自民党新総裁に安部晋三先生に決定。

 ご存じだと思いますが、自民党の新総裁に安部晋三元総理が決定しました。
 もしこれで自民党が与党になって安倍総裁が総理になったら、日本憲政史上何年ぶりですかね、一度間を置いてからの再任というのは、とてもめずしい光景が見れるコトになります。
 それはとにかく、まずもって安倍先生におかれましてはお喜びを申し上げたいと思います。
 
 やえは総裁選挙が始まる前から、自民党は自民党であるのだから誰が総裁になっても自民党は変わらないのだからどなたでも構わないと言い続けてきました。
 いまでもその考えは変わりません。
 5人の候補の中では安倍さんが一番ブレ幅は広いとは思いますが、それでも自民党の中でのお話ですし、すでに次期衆院選の選挙公約もほぼ出来ているワケですから、それは結局自民党という組織としての力が強いという意味であり、そのシステムやプロセスをシッカリと見れば十分に信頼に値すると十分に言えるでしょう。
 ですからこの結果は、あくまで日本をデタラメにした民主党政権を倒すタメのはじまりでしかないというコトは強く言っておきたいと思います。
 
 その上で、新総裁となり、新総理の可能性がある安倍さんにはいくつか言っておきたいコトがあります。
 
 まず安倍さんは、一度体調を理由に総理を辞任されていますから、次は体調すら言い訳には出来ないという点です。
 言い訳っていうと悪いように聞こえるかもしれませんが、しかし体調は今回は万全だと自らも明言して立候補したのですから、これ以上は体調が理由だったとしても任期満了か総選挙の敗北以外での辞任はあり得ません。
 ここはまず前提条件とすら言えるコトですから、それは当然のコトとして頑張って貰いたいです。
 
 次に、安倍さんご本人はバランス感覚が優れた人だと思っていますが、果たして周りの人も全員そうかと言ったら、ちょっとそう言いにくい部分があるとやえは感じています。
 やえは安倍さんの一番の心配の部分は、安倍さん本人ではなく周りの人、悪い言い方で言えば「取り巻き」が悪いという点です。
 安倍さん自身の基本的思想は自民党の中ではかなり右寄りなのは確かですけど、しかし安倍さん本人はバランス感覚はありますから、安倍さんだけで極端な右寄りになったりはしないと思います。
 実際前回の総理の時は、小泉さんの尻ぬぐいという意味で、総理就任の最初の仕事は中国との関係改善でした。
 安倍さんは自分の個人的主張よりも政府の舵取りという大局を見た上でのバランスはとれる方です。
 ただし、取り巻きに引きずられる形で極端へ極端へ行ってしまわないだろうかという点が心配です。
 本人はバランスを取るべきだという場面でも、周りがもっと過激な方向にすべきたすべきだと言い、それにいつしか逆らえない雰囲気になってしまって、結果的にそうとう歪んだ形になってしまった、という風になってしまわないかと心配なのです。
 実際議員や議員以外での取り巻き、安倍さんは身内と思っていない人もいるかもしれませんが、議員非議員に関わらず現実を無視したただただ勇ましいコトを言うだけが目的になっているような人がいます。
 やえはもはや言うまでも無く、憲法改正や集団的自衛権の行使などは大賛成で、これからの課題の優先順位の問題はともかくとしても、その方針には大賛成ですから、そこからさらに取り巻きに引きずられて先鋭化して迷走するようなコトにだけはならないでほしいと思っています。
 
