暴力によって選挙の結果を覆すというコトは、こういうコト

 今日はこちらのニュースです。
 

 エジプト衝突 死者640人超
 
 エジプトでは事実上のクーデターに抗議する、イスラム組織のデモ隊が強制排除されたあとも金曜礼拝に合わせた大規模な抗議デモが行われて各地で治安部隊と衝突し、この3日間の死者は640人以上に上っています。
 エジプトでは14日、首都カイロで大統領職を解任されたモルシ氏を支持するイスラム組織ムスリム同胞団を中心とするデモ隊が強制排除されたことをきっかけに各地で衝突が続いています。
 ムスリム同胞団は16日、金曜礼拝に合わせて各地で大規模なデモを行い、治安部隊と衝突し、衝突は合わせて10以上の都市に拡大しました。
 このうち首都カイロでは中心部のラムセス広場に集まってきた数千人規模のデモ隊と治安部隊との間で激しい銃撃戦となりました。
 治安当局側はデモ隊が警察署に向けて発砲したため応戦しただけとして、対応に問題はないと説明していますが、ムスリム同胞団側は平和的なデモが一方的な攻撃を受けたと主張しています。
 エジプト保健省などによりますと16日の金曜礼拝が行われたあとの衝突の死者は、エジプト全土で27人となり、カイロでの強制排除をきっかけにしたこの3日間の衝突による死者は少なくとも648人に上っています。
 ムスリム同胞団側は今後1週間、街頭で抗議行動を続けるよう支持者に呼びかけており、治安部隊との衝突が続いて死傷者はさらに増えるおそれが高まっています。

 
 やっぱり日本では大きな反響にはなっていませんが、エジプトが大変なコトになっています。
 以前お伝えしましたが、エジプトでは軍による軍クーデターが起き、民主主義の元の選挙によって選ばれた大統領を追放されたという大事件が起きました。
 これについてやえは、選挙の結果を暴力によって覆すコトは最もやってはならないコトだと批判しているところですが、いよいよクーデター側の暫定政権は、もっともやってはならないコトに手を出してしまいました。
 自分達に反対する者を暴力によって排除しようと、軍隊が民衆に発砲し、死者まで出してしまったのです。
 
 結局これ、「軍が選挙と民主主義を暴力で排除し、さらにそれに反対する人間までも暴力で黙らせようとしている」と、そう表現するしかありません。
 もちろん軍側にも言い訳はあるのでしょう。
 いくらデモ隊と言っても日本のようなデモ隊とは違い、本物の武装勢力やテロリズムが紛れ込んでいて、普通の治安維持活動では対応不可能というコトはあるでしょう。
 それを否定するつもりはありません。
 ただそれでも軍が行っているコトは暴力です。
 自分達と考え方が合わないという理由で、その反対側を暴力で排除しようとしているという行為は否定できないワケです。
 
 言い方を変えれば、いまの暫定政権がデモ隊の暴力行為を受けても、それは甘んじて受けなければならない理屈になります。
 なぜならいまの暫定政権は、「自分達と考え方が合わないという理由で、軍の力でもって暴力的に政権を奪取した」のですからね。
 言い換えれば、いまのデモ隊の暴力行為も、暫定政権と同じコトをやっているだけと言えてしまうからです。
 ですから、いくらデモ隊側が暴力行為を行っても、本来暫定政権側はそれを否定できないのです。
 自分達がそれを行ったからこそ、いま政権の座に就いているのですからね。
 自分達はそれをやって正当化して、他人が同じコトをしたら否定するなんて、あまりにも自分勝手すぎます。
 暫定政権側は、まず自分達から「暴力でもって政権を奪い取った」という原罪を背負っている、背負わなければならないのです。
 
 よって突き詰めればここにあるのは、ただ「暴力的に強いか弱いか」だけなのです。
 この道に残っている先は、血みどろの死体の山なのです。
 事実、もう死者が「640人以上」です。
 最悪の結果でしょう。
 
 暴力によって選挙の結果を覆すというコトはこういうコトなのです。
 どうもクーデター行為を肯定するかのような人が日本にもいるようですが、クーデターの肯定とは、いまのこの血みどろの軍事衝突をも肯定する考え方だというコトは自覚して欲しいです。
 暫定政権側も、デモ側も、やっているコトは同じなんですよ?
 暴力によって政権の座を奪おうとしているという、全く同じ行為、いえむしろ先に仕掛けたのは暫定政権側なのですから、この死体の山のキッカケを作ったのは暫定政権側なんです。
 「選挙の結果を暴力で覆す行為」とは、こういうコトなのです。
 分かっているのでしょうか。
 
 選挙の結果を暴力で覆すなんて行為、どんな理屈を用意しようとも正当化なんて出来ません。
 それは最低最悪の野蛮な行為だと批判するしかありません。
 いまのエジプトは、そういう国になってしまっているのです。