国民新党分裂

2012年4月15日

 やえの記憶がある中では最もみっともない政党分裂劇です。
 あの亀井静香ちゃん先生もここまで墜ちたかという感じです。
 

 国民新党 連立派が代表解任 亀井氏は無効主張
 
 国民新党の下地幹郎幹事長や自見庄三郎金融担当相ら連立維持派の議員六人は五日夜の記者会見で、連立離脱を表明した亀井静香代表と、同調した亀井亜紀子政調会長の役職解任を決めたと発表した。ただ、下地氏らは亀井代表の了解を得ずに開催した「議員総会」で解任を決定。亀井氏は「あんなのが有効なはずはない」と無効だと主張しており、亀裂は決定的になった。
 六人は会見で、解任理由について「連立を維持するという党の決定を独断で握りつぶし、公党を私物化した」と説明し、連立維持の方針を重ねて強調。新たな代表に自見氏が就任するとして、六日に党代表の変更届を、総務省に提出する。
 解任と連立維持を決めた総会は会見に先立ち、六人が出席して党本部で開いたが、二人の亀井氏は欠席した。
 下地氏らは総会後、民主党の輿石東幹事長や樽床伸二幹事長代行らと国会内で会談。新執行部人事と連立維持の方針を伝えた。樽床氏は「連立はこれまで通りだ」と応じた。

 
 野田内閣が消費税法案を閣議決定してしまったので、当時は自他共に認める国民新党の代表だった亀井さんが「国民新党は連立離脱する」と宣言したワケですが、これを受けて亀井代表と亀井亜紀子政調会長の2人以外の党所属議員が、2人の役員を解任し、新しい代表を立てたと宣言したという問題です。
 長い説明になりましたが、ひとことで簡単に言えばクーデターです。
 W亀井さん以外の国民新党所属議員はどうしても政権のイスに座り続けていたかったんでしょうね。
 消費税増税はそもそも民主党と国民新党、そしていまは野党ですが社民党との間結んだ「三党連立政権合意書」には消費税は5%に据え置くとハッキリ明記してあるのに、それに目をつむってでも政権の座が欲しかったようです。
 

2009 年 9 月 9 日
連立政権樹立に当たっての政策合意

民 主 党
社 会 民 主 党
国 民 新 党
 
2.消費税率の据え置き
○ 現行の消費税5%は据え置くこととし、今回の選挙において負託された政権担当期間中において、歳出の見直し等の努力を最大限行い、税率引き上げは行わない。
 
民主党公式サイトより「三党連立政権合意書」(PDFファイル)

 
 ところで政権連立を維持するかどうかで党が割れて分裂したというのは、最近では保守新党が挙げられるかと思います。
 と言っても10年以上前のお話ですから最近と言うのもアレですが、当時政権与党だった自民党と、小沢一郎が党首をしていた自由党と、そして公明党の「自自公連立政権」の時のお話です。
 あの時は、当初自民党と自由党の2党での連立(自自連立政権)だったのが、途中から公明党も加わって自自公連立政権となってしまったために、キャンスティングボードを握れなくなった小沢一郎が連立を解消したという動きでした。
 いまの世論であればとても納得されるような理由ではない、さすが政局屋小沢一郎だと言うところですが、この時ですね、自由党の議員の中に、与党に留まるべきだと主張する人が少なからずいて、結局自由党は、小沢自由党と扇千景保守党(のちに保守新党)に分裂しました。
 よってこれから後の連立政権のコトを「自公保連立政権」と呼ぶようになったワケです。
 
 で、この時は、連立に残る側の議員は自由党から「離脱」したんですね。
 「離党」と言った方がいいですかね。
 つまり自由党はそのまま自由党としてそのままの形をとり、与党に残る議員が勝手に党を離脱したという形になりました。
 よって今回の国民新党の件とはちょっと違うんですね。
 国民新党の場合は、いまのところ党内の人事のお話だけです。
 亀井静香ちゃん先生を代表の座からひきづり降ろして新しい代表を立てただけで、静香ちゃん先生自体は党から追い出したワケではありませんし、与党派の議員が離党して新しい政党を打ち立てたワケでもありません。
 ここがいままでとちょっと違う点です、というかこれまで色々と政党が分裂してきた歴史はありますけど、やえは代表を普通ではない方法で追い出したなんていうクーデター騒ぎは初めて聞きました。
 