 また、この「取り巻き」のお話は、政策だけの問題ではありません。
 正直、安倍さんのまわりの議員も「はぐれ系」が多いんですよね。
 あまり名前を出すのは憚れるんですが、広島出身の身としては、例えば河井克行議員なんてやえからすれば「よくこんな人を推薦人に安倍さんは入れましたねと、もっと他にマシな人はいたんじゃないですか」と思うぐらいの、まぁ地元では本当に評判の悪い人です。
 ちなみに選挙では単独比例で当選してる人(ゾンビですらない、小選挙区に出ていたら確実に復活することもなく落ちていたでしょう的な人)です。
 あと、個人的には嫌いではないのですが、例えば塩崎元官房長官なんかも、あの人はわりとオレがオレが的な人ですから、むしろ「政府での野党との調整役」である官房長官には本当に向かない人なんですね。
 塩崎さんは政策通ですから他の大臣ならもうちょっとマシに出来たのかもしれませんが、なぜよりによって相性最悪とも言える官房長官にしてしまったのか未だに謎なワケで、そして結果はああなってしまいましたね。
 ですから、こういう人達がまわりを囲っていたら、果たして党内をしっかりとまとめられるのか、逆に、安倍さん本人からはともかく周りの人達の言動によって、無駄な諍いや対立を招いてしまわないかと心配です。
 最近よく言ってますが、仕事が出来るっていうだけでは人はついてきませんからね。
 人がついてこれるよう配慮するコトも上の人が行わなければならないコトで、それが安倍周辺の人達に出来るのかどうかという点が心配なのです。
 「あの人はいいんだけど、取り巻きが悪いから、ちょっとあのグループにはついていけないんだよなぁ」って、よくあるお話ですよね。
 ここの部分も政策と共に、引きずられなければいいなぁと思っています。
 
 最後にもう1点。
 結局谷垣さんの失敗というのは、総裁選のはじめの方に指摘しましたように、足下を固められなかった点にあります。
 谷垣さんが立候補しなかったのは、しなかったのではなく推薦人が集められなくて「出られなかった」というところだったワケです。
 つまりこれは、いくら最初の総裁選で圧勝したからといってそれだけで3年後も同じように得票出来るとは限らないというお話であり、もし「前回圧勝だったんだから今回も楽勝だよ」とか思っていたのであれば、それはあまりにも脳天気すぎるとしか言いようがありません。
 特に今回の総裁選の得票経緯を振り返ると、1回目の投票では党員票では石破さんが圧勝し、議員票では石原さんが一位をとりましたので、安倍さんはどちらもトップをとるコトが出来ず、まして一回目には議員票が少なかった石破さんが決選投票ではかなり票を伸ばしていましたから、これは安倍さんにとっては楽観視出来ない結果だと言えるでしょう。
 つまり、安倍さんの選挙結果での立場というモノは、国民人気も一番ではなく、議員の間でもコアメンバーとそれ以外の議員では温度差が結構あるんじゃないかと想像される結果だったと言えるワケです。
 よって安倍さんにとっては「足場固め」が急務なのです
 地盤が弱いというコトは、それは政権にとっては致命傷となります。
 それは民主党政権を見ていれば一目瞭然のハズです。
 これは政治だけのお話ではありません。
 仕事は出来るけど性格が悪くて人付き合いが悪いっていう人は、個人商店ならまだしも、大企業を率いる立場としては不適格であるというのは言うまでも無いコトですから、政治だって民間企業だって足下を固めるコトは必要不可欠なコトなのですから、是非とも安倍さんはここをシッカリと頑張って貰いたいのです。
 それが結果的には日本のタメになるのですからね。
 
 今日は3点を苦言として提示させていただきましたが、もちろん政策については言うまでも無く安倍さん頑張れと言っている身であり、というか、安倍政権の時にやえも色々なところがボコボコにされながらも評価すべき点はマスコミや国民に迎合するコト無く評価してきた数少ない身としては、ちょっと恨み節を言わせていただければ、あの時に言わなかった人に今になってから文句言われたくないっていうのが正直なところでですから、だからこそやえは安倍さんがキチンとその職責が果たされるよう心配して問題点を提示しているのです。
 あの時安倍さんを潰したのは、だれでもない国民自身です。
 国民としてはこの点を忘れないようにしなければなりません。
 そして是非とも安倍さんには、日本が普通の国として立ち上がれるように道筋を立てていただきたいと思っています。
 
 どうぞ安倍さん、頑張って下さい。