真面目すぎる自民党

 なんかこう、どっかちょっと違うんですよね。
 

 「特例公債」自民に協力論…議員立法で対案検討
 
 赤字国債発行に必要な特例公債法案について、自民党内で早期成立への協力を模索する動きが浮上してきた。
 
 検討されているのが、赤字国債発行を認める対案を議員立法で提出する案だ。自民党の脇雅史参院国会対策委員長は24日、党本部で石破幹事長、浜田靖一国対委員長と協議した際、「民主党は『自民党が成立を阻んでいる』と批判してくる。何らかの対応が必要だ」と述べ、この案を披露した。

 
 何が違うって、特例公債法に反対するコトそのものが批判されるっていうのも違いますし、そもそも約束破りの人間に対してその約束を棚上げしたままさらに新しい交渉なんて出来ないという常識的な対応に対して批判するっていうのも違いますし、なによりそれらの批判に対しての対応として「議員立法を作って成立させ、批判をかわそう」という発想が違う気がしてなりません。
 なんこう、何もかもが違うんですね。
 
 特例公債法については昨日お話ししましたように、論拠があって自民党は反対しているワケですから、もしこの対応を批判するならその論拠に対してしなければなりません。
 つまり「バラマキ予算に賛成するのか反対するのか」という部分について論者は言及しなければ、特例公債法案に賛成するか反対するかという部分については批判なんて出来ないハズなんですね。
 これをせずしてただただ「法案に反対する」っていうだけをもって批判するというのは、本当に無責任としか言いようがありません。
 
 また国会審議を拒否しているっていう自民党の態度に対しても、それだけの事象で判断出来ない問題であるハズなのに、やっぱり「拒否してる」ってだけをもって批判しているのはおかしいお話です。
 では自分の身になって考えて欲しいです。
 借金を踏み倒している人に対して「またお金を貸してほしい。とにかく話だけでも聞いて欲しい」と言われて素直に聞く人っていうのは、ちょっとそれはよほどのお人好しと言わざるを得ません。
 まして約束破りは一回だけではありません。
 もう何度も何度も嘘を繰り返しているのです。
 これに対して「テーブルに着かないのはけしからん」と言われたとすれば、当事者としては「事情を知ってから口を出せ」と言いたくなるでしょう。
 この件も、まずは「約束破り常習犯に対し、まして現在進行形の約束破りを犯している最中にさらにテーブルにつかなければならないのか」という点を考える必要がある問題です。
 まぁ「人間としてどんな場面でも交渉の場には必ずつかなければならない」と言うのは自由だとは思いますが、しかしそれは詐欺師天国になるのではないかとやえは思います。
 
 そしてなにより、これらの批判をかわすために自民党が法案を成立させようと努力するコトが、違う気がしてなりません。
 自民党がすべきは、これらの批判に対して正面から反論するコトなのではないでしょうか。
 もちろん聞く耳持たない国民や、そんなの関係なくただただ批判のタメの批判を繰り返すマスコミが諸悪ではあるのですが、それに迎合して野党の立場で法案成立に尽力するというのは、やっぱり違うと思います。
 やってるコトだけを見ればまとも、まともというか真面目すぎる行為ではありますが、受けている批判を正面に見据えれば、ちょっとズレた対応と言わざるを得ないのではないでしょうか。
 
 まして議員立法を作ります、与野党の共同提案の形にしますって仮になったとしたら、どう考えても実際の作業は自民党主導になるのは目に見えています。
 なぜなら、民主党には議員立法をつくるなんて能力はないからです。
 しかし昨日言いましたように、この特例公債法は単体だけでは意味を持たず、つまり予算とのセットで初めて意味を持つ予算そのものであるのですから、これを野党が主導するというのはどう考えてもおかしいのです。
 本来であれば、政府がキチンと案を作り、それを野党に提示して折衝し、野党も妥協出来る部分を盛り込んだ上で合意して成立させるというのが本来のあり方です。
 それをせずして、ただただ与党は与党だけの案を妥協するつもりもなくゴリ押しをしようとし、それを拒否されれば全ては自民党のせいだと騒ぎ立てて、結局責任も作業も全部自民党に押しつけるというのは、無責任極まりないとしか言いようがありません。
 そしてこの無責任はキチンと無責任だと国民の間で共有認識を持たなければならないコトなのですが、しかし自民党も法律を作らなければならないと思う強い責任感は分かりますけど、しかしなんでもかんでも自分達でやればいい、自分達が我慢していればいいんだとしていたら、それは国民を甘やかすコトにしかならず、いつまでたっても主権者としての責任ある国民にはなれないのではないでしょうか。
 ここは本当に何もかもがおかしいと思うのです。