年金問題は誰のせい?

2012年4月15日

 今日の朝のみのもんたさんのニュースバラエティーで年金問題について取り上げていたのですが、年金問題をテレビとかで取り上げる際って、必ずこんな論調ですよね。
 
 「今まで頑張って働いて年金を納めて、やっと定年を迎えて、悠々自適の生活が出来ると思っていた。それなのにいつの間にか年金制度が危機だと言われている。国は増税だ年金支給年の引き上げだとか言っている。たまったもんじゃない……」
 
 特にみのもんたさんなんて、いつもの浪花節口調でうまいコト煽るんですよね。
 国民は善良だと、みんな苦労して真面目に働いて、定年まで一所懸命に生きていたのに、国民は何にも悪くないのになんでこんな仕打ちを受けるんだと、そう言わんばかりに言うワケです。
 つまり政治は何をしているんだと、政治のせいでなんで国民はこんなに虐げられなければならないんだと、暗に責めているワケですね。
 
 でも果たしてそういう見方は正しいのでしょうか。
 そもそも政治は国民のモノであって国民が主権者だという建前のそもそも論をナシにしてみたところで、特に年金の問題というのは、永田町や霞が関の責任だけを一概に問えるという問題ではないでしょう。
 一時期年金問題でマスコミが自民党政権を必死に叩いていた時は、年金の不正常な使い方、例えば全然客が入らないかんぽの宿のすごい豪華なモノを作ったりとかですね、そういうのを前面に出して、ほら政治が悪いんじゃないかとか言ってました。
 確かに、まぁ当時の報道はそれは違うんじゃないかというモノも少なくありませんでしたが、中には確かにと思うモノもあって、政治家というか、官僚の年金の運営に対する見方の甘さが批判されても仕方ない部分はあったと思います。
 いまでもあるかもしれません。
 でもですね、この年金の問題というのは、それが無ければ今の問題になっていなかったかと言えば、決してまず全く言えないと言わざるを得ません。
 
 年金の問題で一番の原因は、これはもう構造的な問題です。
 すなわち、日本の全人口の年齢割合が、年金制度にとってはかなり悪い状態になっている、つまり超高齢社会になっているという点です。
 簡単に言えば、今までは年金を貰う人数に比べて払う人数がかなり多かったから、ひとりあたりの払う方の負担が少なくてすんでいたけど、いまは貰う方の人数比率がかなり多くなってしまい、払う方のひとりあたりの負担が大きくなってしまったという問題です。
 貰う額が30万円だとして、3人で支えれば1人10万で済みますが、これが2人で支えるコトなれば1人15万円かかるコトになりますよね。
 いまの状態は昔に比べてこういう状態になってしまっているワケです。
 
 この問題はよく、自分が払った分がそのまま自分の年金になる制度か、それとも現役世代の払った分を現在の高齢世代の年金になるのかという制度かという制度論で語られますよね。
 そして、いまでは「なんで直接制度じゃないんだ」とか言われがちです。
 でもこんなのは後出しじゃんけんにしかならないワケで、例えばバブルの時のイケイケの時なんかは、年金問題に対してそんなコト言う人なんて全然いませんでした。
 制度というのは一長一短があって、完璧な制度なんて無いのですから、良いときだけそれを享受して、悪いときには批判するというのは、あまりにもアンフェアです。
 ですから良いときは良いときでやってきたのですから、悪いときはこれはやっぱり、国民全員の問題として考えなければならない問題でしょう。
 
 ですから、ここを政治の責任に押しつけるのは、あまりにも身勝手だと言うしかないのではないでしょうか。
 政治が云々ではなく、これは制度的な問題として考えるべきで、敢えて誰が悪いのかと言うのであれば、少子社会にしてしまった国民全員の責任と言うしかないでしょう。
 
 もう1つ言うのであれば、やはり国民年金の保険料を支払わない人が、いまものすごく多いという点でしょうか。
 

 国民年金納付率、60%割れ。未納は大損です!
 
 2009年度の国民年金保険料の納付率が60%を割ったようです。08年度と比べて2.07ポイント低い59.98%となっており、過去最低を記録したとか。
 雇用情勢の悪化と年金不信でこのような結果になったのでしょうが、実際に年金保険料を納めていない未納や滞納状態の方は注意してください。そのままでは大損ですよ。

 
 つまりなんと4割以上の人が年金を納めていないのです。
 これはちょっと異常ですよね。
 また、この記事でもそうなんですが、年金を支払わないと損ですよという言い方、損得で考えるコトがこの問題多いのですが、年金ってある程度「運用」をしているのですから、実は未払いというのは自分が貰えないというコト以上に、年金制度と真面目に支払っている人にマイナスを与えていると言えるです。
 ここを軽視している人が多いのではないでしょうか。
 年金の問題は最初の年齢の構造的な問題が大きいですから、納付率100%になったとしても問題が全て解消するとは言えないかもしれませんが、それでも、納めるべきモノを納めていないというのは、やはり無視していい問題でもないでしょう。
 確実にマイナスになっているワケですしね。
 
 こういう点を鑑みると、年金の問題は決して政治だけに責任を押しつけていい問題ではないと分かるハズです。
 これはやっぱり国民全員の問題なのです。
 政治に丸投げして、「政治がシッカリしていれば」と言えば済む問題ではないのです。
 
 こういう考え方をしていると、どんな問題でも当事者意識が欠如してしまうコトになりかねません。
 「(自分ではない遠い世界の住人である)政治家が全部悪いんだ」と思うコトによって、当事者意識がなくなるワケです。
 そしてそれは「どうせ(自分ではない)だれかがやってくれるだろう」という、他人任せの考えになってしまうでしょう。
 でも実際の問題は、誰かに丸投げすれば解決するコトの方が少ないのです。
 こうして政治がどんどん悪くなっていくのです。
 国民が主導して政治が悪くなっていくのです。
 
 これは年金の問題に限らないと思います。
 まず自分の問題として考えるコトが、政治を考える上での一番の基本なのではないでしょうか。