筋を通しているのは誰だ (下)

■分裂前の雰囲気は
 
 いまは、もうすぐにでも解散かみたいな雰囲気ですが、これはつい一ヶ月前から始まった雰囲気です。
 ヘタをすると1年前から野田政権がはじまってからずーっとこのような雰囲気かのように錯覚してしまっている人もいるかもしれませんが、これはもうとんでもない錯覚で、今の雰囲気は結局小沢一派が民主党を割ったからこそ出てきた雰囲気です。
 よくよく思い出してみて下さい。
 その前までは、来年の参議院選挙と同時選挙になるだろうと、それぐらいのある種の諦めムードでした。
 これだけの巨大与党の数を手放すワケがない、そう言われていて、それが常識化していました。
 
 それを変えたのが谷垣総裁の3党合意だったのです。
 
 自民党が3党合意しなければ民主党は分裂するコトなく、解散風も吹かなかったコトでしょう。
 この事実は素直に受け止めなければなりません。
 谷垣総裁に対して批判的な人も少なくありませんし、消費税だって批判的な人は多いです。
 でもそれとは別として考えるべきコトとして、事実として無風状態だった1ヶ月まえから一気に解散風を吹かせたのは、誰でもない自民党谷垣執行部(特に幹事長と国対委員長でしょうね)の功績なのです。
 解散風が吹くコトに批判的な人ならもちろんこれには批判があるでしょうが、そうでない、解散を望む人なら、これこそ是々非々で評価すべきコトでしょう。
 
 
■党首会談について
 
 普通あれを永田町の常識として鑑みると「今国会中に解散」と捉えるのが自然です。
 それ以外の解釈は難しいです。
 ただ一番の懸念は、いままで数々の約束破りをしてきた民主党が、そんな口約束を本当に守るのかどうかという点です。
 
 多分自民党だってそれぐらい分かっているコトでしょう。
 と思いたいのですが、ですからそこも含めての、これは永田町を離れた常識としてもですね、ここまで何度も約束破りを繰り返されたのですから、党首会談の中では何か表には出ていない約束事があるんじゃないかと想像するのが妥当なのでは無いかとやえは思っています。
 一般常識からしても、あの民主党とあの程度の約束で納得出来る人なんて日本中にいないと思います。
 そういうコトも検案して、永田町的な常識も検案して、そう思わざるを得ません。
 
 谷垣総裁は真面目です。
 政治家としては真面目すぎると言ってもいいでしょう。
 でも、だからといって、ここまで騙されるお人好しではないでしょう。
 ネットではかなり厳しく言う人も少なくありませんが、でもそれでも何十年も衆議院議員を務められてこられたお方なのですから、表層だけ見て判断はやえはしたくありません。
 やえが思う常識で考えれば、普通は口約束の「近いうちに解散」だけで納得したとは思えないというのが感想です。
 
 その上でもうちょっと考えましたらですね、谷垣総裁は総裁の任期が来月9月で切れます。
 つまり自民党は来月には総裁選挙をするってコトですが、仮に谷垣総裁が、消費税関連でここまでやっておいて党首会談までやっておいてこれで総裁選の時にまで解散出来ていませんでしたってなったら、とてもじゃないですけどまた総裁として信任されるとは思えません。
 そしてそんなコトは谷垣総裁自身がよく分かっているコトでしょう。
 ですから、ここも含めて党首会談の中でなんらかの確約を得ているのではないかと想像するのです。
 さすがに谷垣総裁も、自分の身を100%相手に預けるなんてコトはしないでしょう。
 
 よっていまの状況というのは、野田総理が約束を守って解散するか、もしくは約束を破られて谷垣総裁が失脚するか、2つに1つの段階に来たというところなのではないかと思います。
 
 
■密約の存在
 
 やえは「野田・谷垣密約」が存在していると想像しています。
 これはどうやっても証明しようのないモノですから証拠や確証があるワケではありませんが、状況証拠的なモノを考えると、まず間違いなくあると思っています。
 ただ、それがどのレベルかは分かりません。
 具体的な解散の日にちまで約束しているのか、それともある程度の期限(国会会期内とか、○月内とか)なのか、それとも全然別の密約なのか、それは分かりません。
 でも、この二人が二人っきりの時間があったコト、事前にも何度か電話で会話していたコトから、そしてなにより二人での密約がなければそもそも党首会談を行った意味が無いとすらお互いに言えるのですから、そもそも自民党の岸田国対委員長が国対レベルで蹴ったのに、そして野田総理がその後「解散時期は明言するコトはない」と言ったのですから、特に自民党としては密約をするという事前の約束がなければ党首会談に応じる理由がありませんでしたから、なんらかの密約はあったかと想像しています。
 それは公明党の山口代表や、自民・民主両幹事長すら知らない密約なんだと思います。
 上でも言いましたように、常識的に考えてあの民主党とこの程度の約束で納得できる人間なんていないと思いますしね。
 
 ですからいま輿石民主党幹事長とか官房長官とか口だけ番長とかいろいろな人が様々なコトを言ってますが、これらは全て意味の無いモノだと言えます。
 例えば「総理が替われば会談の内容は破棄される」という複数の発言が出ていますが、そもそも解散時期を密約していれば、こんな例えばまるで意味を成しませんよね。
 だから必死そうな顔色の民主党議員に比べて、どこか冷めている表情をしている野田総理も、そういう気持ちで建前的にはそのようにガス抜き的なコトを言いつつも、それは意味が無いからそんなコトが言えているのではないかとやえは想像しています。
 谷垣総裁も輿石幹事長に対して「輿石さん風情の発言に正面から答えようとは思わない」なんて谷垣さんのキャラではない物言いをしていたらしいですが、これもそういう理由があるのではないでしょうか。
 
 繰り返しますが、密約があるというのは様々な断片的な情報を全体的に勘案した結果、そう考えるのが妥当であろうというやえの想像ですから、これについてはソースも確証もありません。
 ただやえとしたら、そう想像する方が全てのコトを自然と説明できると感じているのは確かです。
 もしこの辺ご意見がありましたら、ぜひお聞かせ下さい。
 
 
 というワケで、ちょっと長くなりましたが、いまのところのおさらいと確認です。
 結局、仮に密約があったとしても「密約がある」なんて言わないですから、それを言ったら密約にはなりませんからね、密約は存在しないという前提が密約ですから、仮に解散した後でも密約があったとは言わない可能性すらあります。
 ですから、今後どうなるかはその時になってみないと分からないでしょう。
 やえとしたら、まずは解散です。
 民主党が与党にいるだけで国益が損なわれますから、一刻一秒でも早く解散させるべきです。
 
 もうしばらく国会は荒れそうですね。