枝野大臣は委員会に出たくないようで

2012年4月15日

 昨日の参議院の予算委員会なんですけどね、枝野経産大臣がこんなコト言ったんです。
 
 「だったら出て行っていいのか!!」
 
 やえは言いたいです。
 どうぞ出て行ってください。
 大臣として予算や法案審議を国会にお願いしている立場でそんなコトを言うのでしたら、どうぞ出て行ってください。
 審議したくないならいいですよそこにいなくても。
 というか審議したくないなら、委員会にいたくないなら、どうぞ大臣を辞めてください。
 それならそこにいなくていいですから。
 
 ちょっと国会の仕組みについてのお話をします。
 まず立法府と行政府は、組織も違えば立場も違うっていう前提があります。
 これは最近よく言っているコトですよね。
 構成員は似ている場合もありますが、この2つは基本的には全く別の組織です。
 ですから責任者も当然のように変わってきます。
 行政府であれば最も責任が重いのは総理大臣であり、時に日本の中では総理大臣が一番偉い、なんでも出来るかのように思われがちですが、しかしそれはあくまで行政府の中だけのお話であって、立法府である国会においてはその構成員は国会議員であり、また責任者という意味で言えば議長や副議長が最高責任者、また委員会の中では委員長が責任者となります。
 総理大臣は国会の中でどうこうできる権限を持っていません、国会の中では総理大臣というのは一切の責任的な立場にはない人になります。
 言わば総理大臣も大臣も、国会から見れば言わば「外の人」なのです。
 
 ですから、国会の中の委員会に出席し、また答弁するためには、国会が許可しなければ出来ないコトになっています。
 

 国会法
 第71条 委員会は、議長を経由して内閣総理大臣その他の国務大臣並びに内閣官房副長官、副大臣及び大臣政務官並びに政府特別補佐人の出席を求めることができる。
 第70条 内閣総理大臣その他の国務大臣並びに内閣官房副長官、副大臣及び大臣政務官並びに政府特別補佐人が、議院の会議又は委員会において発言しようとするときは、議長又は委員長に通告しなければならない。

 
 このように国会法を読めば一目瞭然で、大臣等が委員会に出席するためには委員会の方から求めなければならないと規定されていますし、同時に発言するためには委員長に通告しておかなければならないコトになっています。
 いくら総理と言えども大臣と言えども、一国会議員としてならまだしも、大臣として大臣席に自分だけで勝手に出席するコトはできませんし、勝手に発言するコトも許されていないのです。
 これは法律によって明確に規定されているコトです。
 
 その上で、もう1つシステム的なお話があります。
 大臣等の出席はこのように明確に法律で規定されているワケですが、さらにですね、委員会においては質問ごとにも答弁者を事前に通知し登録しておくという仕組みがあります。
 同じ日の同じ委員会で同じ質問者であったとしても、やっぱり質疑の内容については幅が広いですから、この話題についてはこの人とこの人に答弁を求めよう、でも次の話題はさっきの人は全然関係が無くて、ここはあの人こそに聞くべきだろう、と、こんな感じで答弁者を設定しておく必要があります。
 例えば予算委員会なんていうのはありとあらゆる話題を取り扱う委員会ですから、消費税のお話なら総理や財務大臣等になるでしょうし、年金なら厚労大臣、軍事なら防衛大臣と、それぞれ違うワケです。
 そして質問者も1つの話題だけをするワケでもなく、自民党の石破茂先生なら軍事だけが専門ではなく、農政についても専門家でいらっしゃいますし、当然消費税については深い議論をすべきですから、同じ日でもこれらのような様々な話題を政府に質し、議論を深めていくワケです。
 ですから、この話題については誰々、この話題については誰々と、事前に通告し登録していくっていう作業を、委員会の前日までに国会の中では行っているワケなんですね。
 
 こういう国会の仕組みがある中で、枝野大臣の暴言はありました。
 動画がアップされていますので、ちょっと見てみてください。
 数分のモノです。
 
 
 
 自民党岩城参議院議員「先程の質問は総理大臣に通告をしておりましたし、(枝野)経産大臣には私、出席要求しておりません。なぜここにいるんですか」
 枝野「じゃあ帰っていいのか!!」

