政治に対する無いものねだり
無いものねだりってついついしちゃいますよね。
いまが幸福にも、また幸運にも大変に恵まれているのにもかかわらず、さらにその上を望んでしまうワケです。
むしろいまが幸福、もしくは幸運であるからこそ、さらに上を望んでしまうとも言えるでしょう。
もしいまの幸福や幸運が、大変な苦労をして手に入れたモノであれば今を大切にしようと思うのかもしれませんが、生まれながらにして幸福や幸運が最初から手の中にあれば、それは幸福とか幸運とかとすら思わず普通の状態であって、だからさらに上があるんじゃないかと上を希望してしまうワケです。
それが無いものねだりですよね。
でも現実はそんなに簡単ではありません。
いまがとても幸福なところにあれば幸運なところにあれば、さらにその上なんていうモノは存在しないコトの方がほとんどでしょう。
だからこそ、「無いものねだり」って言うのかもしれませんしね。
でもこれ、政治にも同じコトが言えるのではないでしょうか。
日本の過去の政治は、いまや悪いモノだと、古い政治は打破されるべきものだと言わんばかりの雰囲気ですが、果たして本当にそうなのでしょうか。
例えば戦後の奇跡と呼ばれた高度成長も、政治が果たした役割っていうのは小さくないハズです。
もちろん民間の活力や、国際的な状況や、様々な幸運もあってこそなのは否定しませんが、しかしあの時あの日本の政治体制や政治家でなければもしかしたらあの奇跡は無かった可能性だって誰にも否定できないワケです。
そして事実としてあの奇跡が成ったのですから、それは全ての幸福と幸運とその時の人間の力を認める必要もあるでしょう。
簡単な例えで言うと、あの時社会党政権だったら本当に高度成長が成ったかどうかは大変に疑問と言わざるを得ません。
そもそもいくら望んでも望んでも、日本ほどの経済力を得るコトが出来ない国の方が多いのです。
それは経済力だけではありません。
世界一安全な国、女性が夜道を一人で歩いても平気な国、地震があっても暴動が起きない国、他人とも助け合える国、これらは政治だけで達成できたモノではありませんが、政治が果たした役割も絶対にあるワケです。
過去の先人達の努力を知ろうとせず、あの時はたまたま運が良かっただけと言ってしまうのは簡単ですが、では果たしていまそれ以上のコトが出来るのかどうかは地に足を付けて考える必要があるでしょうし、そもそもいま現在そういう風に思えるコトこそが先人達の努力があってこそという部分も、シッカリと考える必要があるのではないでしょうか。
結果とは、幸運と共にその時の人間の努力もあって出てくるモノなのですから。
ところで、「やってみないと分からないから、試しに民主党にやらせてみよう」という、こういう考えで政権交代が起こりました。
自民党政権での政治よりも良くなるという希望的観測で、このような雰囲気が蔓延してしまったのです。
でも本当に自民党政治はダメだったのか、もしかしたら自民党政治こそがかなり優れた手法だった可能性はないだろうかという検証はなされませんでした。
もしかしたら、自民党政治は世界的に見てもかなり優れた制度を構築しており、その上を目指すのは難しかったのではないだろうかと、ふと立ち止まって考えてみるコトも必要なのではないでしょうか。
自民党だっていま、谷垣総裁に対して一方では押しが弱いという批判があり、一方では批判ばかりで無責任だという批判があったりしますが、しかし野党に転落した自民党をなんとか1つにまとめきって、むしろ両方から批判が出るぐらいのバランスで保ってここまで来て、政党支持率だってもはや民主党より上になっているのですから、これが最良だった可能性だってあるワケです。
最悪分裂だってあり得たのですからね。
一番政権に復帰したいと願い冷静に次を見据えなければならない自民党議員ですらこうなのですから、国民はもっとかもしれません。
現状の幸福と幸運に気付いていないだけなのかもしれません。
もしそうであれば、無いものねだりですね。
だからやえは別に自民党政治が絶対正義であんなによかった時代は無かったなんて言うつもりはまったくありませんが、でも考える必要はあるでしょうと提示するのです。
いまの民主党政権、いくらでも「自民党政権が正しかった証拠」というモノはたくさん出てきています。
無いものねだりは仕方ありません。
人間のサガと言えるモノですから、仕方ないです。
でも、無いものねだりの結果失敗したとするのであれば、それは一旦過去を振り返って歴史に学ばなければならないハズです。
間違っても、無いものねだりの失敗を、さらなる無いものねだりでかぶせてしまってはならないでしょう。
そんなのはさらに大きな失敗を招くだけです。
過去の政治は全てダメだ、古いモノは全て打破しなければならない。
この考えは「無いものねだり」なのかもしれないのです。
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