歴史を紡げない民族2

 コメントをいただきました。
 

 自分もやえさんの発言が気になっていました。
 1つの事件のみをもってアルジェリア人全体を野蛮人扱いしたりするのはどうかと思います。
 「歴史を紡げない」というのであれば、具体的にアルジェリアの、どの歴史を指して言っているのかという説明がセットでないといけません。
 大雑把なアフリカの話をされても…
 アジアはこんなところだと言って、韓国や中国と一緒くたににして日本批判をするのと変わりなくないですか?
 あと、ついでに周辺国まで批判されていましたが、たとえば、隣国であるモーリタニアは何か批判されるようなことがあるのでしょうか?
 たこ焼き好きとして、モーリタニアに好意を抱いているので、
根拠も示さずに野蛮人扱いするのであれば、納得がいきません。

 
 ありがとーございまーす。
 さてでは、まず前提として、果たして前回の「歴史を紡げない民族」というエントリーは今回のテロルだけを指している内容なのかどうかを考えてみましょう。
 
 前提として、いま現在、アフリカでは未だ内戦に明け暮れている地域が少なくないという事実があります。
 今回の事件のキッカケとしてよく言われているフランスのマリ空爆も、多くの日本人はその空爆が始まったという事実を知らなかったかと思いますが、アフリカでは内戦状態の地域というのはけっこうあるのです。
 例えばソマリア、スーダン、ウガンダ、マリなど、また数年前に形式上は終戦したけどまだまだ火種が燻っている地域や、当時の内戦によって大虐殺などそう簡単に癒えぬ傷を負った国というのはたくさんあります。
 アルジェリアの隣の国リビアの内戦は、まだ記憶に新しいかと思います。
 また少し歴史を見てみても、例えばまさにアルジェリアなんて「征服と内戦の歴史」と言っても過言ではないぐらいの歴史の地域です。
 アフリカではまだまだこういう地域があって、その中で今回たまたま日本人が犠牲者の中に含まれていたから日本で大々的に取り上げられただけであって、今回の報道でも「すでに身代金目当ての誘拐はビジネスになっている」と伝えられているように、外国人が被害者となる事件はアフリカでは珍しくないワケです。
 
 そんなコトやってる場合ですかと。
 
 やえは歴史を紡げない民族の更新で「どうしてあの辺の人間達は、いまだに経済発展を目指さず、目先の権力闘争にいつまでも明け暮れているのでしょうか」と言いましたように、そういう国々の国民は内戦なんてやるよりも先にやるべきコトがあるハズです。
 まして今の国際状況の中にあっては日本の戦後直後に比べてとても「優しい世の中」になっていて、援助も簡単に受けられるシステムが出来上がっているのですから、戦後直後の日本と比べればまだまだ全然楽にそれなりの経済力は身に付けられるのではないのでしょうか。
 この前も言いましたように、今でもなんとか募金っていうのを日本でもやってますように、実は多くの資金や物資がそういう国々に流れ込んでいるハズなんですよね。
 でもやっているコトは、内戦と誘拐ビジネスです。
 本当にいまやるべきは、それでも自立して発展出来ないなら先進諸国と友好関係を結びさらなる援助をお願いするというあり方のハズなのに、でも実際いまアルジェリアがやっているコトはなんでしょうか。
 火に油をそそぐ行為としか言えないワケなのです。
 
 こういう記事があります。
 

 安倍首相、声を荒らげ「攻撃どういうことか」
 
 電話口で英国のキャメロン首相の声は、切迫感に満ちていた。
 「アルジェリア軍はすぐに攻撃を開始するかもしれない。安倍首相からも説得してほしい」「米英で『暗視ゴーグルや無人偵察機など機材の支援は惜しまない』と言っているんだが、アルジェリアは受け入れない」
 東南アジア歴訪中の安倍は、バンコク市内のホテルで日英電話首脳会談に臨んだ。現地時間の17日午後4時(日本時間17日午後6時)。アルジェリアで武装勢力による人質事件が発生して丸1日経過していた。
 電話会談でのキャメロンの口調に、予想以上に事態が悪化していると知った安倍は、「私からも人命優先をアルジェリアに求める」と約束した。
 キャメロンの危惧は的中した。会談から数時間後、アルジェリア軍は、関係国への通告なしで武装勢力への攻撃に踏みきった。
 安倍は17日深夜(同18日未明)になって、タイから、アルジェリアのセラル首相に電話した。
 「人命優先を要請していたはずだ。攻撃するとは一体どういうことか。米英の支援を受けたらどうか」
 声を荒らげる安倍に、セラルは聞く耳を持たず、「我々が一番うまく対応できるんだ」と答えた。

 
 フランスなどが「攻撃は支持する」と発言しているコトについて誤解している人がけっこう多いのですが、攻撃自体は不適切な行為では無いんですよ。
 テロルと対峙するときに、攻撃という姿勢を見せずして始めから話し合いだけの態度という手の内を明かすコトは、むしろ不利益にしかなりませんし、いつかは断固たる態度を見せなければなりません。
 それが次のテロルを防ぐコトになるからです。
 だからフランスなどは攻撃そのものには反対しませんが、ただアルジェリア政府の愚かなところは、その中身についてあまりにも稚拙だったところにあります。
 アルジェリア政府の攻撃は、タイミングも攻撃方法も何から何まで稚拙でした。
 だから攻撃当初はフランスやアメリカなどの国々も、アルジェリア政府に対して否定的なコメントを出したのです。
 これはやえも更新でそう述べています。
 