 
 まだ質問者である岩城先生がしゃべっている最中に大臣席からヤジを飛ばすだけでも非常識なのに、さらにこの言いぐさですよ。
 国会をよくご覧の方は見たコトあると思いますが、確かに質問者が「総理お答え願います」って言っているのに委員長が別の大臣を指名して、その大臣が答えるっていう場面は、確かによくあります。
 しかし今回のこれは、それらとは明確に違うというのがお分かりでしょうか。
 国会のよくある場面では、「経産大臣には私、出席要求しておりません」とまで言いません。 
 なぜならそんなコト言ったらウソになるからです。
 つまりこれは、出席要求というモノが国会の中のシステムとして機能しているコトを指し示しているワケですね。
 また例えば、これも委員会ではままあるコトなのですが、同じ質問者でも話題が変わった時には、「○○さんへの質問は終わりましたからどうぞご退席してくださって結構ですよ」と質問者が言う時があります。
 こういう事例を見ても、その質問ごとに答弁者が登録されているっていうコトが分かると思います。
 つまりこの場面は、システムとして枝野大臣は答弁者としての資格が無かったというコトなのです。
 
 それを裏付けるいくつかの証言もあります。
 

 asahi_kantei朝日新聞官邸クラブ
 サブA)おっしゃるとおり、参院予算委が止まった理由は、枝野経産相が出席要求がないのに発言したことが理由でした。枝野大臣が退席して再開しました。

 
 これは朝日新聞の官邸番の記者のツイッターです。
 朝日新聞公式です。
 ここでも「枝野経産相が出席要求がないのに」とハッキリと言ってますね。
 

 isozaki_yousuke礒崎陽輔
 ちょっと話がややこしいのです。経産大臣は今日の集中審議の常時出席大臣だったのですが、岩城委員による答弁者登録はなかったのです。委員長の指示による発言は致し方ありませんが、自ら手を挙げるのはおかしいのです。難しいですか??? @amaochi

 
 こちらは自民党の磯崎参議院議員さんですが、実はあまおちさんが確認のために直接質問をしてですね、ご丁寧にこのようなお返事を頂いたのです。
 これ、やえが最初に説明した通りです。
 通りというか、このお返事をあまおちさんから聞いて、やえも法律などを調べて書いたワケですから、つまりこういうコトです。
 その日の委員会全体としては枝野大臣は出席する権利はあったものの、岩城先生のこの質問の場面では枝野大臣には答弁する権利は本来無かったというコトです。
 複数人の証言から、これは間違いない事実と言えるでしょう。
 
 その上で枝野大臣は自らしゃしゃりでて答弁したワケで、そんなコトされれば質問者が抗議したくなるのは当然でしょう。
 繰り返しておきますが、いつもの質問者がその場で総理を指定しでたのに別の大臣が答弁した時の抗議ではないのです。
 本来挙手をする権利すらなかった場面で挙手し、さらに答弁までしてしまったから、質問者としてはそれに抗議をしたのです。
 
 それなのにその返事がなんですか。
 「だったら出て行っていいのか!!」ですよ。
 なに様のつもりですかと。
 誰がルール違反をしているんですかと。
 なに逆ギレしているんですかと。
 まして内閣が出した予算案を審議しているんですよ。
 答弁したくないならいいですよ、それは提出者がお願いして審議しているハズなのですから、その提出者が審議したくないっていうならいいんじゃないですか。
 もう辞めましょう審議は。
 提出者が不真面目にするんだったら、その人がやりたくないっていうなら、審議辞めましょう、もう。
 
 というワケで、この日のオチとしては、この暴言のために枝野大臣は委員長権限によって出入り禁止となりました。
 つまり強制退室です。
 委員会の品位を穢したとして、枝野大臣は委員会を追放されたのです。
 よかったですね、枝野大臣、思い通りになって。
 
 昨日も言いましたように、田中大臣には問責決議案を出すってコトになりつつあるようですが、枝野大臣にも出しましょうよ。
 だって自ら委員会に出たくないって言っているんですから、その通りにしてあげましょう。
 民主党だってまさか反対しませんよね?
 だって枝野大臣本人がそう望んでいるんですからね。
 望み通りにしてあげましょう。
 
 審議したくないっていう国会議員は大臣は日本には必要ありません。
 はやく辞めてください。