田中真紀子爆弾爆発

 意外と早かったですね。
 田中真紀子文部科学大臣が、またもやデタラメ爆弾を爆発させました。
 というかこの人にとってはデタラメが普通ですから、この数週間よく民主党と文部科学省は隠しきれましたねというのがやえの率直の感想です。
 

 「認可答申」一転…開校不可能 田中文科相、3大学の新設認めず
 
 田中真紀子文部科学相は2日、大学の設置認可制度を抜本的に見直す考えを表明し、平成25年度に大学の新設を予定していた秋田公立美術大(秋田市)、札幌保健医療大(札幌市)、岡崎女子大(愛知県岡崎市)の申請を不認可とした。大学設置・学校法人審議会は「新設を認める」と答申していたが、田中文科相が政策的判断として覆した。答申通りに認可されないのは過去30年間で初めてといい、極めて異例。

 3大学はいずれも短大や専門学校からの改組で、申請に不備はなかったが、来春の開校は不可能となる。

 
 すでに校舎増設などの工事が着工している中でのストップです。
 他人の迷惑なんて気にしないのはさすがのマキコクオリティー・民主党クオリティーですが、しかしいやしくも文部科学省という日本政府としてのストップなのですから、当然としてそれなりの理由が必要です。
 そしてもしその理由が妥当と思うなら、その他人の迷惑以上に必要と思われる理由があるのでしたら仕方ないのかもしれませんが、しかし理由を聞くにやえには全くそのストップの正当性がわかりません。
 
 マキコ大臣はストップした理由を2点述べています。
 1点目は、大学の新設などを審議する審議会に大学関係者が多くいすぎるという点です。
 つまり利害関係者が審査するので結局は「お互い様」というコトになって審査が甘くなってしまっているのではないかという懸念です。
 もう1点は、戦後から日本には大学が作られすぎてしまい、質が低下しているという持論で、その抑制のために今回ストップに踏み切ったという理由です。
 
 さてこの2点は今回の「突然の中止」、もっと言えば「一度審議会でOKが出たのにもかかわらず、それを撤回して中止させた」という正当な理由になるでしょうか。
 
 今回の問題は、大学の数や質や審議会そのものへの議論ではありません。
 なぜなら、迷惑を被る人というのは、1年も前に一度文部科学省がOKを出したからこそ準備を進め、まただからこそ受験を志望していたワケで、だからこそ迷惑を被ってしまっているからです。
 ここに大学の質や審議会の中身は関係がありません。
 仮にマキコ大臣が審議会に問題があったとしても、大学の数が多かったとしても、しかしそれはこれらのストップがかかってしまった大学が文科省からOKが出た時には「合法」(もちろん今でも合法です)だったワケですから、この時のコトまでをマキコ大臣の持論だけで「過去を覆す」論拠には一切なりはしないのです。
 審議会に不手際があった、審議せずに不正にOKサインを出したとかいう証拠が出てきたのであれば理屈にはなりますが(この場合は文科省か大学かが責任を追うべきで、志望者には何らかの補償が必要です)、今回の場合はそうではなく、全くシステム的には一切どこも問題がなかったのですから、マキコ大臣の私見だけでは「過去を覆す」という理由には全くならないのです。
 
 今回のこの問題の恐ろしさはここにあります。
 つまりマキコ大臣の所業のデタラメさというのは、「過去を覆す」という点にあります。
 これ法律で言えば「法の不遡及」でしょう。
 新しくできた法律でもって過去を裁いてはならないという原則です。
 これが許されるとやりたい放題ですからね。
 例えば「ネット使用料に対する税」を新設したとして、これからは税を収めなければならなくなるのは仕方ないとしても、もしこの法律を根拠に「過去にしようした分も一度に支払え」と言い出したらどうなるでしょうか。
 とんでもないコトになりますよね。
 だから基本的に現代社会においては「現在の常識で過去を裁いてはならない」のです。
 しかしこれをやってしまっているのがマキコ大臣なのです。
 ここが今回の問題の一番の問題であり、おそろしい点なのです。
 
 審議会に大学関係者が多かったのを改めると検討をするのはいいです。
 また大学の質の向上に努めようとするのであれば、それは結構なコトでしょう。
 しかし過去だっていま現在だって、それが違法状態でないのは明らかです。
 そして当然、もしマキコ大臣の検討によって審議会のメンバー構成が変わったり、質の向上のために審議がより一層厳しくなったりしたとしても、それでもって「過去も間違いだった」とは絶対になりません。
 未来の常識を過去に当てはめるというのはデタラメにも程があります。
 むしろこれは、法令の不遡及という絶対に犯してはならない行為のハズなのです。
 もしこんなデタラメが通用するなら、現在すでに設置されている東京大学などをはじめとする全ての大学に対しても「マキコ法」を適用しなければならなくなってしまいます。
 こんなデタラメはないですよ。
 
 マキコ大臣は問題の論拠を間違えています。
 また、やもすればマスコミも、マキコ大臣を批難する論調ではありますが論拠の場所を間違えている場合もあります。
 今回の問題は、審議会のメンバー構成や大学の質の問題とは別のところにあります。
 ここを議論しても、今回の「なぜ迷惑を被っている人がいるのか」という点は全く見えてこないでしょう。
 そしてなによりこの問題は「法の不遡及」というとんでもない大悪事が潜んでいるという点は見逃してはならないところです。
 マキコ大臣は「自分が法律だ」とでも思っているかもしれませんが、少なくとも民主主義政治においてはこんなコトは絶対に許してはなりません。
 ここのコトの重大性に、大臣もマスコミも気づいて欲しいです。