安定の政治と野党の存在

 今年は結局選挙になってしまいましたが、与野党の勢力もほぼ代わりがなく、安倍政権発足時から続く「安定した政治」がそれからも継続されるコトになったと言えるでしょう。
 第1次安倍内閣から数年間、一年ごとに政権が変わるという“異常事態”が起きていたワケですが、さすがにそれは国益を損ねると、一年ごとに総理が替わるコトを望んでいた国民もやっと気付いたと言えるでしょう。
 もちろんそれは民主主義国家における制度としてあり得るコトですから、その政権がダメだと国民が望むのであればコロコロ政権が変わっても仕方ないコトではありますが、しかしその一方国益の損失になっているというコトも理解した上ででなければやはり主権者としての責任は果たせないでしょう。
 そういう意味では、いまやっと民主主義としては一歩成熟した段階に入れたとは言えるのかもしれません。
 
 そもそも選挙に「風」なんて必要ないんですよ。
 なんで大切な大切な選挙というモノにおいて、流行りで投票先を決める行為が正当化されてしまっているのでしょうか。
 今回の選挙では散々「無風だ」とか「無関心だ」とかを批判的に言われていましたが、むしろ選挙を真剣に考えるのであれば、一時のブームで投票先を決めるなんて考え方の方が間違いで、無風なのが当たり前であるハズなのです。
 逆に無関心の人は政治に対して無理に関心を持たせる必要なんてなく、そこを無理やりブームとして投票させるから、結果的におかしい政治が成ってしまうのです。
 選挙というモノは最初から最後まで自分の中だけで完結するモノであって、自分だけで関心を持って自分だけで考えて自分だけで結論を出せばいいのです。
 その自分だけの結果として無関心であれば、それはそれでいいのです。
 よって今回の総選挙こそが普通なのであって、これまでの風をワーワー言う選挙の方が異常だったと言えるでしょう。
 
 選挙前から言われていたコトですが、来年の秋に自民党の総裁選が予定されていますけど、もう安倍さんの再任で固まっている状況において、少なくともあと2年以上は安倍内閣が続くモノと思われます。
 最長を考えるのであれば、自民党の総裁任期は3年、連続3回の再任は禁止ですので、最長で来年の9月から数えて3年間は総裁で有り続けるコトが可能ですから、今年から考えるとあと4年弱は自民党総裁であり、そして4年と言えば衆議院の任期も4年ですから、選挙も無いままで確定として総理大臣であり続けるコトが可能となります。
 こうなると、衆議院の任期と安倍さんの総裁としての任期が切れる時期が近いですから、安倍さんとしては任期一杯まで総裁と総理を務めて総理総裁を退任し、その後新総裁=新総理のもとで「新総理としての信を問うための衆議院選挙」という選挙を狙っているのでしょう。
 またもしかすると、安倍さんの任期前に「安倍政権の評価」という意味で解散に踏み切り選挙を行い、安倍さんが勝った後に総裁を退任し、その力のままに安倍さんは次の総裁選びにとてつもなく大きな影響力を発揮して、引き続き永田町で大きな力を与え続けるってというシナリオも考えているのかもしれません。
 どちらにしても、安倍さんはよほどの大失点を犯さない限りは任期一杯まで総理を務めるコトができる(総理大臣には法的な任期はないです)ワケで、政権交代の無いという意味では安定政権が続くモノだと思われます。
 
 そういう中においての野党の存在意義について、これは野党自身もそうですし、主権者たる国民もじっくり考える必要があるでしょう。
 民主主義において野党という存在は必要不可欠であるという部分に関しては間違いがありません。
 オール与党の政治というのは北朝鮮と変わらないワケで、異論を内在してこその民主主義です。
 しかし、与党の足を引っ張るだけの野党であれば、もう必要ないと切り捨てるしかありません。
 言いがかりでしかなかったウチワの問題とか、そういうコトしか言えない政党であれば、そんな野党はいりません。
 そうではないキチンとした、政策的に別の方法を示せる、そして政権を担当できるキチンとした野党が民主主義には必要なのです。
 今こそここを真剣に考える時が来ているのではないのでしょうか。
 
 ここはもはや民主党や維新などのような当事者だけでは自浄作用は期待できませんから、国民こそがそういう野党を望んで、そして育てる必要があるハズです。
 ただ自民党の足を引っ張って引きずり下ろす野党に支持をするのではなく、むしろそういう政党は批判ができる、キチンと政策提言する政党こそを評価する国民が大部分になれば、与野党問わずに政策こそを第一に掲げる政党ばかりになるでしょう。
 もっと簡単に言ってしまえば、政策を重視する政党に国民が多く投票すれば、その方が議席を多くとれるのですから政党だってそういう方向にシフトするに決まっているワケです。
 しかしそれが分からない民主党は結局下野してから2年間何も新しい方向を示すコトができなかったワケで、維新も内ゲバに明け暮れていたワケで、このように民主や維新の自浄作用が効かない以上、主権者たる国民の意思でもって新しい政党を作り育てていく必要があるのではないかと思うのです。
 
 しばらく安倍政権が長期化する見通しである今こそ、来年以降はここをシッカリと考える時期に入るんだと思います。
 足を引っ張るだけならすぐできますが、政策本位な政党をつくるのであれば時間はかかるでしょう。
 ここは日本の政治のために、本当の意味で政権担当能力のある政党を、国民自身が作って育てる時期に来ているのではないのでしょうか。
 来年からは、そういう視点をより強くして政治を見ていきたいと思います。