何の罪を犯したのかは明確にすべき
猪瀬東京都知事が辞任しました。
医療法人徳洲会から５０００万円を借りたとされる問題の責任を取ってというコトでの辞任です。
ハッキリ言いまして、やえは個人的感情としては猪瀬さんって嫌いな方なので、別に個人的には特にこの人に言うコトはないんですが、それでも政治的な公論として一言言っておきたいと思います。
もちろん自発的の辞職ですから、自分の身分は自分で決めるべきなワケですから、どんな理由であっても辞任するのは猪瀬さんの自由でしょう。
ただ、辞めろ辞めろと言っていた人に聞きたいです。
果たして具体的に「何の罪」で辞めろと言っているのですかと。
都知事なんていう重い重い職、何百万人もの投票の結果での職を辞めろと言うのであれば、それに見合う理由というモノが必要でしょう。
今回はそれが何なのか、今回の件はどうもハッキリと見えてこないのです。
「罪」と言っても、必ずしも刑事事件だけを限定しているモノではありません。
政治家としてそれに相応しくない行為をしたと有権者が判断すれば、時に政治家は自らの出処進退を考え直す必要も出てくるコトは確かです。
ただ今回の件、色んなコトが言われすぎていて、果たしてなぜ辞めろと言っているのかそこが明確になってない気がするんですね。
よく言われているところが「５０００万円を無担保で借りた」というモノですが、しかしこれは、法的にも社会一般的な規範においても、特に問題ない行為ではあります。
「お金を借りる時には必ず利子を払わなければならない」なんて法はないですからね。
政治資金規正法においても、そのお金が政治活動で使われるお金ではなく、完全に個人の範疇で使われるモノであれば、この法律の範囲外となります。
よくテレビでも「借金の形にツボをもらった」とかいうお話を聞くと思いますが、それらも個人間のお金の貸し借りの問題であり、その範疇であれば、猪瀬知事には本来は非はないハズなのです。
こんなコトを言うと「かばうな」とか「擁護が過ぎる」なんて言われるのですが、ではどのような行為が明確に罪だったのかをハッキリさせなければなりません。
一部報道によると、お金を貸したその場で東京都内の病院建設について話があったとかなんとかという報道も出ています。
ですから仮に「５０００万円貸す代わりに、新規建設をスムーズに行えるように便宜を図れ」とか言ったのであれば、かなり便宜供与の可能性が高くなります。
まぁこれは普通に刑事事件ではありますよね。
ですからこれが真実であれば、辞任も仕方ないかもしれません。
ただこれは、まだ事実の全容が明らかになっていない問題ですし、そもそもこれが発覚する前からマスコミの中では辞めろ辞めろとの大号令が聞かれていました。
ここのところはキチンと整理すべきなんですよ。
というのも、最初マスコミが火を付け、マスコミによって炎上させて、雰囲気として「猪瀬は悪いヤツだ」というイメージをなんとなく付けた上で、決定打的なモノを出して辞任させるっていうのは、これはマスコミのマスコミによる私刑としか言いようがないのではないかと思うからです。
そしてそれにまんまと乗ってしまう国民も、主権者として考え直さなければならないのではないかと思うのです。
有権者として政治家に辞めろと言うのは自由です。
自由ですが、その発言にも責任が伴うモノであり、責任なき主張など放言や罵詈雑言にしかならないのですから、辞めろと言う以上は、そこに明確な理由が必要です。
今回の問題は、果たしてそれがどこにあるのか、キチンと説明出来るのか、という問題なのです。
キチンと説明できるのであればいいんです。
その上で辞めろと言うのは自由です。
でも、「５０００万円を借りるのは問題ない」という発言に対して、「ぶさけた擁護なんてするな」と言うのであれば、じゃあなぜ辞める必要があるのか、その理由はどこにあるのか明確な答えを言ってくださいってコトなんですよ。
もしかしたら「なんとなく猪瀬は悪いヤツ」とか「悪いヤツだから辞めて当然」とか思ってしまってはいませんでしょうか？
その理由は、よくよく考えたら「雰囲気」だけでしかなかったりしませんか？
ここをよくよく考えてもらいたいのです。