山口県知事選挙について

 山口県知事選挙について一言です。
 
 基本的に地方選挙は地方の事情が一番大きく動きますから、安易に一地方選挙の結果を国政レベルで判断するっていうのは間違いだと思いますので、この結果だけを見てどうこうとは言いません。
 でもある程度は参考になるのも間違いありませんから、そういう目で分析してみたいと思います。
 
 結果、自民党・公明党の推薦候補が勝ちました。
 橋下徹大阪市長のブレーンで反原発を前面に掲げて戦った飯田哲也候補は約7万票差での負け、県知事選挙の直前まで民主党の衆議院議員だった高邑勉候補なんて約5万票しか取れなかった、勝った山本繁太郎新県知事と次点の飯田哲也候補の票差以下の得票しかなかったという民主党大惨敗だったという結果でした。
 これはもはや民主党は泡沫候補と言っても過言ではない票差ですね。
 よって今回の山口県知事選挙は、民主党は考慮すら出来ないという扱いしかできないというコトです。
 でもこれがいまの日本の与党なのですから、いくら地方選挙は国政と安易に比較出来ないとは言っても、この票差はさすがに無い、ひどすぎるとしか言いようがありません。
 
 さて、死に体の民主党はもはやどうでもいいとして、考えるべきは次点の人のコトです。
 山口県の選挙管理委員会によりますと、正確な得票は山本新知事が「252,461票」、対して飯田候補は「185,654票」でした。
 よって正確な票差は「66,807票」です。
 これをどう評価すべきでしょうか。
 決して飯田候補は惨敗とは言いませんが、惜敗と言う程でもないでしょう。
 100万票とった上での6万7千票差であれば惜敗かもしれませんが、25万での6万7千票ですから、これは案外票差が付いたと言ってもいいのではないでしょうか。
 「6/100」は小さい数で惜しいですが、「6/25」は小さくないですよね。
 得票率で見ても山本新知事は47.5%、飯田候補は34.9%ですから、やっぱりこれはそれなりの差が付いていると見ていいでしょう。
 ですから一部報道やネットでは、惜しかったとか色々書いている人もいるようですが、冷静に考えれば惜しいという程でもありません。
 
 というワケで、これはデモの時にも言いましたように、いくらデモと称して目に見える人数を集めたところで、仮に1万人集めても、10万人集めても、選挙の数には及ばないのですから全く無意味ですというコトを証明したと言えるでしょう。
 いえ、デモは無意味以上に他人に迷惑をかけ、目に見える人数を使っての示威行動というある種の暴力行為をしているのですから、むしろ害悪にしかなっていないとハッキリと言っておきます。
 サイレントマジョリティーというよく意味のわからない言葉を持ち出したとしても、民主主義国家では有権者は等しく平等に1票ずつの権利を持っているのであり、声が大きくても小さくてもその1票の重さは変わらず平等なのですから、デモを何度しても選挙の結果を覆すコトはできません。
 地方選挙を国政に安易に比較は出来ませんし、山口は自民党が伝統的に強いという地域ではありますが、橋下市長のブレーンで、あれほど「反原発」という看板をマスコミが一体となって宣伝した飯田候補ですら、結局「反原発」というお題目では日本の政治を動かすだけの力にはなり得ないというコトは、1つ事実として正面から受け止めるべき事実でしょう。
 
 中には「当選した山本候補も反原発を掲げたからだ」って言っている人もいますが、ここは冷静に考えなければならないところですけど、デモとか飯田候補が言ってたような「即時全原発の廃止」と、山本新知事などが言っている「方向性としての脱原発の流れ」は、これは全然違います。
 やえだって、原発が無くても全く問題なく、使いすぎっていう程度の電力を使ったとしても問題なく安定供給出来る、しかもそれは一極集中で弱点モロ出しの状態ではなく、オイルショックや戦争などの万が一の状況にも対応出来る形での安定供給が出来るのであれば、原発は無くてもいいと思っています。
 まぁこんなのは誰だって当たり前ですよね。
 だって目的は電力であって原発はあくまで手段ですから、手段にこだわるコトはないのですから。
 ですから「方向性としての脱原発の流れ」というのは目的のために手段をどう講ずるのかという考え方ですが、しかし「即時全原発の廃止」はその目的を捨ててまで手段を目的化させるというコトですから、ここは全然次元の違う考え方なのです。
 よって山本新知事と飯田候補の主張が似通っていたとか、一部マスコミは「そのために争点化しなかった」と言ってますが、これは完全にデタラメな言い方だというコトは指摘しておきたいと思います。
 
 こういう事情を全て勘案して選挙の結果を見れば、ああまぁそういうコトなんですねっていう感じです。
 だいたいにして橋下市長自身が「節電15%」を前にしては無理だと判断して大飯原発の再稼働を認めたのですから、口ではいくら理想論を言っても「即時全原発の廃止」という手段の目的化は無意味だともう答えは出ているんですよね。
 そういう中でこういう結果が出たというコトは、1つキチンと現実を受け止めて、今後のコトに繋げていく必要があるでしょう。