比例選150議席のうち30議席かそれ以上を第2党以下に優先配分する???

 高等裁判所の判決もあったせいだとは思いますが、ここ数日、急に選挙制度についてのニュースが増えてきます。
 やえとしましても、この手のお話は気になるところですから、今後とも注視して反応していきたいと思います。
 また、昨日の更新にコメントを頂きましたが、そのお返事は来週させていただきます。
 今日はこちらのニュースです。
 

 衆院選改革、自民案「憲法違反の疑い」…岡田氏
 
 自民案には〈1〉比例選の地域ブロックを11から8に再編して死票を少なくする〈2〉比例選150議席のうち30議席かそれ以上を第2党以下に優先配分する――など、中小政党に配慮する仕組みも盛り込まれている。岡田氏は5日の協議で、優先配分は有権者の意思を正確に反映しないとの立場から「憲法違反の疑いがある」と指摘。「国民にわかりやすい制度にすべきだ」と述べ、賛同は難しいとの認識を示した。

 
 今日のニュースは一票の格差問題ではなく、単純に議員定数削減の問題です。
 問題は〈2〉です。
 「第2党以下に優先配分する」
 優先配分?
 いったいぜんたい何を言ってしまっているのでしょうか?
 
 選挙って基本的性質としてどういうモノかと言いますと、それは国民全体の意見を一定数の少数の人間(つまり代議員ですね)に集約するというコトです。
 理想と現実に齟齬が出るのはどの問題も仕方ない面があるワケですが、それでも理想に近づく努力は常に必要です。
 選挙の問題で言えば、国民の意見と一言で言ってもいろんな意見があるワケで、選挙とはその様々な意見の比率を出来るだけ変えない形で議員数に反映させるというのが理想なワケです。
 小選挙区制は1人の議員を選ぶという仕組みですから勝ち負けと極端に別れますが、比例については文字通り国民のそれぞれの意見を比例した形で議員数に割り振る制度ですから、制度としても、いかに意見の違い(支持政党の違い)をそのまま議員数に反映させるのかというコトを重点において制度設計をしなければなりません。
 例えば「自民党6割・民主党2割・維新2割」という国民の意見であれば、議席数100の場合でしたら「自民党60人・民主党20人・維新20人」という議員数の割り振りにするというコトですね。
 これはあくまで国民の意志だからです。
 
 しかし「第2党以下に優先配分する」は、この大前提を破壊してしまう考え方です。
 そしてなにより、国民の意志からも逸脱したシステムです。
 例えば「共産党は日本の政治の中においてこの程度の議席数で良い」と国民が判断してるからこそいつもだいたいあの程度の議席数なワケですが、しかしこの制度が成立してしまえば、なぜかシステム的にそれ以上の議席数を与えるのですから、国民の意思以上に共産党に議席が割り振られてしまいます。
 これは果たして誰の意思なんですかと問い直したくなります。
 むしろそれって民主主義なんですかと、そこまでの問い直しが必要になってしまうコトでしょう。
 いったいぜんたい、どういう理由で「第2党以下に優先配分」しなければならないのでしょうか。
 まずは第2党以下に優先しなければならない論拠を聞きたいです。
 
 小政党の配慮なんて必要ですか?
 そもそもその政党がなぜ小政党なのかと言えば、それは国民の意志によって小政党になっているのだけなのです。
 自民党も国民の意志によっては野党に転落しますし、社民党だって社会党時代は野党第一党だったのです。
 現在があるのは全て国民の意志によるモノなのです。
 決して天から与えられた議席数ではないのです。
 ここを勘違いしてはいけません。
 
 つまりそれを超えて「配慮する」というコトは、国民の意志を超えるという意味にしかなりません。
 小政党が仮に議席ゼロになっても、それは国民の意志なのです。
 それを制度で救おうなんて、あってはならないコトなのです。
 
 この部分に関しては岡田元副総理の言う通りです。
 自民党はもう一度この案についてよくよく考えてもらいたいところです。