 早速軍隊を使ってテロリストらに攻撃を加えたようですが、その結果として多くの“無関係な”人質の命が犠牲になってしまいました。
 あまりにもお粗末な行為です。
 やるにしても、最低でも深夜に夜襲をかけるとか、そもそももうちょっと時間をかけて消耗させてから行動するとか、だいたいにしてアルジェリア程度の国の軍隊なんてたかが知れているのですから、他国の軍に協力を要請するとかすればよかったのです。
 アメリカなんかは救出用の米軍特殊部隊を用意しているとか聞いたのですが、素直にそれの到着を待てば良かったのです。
 アメリカがイヤならフランスでもいいんです。
 とにかくアルジェリアがいまやるべきコトは、最初から無いに等しいアルジェリア国家の国家としてのプライドなんかではなく、人質にされた国々の怒りを出来るだけ抑えるコトのハズです。
 もしアルジェリアが経済発展して先進国に近づきたいと思うのであれば、先進国との協力関係を強化するコトを第一に考えなければなりません。

 
 アルジェリア政府が今回本当にやるべきコトはフランスやアメリカとの連携だったのです。
 日本人などが人質になったのはアルジェリア政府の罪ではないとしても、でもその責任を全うするためには、自国のプライドとかを守るために自国だけで解決しようとするのではなく、フランスやアメリカと連携して人質の身の安全を最優先に考えるコトのハズなんですね。
 そのためには、例えばアメリカの特殊部隊に全ても任しても良かったのです。
 それが一番人命優先の可能性が高い方法ですから。
 でも実際にアルジェリア政府がとった行動とは、フランスやアメリカなどの助言すら一切聞かずに、独断での、しかも稚拙な攻撃でした。
 結局この一連の流れを包括的に考えれば、それは所詮「他国の力を借りて戦闘に勝っても、権力争いに勝ったコトにはならない」すなわち「内戦という権力争いに勝つコトしか頭に無かった」と捉えるしかありませんし、そして「未来のために何をすべきか」が全く見えなかった、見ようともしなかったと断じざるを得ないのです。
 
 目先のコトしか頭にない、それは今回のテロルとその対応だけに留まらず、いえこういうコトを繰り返しているからこそ、いつまでたっても「征服と内戦の歴史」から脱却できないのだと言うしかありません。
 「征服と内戦の歴史」なんて歴史とは呼びませんよ。
 他人から見た時の事実の羅列でしかありません。
 このような国々とその国民に対しては、自分のコトよりもその子供や孫のため、国と民族の未来のためには何をすべきかを考えてもらいたいです。
 
 歴史というモノに対して言いたいコトはまだまだいっぱいあって、特に日本人は国籍にせよ歴史にせよ安心安全にせよ苦労せずして簡単に手に入っているので、そのありがたみとか重要性があまり感じにくい民族ですから、それは決して悪いコトではないのですが、しかし外国のコトと合わせて考える場合には、根源的な無意識の意識までをまず省みなくてはならないので、ちょっと理解しづらいところがあります。
 その辺もいろいろと指摘していきたいと思っていますが、今回詰めすぎてもアレなんで、また次回以降時間をかけて文章を書いていきたいと思います。
 例えば北朝鮮にしても、明日を食べられない人民がものすごくたくさんいるとはよく伝えられますが、やえは決してその責任はキム一族と軍部だけにあるとは思っていません。
 罪はキム一族に一番問われるべきですが、責任となるとやはり民族で背負うべきところが多いと思っています。
 簡単に言えば、自国のコトなんだから全ての国民の責任として国民の手によって立て直せ、と言いたいのです。
 その辺日本人は常にナチュラルにベストだと思われる方法をとってきた歴史があるので、そういう視点が難しいのですけど、その辺も含めて今後おいおいと指摘していきたいと思います。
 その一部の指摘は「冷静な明治維新があったからこそ先進国になった歴史を忘れてはいけない」でもあります。
 
 最後にですが、「あと、ついでに周辺国まで批判されていましたが、たとえば、隣国であるモーリタニアは何か批判されるようなことがあるのでしょうか?」というご指摘についてですけど、法律でも普通の文章でもこういう場合の「など」とか「周辺」というのは、その指摘している主文に準ずる場合を指すモノであって、今回のコトで言えば「内戦に明け暮れて権力争いしか頭になく、ましてそのために外国人を平気で利用して、自分達の未来のコトが考えられない民族」のコトを指すコトになります。
 なんでもかんでも距離的に近いから全てを指す、と捉えるのはちょっと文章解釈としては適切ではないでしょう。
 よってモーリタニアがそういう国なら含まれますし、違うのであれば含まれません。
 特に今回の場合は、テロリストらが交渉対象にしているマリのコトを主に指す言葉です。