですよ。
そりゃいくらなにをやっても決定が出来るワケがなく、ここが「決められない政治」の本質なのです。
ですからこの反省に立って小沢一派が新党を立ち上げるのであれば、ここをまずは改善させる必要があります。
つまり、党としての意志決定をどのようなシステムで行うのかをハッキリさせるというコトです。
いまのところ新党「国民の生活が第一」には公式サイトが無いようですから、ここがどうなっているのかよく分かりませんが、しかしこの報道を見るに、ますます事態は悪化しているようにしか見えません。
小沢代表、結党大会で「党議拘束設けません」
新党「国民の生活が第一」の小沢一郎代表は11日、都内で開いた結党大会で、「我々の政党には、国会の各院採決に際しての党議拘束は設けません」と述べた。
うーんと、じゃあこの党ってなんのために存在しているんですかね?
例えば小沢新党は反原発とか反消費税を掲げているようですが、しかし国会での採決の際にはこれにも造反する可能性が普通にあるってコトですよね。
「国民の生活が第一」所属議員が、採決の場になって「やっぱり原発は大切よね」ってそっちに投票する可能性だって普通にあるワケです。
それを禁じていないのですからね。
じゃあこの政党ってなんのために政党になっているんですかと言いたくなります。
こんなんじゃ選挙の時に「反消費税のために投票した」っていう有権者を、普通に合法的に裏切るコトが可能です。
「もともとウチは党議拘束はかけないって言っててその通りにしただけで、それを承知で投票したんだから、それは投票したお前のせいだ」って言っても、まぁ筋は通るワケです。
いったいぜんたい「国民の生活は第一党」は何のために政党という殻を作っているのでしょうか。
結局小沢新党は、民主党以上に意志を決定するつもりが無い、むしろ皆無だというコトです。
決められない政治の極みですね。
結局小沢新党は選挙互助会としか呼び名がないですよね。
だって国会では無所属と同じようにバラバラに行動するというコトなのですから、選挙の時に統一の党名を名乗るだけしか政党の意味合いはありません。
まんま選挙互助会ですよね。
自民党と、民主党系の政党(民主党・小沢党・きづな・新民主)との一番の違いは、政策やイデオロギーの違いではありません。
政治に対する姿勢です。
政治は決定が必要不可欠です。
ただ言い合うだけなら、そんなのは評論家や思想家に任せればいいのですし、決定したくないなら政治家にはならないコトです。
でも民主党系の議員というのは、この決定から逃げるのが基本姿勢です。
ここが、長年与党として様々な決定をしてきた自民党との一番の違いなんですね。
有権者はまず政治の根本たるここに注目して欲しいと思います。
ディスカッション
コメント一覧
>O野 さん
思いませんね。いくらなんでも二番煎じすぎます。
「国民の生活が第一」だけでなく、「コンクリートから人へ」や「政権交代準備完了」など、民主党はキャッチフレーズだけは非常に秀逸だと思いますけど、今回は同じネタを使い回し、しかもそれを党名にしてしまうあたりに小沢議員の老いを感じました。
「国民の生活が第一」という名前は非常に効果的だと考えているのですが、どう思いますか?
自民党、自民党、自民党。民主党、民主党、民主党。と同系で、
国民の生活が第一、国民の生活が第一、国民の生活が第一。と連呼されると、
うっかり「この党は国民のことを考えてるんだ」なんて中身も見ずに投票しちゃうんじゃないでしょうか……。
相当、クリティカルな名前だと思います。主張も「減税」と「反原発」。
おざーさん独裁システムですね、わかりますw