選挙の争点は?

 さてついに衆議院の総選挙ですが、いまマスコミはしきりに「争点は何か」という点を探そうとしています。
 探そうとしているというよりも、自分でそれを設定しようと画策していると言った方が適切かもしれませんが、とにかくこういう声は小さくありません。
 しかしちょっとよく考えてみてほしいのです。
 選挙の争点って実はそんなに考え込む必要はないのです。
 なぜならそれは、解散の理由を考えれば明らかだからです。
 
 なぜ今回衆議院を解散したか。
 それは「やらないと言った消費税増税をやった」からです。
 
 これは野田総理本人が認める衆議院を解散した理由です。
 民主党は前回の選挙の時に「消費税は任期中に議論すらしない」と言って、そしてあれだけの大勝をしたワケですが、しかしそれなのにいとも簡単に手のひらを返して消費税増税を決めて、実行に移しました。
 重大な裏切り行為ですよね。
 だからこその解散なのです。
 自民党も「消費税増税は自民党としては公約だからかまわないが、しかし民主党は選挙の際に「議論すらしない」と言ったのだから、最低限法案を通した後には国民の信を問い直しなさいと、それが条件ですよ」って主張したワケです。
 そして野田総理もそれを3党合意で約束したんですね。
 だからこその解散だったワケです。
 これは解散後の記者会見でも言った、野田総理本人が認めている解散の理由です。
 
 ですから今回の選挙の争点は簡単なんですよ。
 消費税増税の是非、というよりは、「やらないと言ったコトをやった」という民主党の行為についての是非を問うのが争点なのです。
 
 結局これは、消費税に限らず「民主党の行為すべてへの判断」と言ってもいいかもしれません。
 やえはここでずっと言ってますように、本来なら鳩山総理が退陣した時点で解散総選挙をしなければならないハズだったのです。
 なぜなら、民主党は従来の主張として「選挙の経ていない総理は認められない」と言っていたからです。
 すべてがこうなんですよ。
 民主党は民主党自身が野党時代に言ってきたコトの多くをことごとく反故にしているからこそ、政治がデタラメになってしまっているのです。
 政治家が嘘をつき、政策の整合性を無くして、その場その場だけの場当たりの対応をしていれば、それはデタラメの政治になって当然です。
 それをもう一度問い直すっていうのが、今回の選挙の争点なのです。
 
 だからまずはこの点を考えなければなりません。
 政治家が、特に与党と政府が、選挙の際に口にしたコトをやらない、やらないだけか真反対のコトをやる、こういう行為に対してどう判断すべきかという点を考えなければならないのです。
 これは民主主義の根幹に関わる問題でもあるのです。
 
 また同時に、これは国民自身の判断が、3年半前の判断が、果たして適切な判断だったかどうか、主権者として有権者としての責任を果たしたと言えるのかどうかを自己批判をする選挙とも言えるハズです。
 民主党は前の選挙で様々甘言を用いましたが、これは十分に見破れるレベルの甘言でした。
 そもそも自民党や当サイトなどを含むネット上では、前回の選挙の前からそれを指摘する声は少なからずあったワケです。
 それなのなぜいとも簡単に騙されたのか、ここの自己反省は必ず必要なハズです。
 今回の選挙ではこのような愚行は二度と繰り返さないよう、よくよく有権者は自らの問い直さなければならないのではないでしょうか。
 
 今回の選挙の争点は難しくありません。
 「やらないと言ったコトをやった」という二枚舌の民主党をどう評価するかです。
 そして同時に、前回の選挙での自分の投票行動を自分でどう評価するかです。
 いま「民主党に騙された」なんて責任転嫁しているような人は、また同じコトを繰り返すだけでしょう。
 しかしそれではいつまでたっても政治は良くなりません。
 政治を良くするというコトは、主権者たる国民が良くなるという意味です。
 ここを忘れず、常に自己批判の精神を持ちながら政治に当たってほしいと思います。