 ここからお話がちょっとややこしくなるのですが、実は国民新党は役員人事とか議員総会の決議の仕方とか、そういう党内手続きをどうとるのかという部分については一切決めていなったらしいのです。
 「議員総会で役員を決める」というコトだけは明文化してあったそうですが、そもそも議員総会はどうやって開くのか、議員総会の決定とはどのような方法で決めるのか、そして役員を解任させるためにはどうしたらいいのか、この辺が全く決まっていなかったんですね。
 組織としてあまりにもお粗末だと言わざるを得ないのですが、だから逆にここをもって未だに静香ちゃん先生は今回の「クーデター」に対しては「聞いてない」と否定しているワケで、まぁ党則的にはどっちの言い分も分かるとしか言いようのない泥沼なコトがいま起こっているのです。
 普通の政党なら、こんなデタラメな解任劇にはならなかったんですね。
 
 ただこれはもう党内手続きの問題ですから、やえからはこれ以上のコメントはありません。
 これは綱領や政策決定プロセスの無い民主党にも全く同じコトが言えるのですが、「お粗末な党ですね」というコメント以上も以下も言えない状況なのです。
 いかに手続き論を整えておくコトが大切なのか、それをおろそかにしているコトがどんなにデタラメなのか、理解するいい機会なのかもしれませんね。
 
 まぁこういう現状ですから、本来は国民新党の与党派は、一番スッキリするのは離党するコトのハズなのです。
 与党派の人たちも、自分達の政党にまともな党則がないのは分かっていたハズですから、静香ちゃん先生が抵抗するコトも泥沼化するコトも予想済みだったハズなのです。
 でもそれでも離党せずに役員解任という党則からすれば例外的なコトを強行しました。
 なぜでしょうか。
 
 それはおそらく政党助成金だと思います。
 国庫から政党に対して一定の条件を満たせば議員数の比例割合に応じて助成金が下りるという制度のお金です。
 この政党助成金のもらい方にこの問題の原因がありまして、実はこれ、算出日っていうのが決まっていまして、年末年始あたりだったと思うのですが、この日にその政党には何人議員がいるかというコトを基準に金額が決まるのです。
 ですから極端な話、その日には100人議員がいたのに、次の日には1人しかいなくなりましたってコトになっても、その政党は100人分の政党助成金が貰えるコトになるんですね。
 よってもしいま国民新党の与党派が離党したとして新しい政党を作ったとしても、いくらそっちの方が議員数が多かったとしても、国民新党という看板と役所に提出している代表者の名前が無いのであれば、次の算出日までは政党助成金はゼロになってしまうワケなのです。
 逆に亀井派(ちょうどW亀井ですね)はたった2人でも、8人分の政党助成金を使い続けるコトが出来るのです。
 事実、小沢自由党から離党した保守党は、しばらく政党助成金ゼロで活動していたという事実があったりします。
 
 つまり今回の泥沼のクーデターは、政党助成金を巡る争いと言えるワケです。
 おそらくこれがなければ、与党派はあっさりと離党して新しい政党を作っていたコトでしょう。
 特にいま新党なんて言うと注目されやすい風潮がありますからね。
 さらに言えば、与党派の議員達も、亀井静香っていう印象が強すぎる国民新党という党名よりかはよっぽどか活動しやすくなりそうだと思うのですが、でもそれでも国民新党にこだわったのは、この政党助成金があるからことなのでしょう。
 
 もちろん政治活動にはお金が必要不可欠ですから、お金のためという行動を否定するつもりはありません。
 でもなんかこう、みっともないですよね、やっぱり。
 広島県選出として昔からよく知っているんですが、もうここまで力が無くなってしまった亀井静香ちゃん先生もなんか見ていられないですし、与党派も「三党連立政権合意書」について曖昧な態度に終始していますし、そもそもあの嘘を付き続けている約束なんてそんな概念すら知らないのではないかと思わざるを得ない民主党なのに、それでもそんな民主党に擦り寄ろうとしているダメさ加減がなんとも言えません。
 
 まぁこれ以上はコメントしようがないのでアレですが、ひとつだけ言えるコトは、「任期中は議論すらしない」と言っていた以上は、いまの民主党与党には消費税を増税する資格など全くないというコトです。
 民主党が主導してやるのであれば、必ず衆議院選挙を経てからです。
 それは国民新党がどうなろうが同じコトなのです。
 もしそれを強行するのであれば、国民新党は同罪だというコトです。