国民の支持があってこそ安倍総理も中国・韓国と距離が取れている

 前回は、自分が望む政治政策が達成されないからと政治家を批判してもあまり意味はなく、やるならその政治課題を是とする国民をひとりでも増やすような主張をとる方がよっぽどか望ましい結果になる、というお話をしました。
 政策とは政治家を批判して達成されるモノではなく、国民がその政策を支持するかどうかで政治は動くっていうお話です。
 今日はその最たる例を提示しておきたいと思います。
 
 おそらく、安倍総理の中国・韓国に対する姿勢が最たるモノなのではないのでしょうか。
 もう忘れている人もいるかもしれませんが、小泉政権後に発足した第1次安倍内閣における、まず最初に着手しなければならなかった外交課題は、中国や韓国との関係改善でした。
 これは、小泉総理の靖国神社参拝に対して中韓が大きく反発したために小泉内閣後期ではほぼ中韓との対話がなされなくなってしまったせいでした。
 すなわち、小泉さんが総理の間はもう中国も韓国も小泉総理が折れない限り対話はしないと言い、また頑固者の小泉さんが折れるワケもなく、日中日韓関係が悪いままに小泉さんが退陣し、よってその後の内閣では関係改善をしましょうという雰囲気が作られて、その次の安倍総理の外交課題になったんですね。
 
 そしてこれは、当時の国民の意思こそが大きかったと言えます。
 小泉総理の在任時でも、靖国神社参拝に対しても、そして中国や韓国との関係に対しても、かなり大きな国民の批判が起こっていました。
 実際、安倍総理は第1次内閣の在任時にはついに靖国神社に参拝するコトは出来ず、後に「痛恨の極み」と表現していましたが、それぐらいこの問題と中韓に対する対応については国民の方からの批判が当時は強かったのです。
 そして安倍総理は第1次内閣発足直後、アメリカではなく、一番最初の外遊地として中国を訪問し、その足のまま韓国にも訪問するコトになったのです。
 
 同じ安倍総理でも、当時と今とでは、このように同じ問題でも対応が全然違うワケです。
 結局これは、政治家の個人的な政策よりも、当時の状況や国民の考え方の方がより優先させられるっていう証明なんですね。
 しかしこれは当たり前と言えば当たり前でしょう。
 大臣と言えども総理と言えども、大きな権限を持っているとは言え、しかし政府っていうのは明治以来ずっと歴史を積み重ねてきた結果として今がある以上、また手足となる役所が現場からすくい取って上にあげてきた意見なども大事にしなければならないワケで、これらの様々な事情や意見を総合的に判断するのが大臣なのですから、大臣や総理になればなんでも自分の思い通りに出来ると思う方が間違いなんですね。
 この辺が民主党の失敗でもあるんですが、それはともかくとしましても、こういう様々な事情の中で、やはり政策決定に大きな影響を与えるのが国民の声であり支持であるワケなんですよ。
 第1次安倍内閣での安倍総理はは、これらの影響によって、おそらく不本意ながらも最初の外遊地として中国と韓国を選んだのです。
 
 時代は変わり、いまは日本国民の中でも中国や韓国に対して批判的な考え方を持つ人がかなり増えました。
 正直かなり前からサイトをやっている身としては隔世の感があるぐらい世論は変わってしまっているのですが、とにかく今は「強固な国民の支持のもと」に中国・韓国に対して距離を置くコトが支持されています。
 逆に言えば、だからできるんですよ。
 国同士ですからどこかのチャンネルで繋がっているコトの方が外交上としては望ましいとは思いますが、それにしても先日の中国紙のキノコ雲事件とか、常軌を逸している行為を中国や韓国は取り続けていますので、確かにいまのタイミングではこれぐらいの方がいいのかもしれません。
 そしてそれは、大部分の日本国民の共通の思いでしょう。
 もしかしたらこの日中・日韓の距離感は、安倍総理でなくても別の人が総理だとしても同じ結果だったかもしれません。
 第1次安倍内閣で安倍総理が最初に中国を訪問したのと同じように、内心では日中友好を実現したいと思っていたとしても国民の後押しによって距離を取らざるを得ないと判断していた可能性はあるのではないのでしょうか。
 
 憲法改正の問題に目を向ければ、しかし憲法改正の問題なんてむしろ国民よりも自民党の方が先に進んでいるとすら言えるかもしれません。
 そもそも自民党は憲法改正が党是ですし、確かに過去には護憲派的な左派勢力もいましたが、時代は変わり国民自身がかなり保守よりになってきた今、宏池会特集でも言いましたように自民党の中のリベラルも、世間一般から見れば中道左派、下手したら中道右派ぐらいのポジションになっており、この段階においてはもはや自民党ではほぼ改憲に反対する人はいないでしょう。
 実際数年前に自民党は素案を公開しているぐらいですし、おそらく自民党としては改憲出来る状況にあればすぐにでもとり行いたいと思っているのではないのでしょうか。
 やえはむしろそう感じています。
 
 ですから、国民の方が、例えば中国韓国に対する今の距離感を支持するぐらいの熱で憲法改正を支持すれば、それは必ず実現するコトができるとやえは思うのです。
 もっと言えば、憲法改正を阻害しているのは誰でも無い国民自身とすら言えるワケです。
 説明するまでもなく憲法改正にはかなり大きな壁がいくつも立ちふさがっているワケですが、これらも全て国民自身の選択によって突破出来るというコトを、まずは国民自身が自覚すべきでしょう。