労働組合は労働の問題だけに口を出せ

 今日はこちらのニュースです。
 

 麻生副総理が連合に攻勢 参院選控え民主系労組潰し
 
 春闘を舞台に麻生太郎副総理兼財務相が民主党最大の支持団体、日本労働組合総連合会(連合)に対する攻勢を強めている。賃上げが進まない現状を連合の努力不足とみて、その責任に言及し、自ら労組の代わりとして経団連と交渉する姿をアピールしている。先の衆院選で民主党が大敗し求心力が低下した連合に「無能」のレッテルを貼り、賃上げを政権の手柄とすることで、夏の参院選を有利に進めたい思惑があるようだ。

 
 「手柄」とかなんだか悪意が感じられる記事ですが、それはともかくとしてですね、やっぱり戦後日本の政治史における一番の悪因というのは「労働組合」だと思うんですよ。
 社会党時代はほぼ二大政党として、政権交代はしませんでしたが、自民党と社会党の2つの大きな政党が日本の政治を動かしてきたワケですが、しかしなぜ社会党が政権を取れなかったかと言えば、やはり「労働組合の政党」だったからだと思うのです。
 これがまだ、ただ単なる「労働者のための政党」という「労働党」であればまだ違っての化もしれませんが、しかし日本の場合、さらに労働組合がイデオロギーの団体に成り下がっている点が一番の問題だったと言えるでしょう。
 すなわち、一時の労働組合は共産主義を目標に掲げていたり、一時の労働組合は憲法9条改正の絶対阻止を掲げていたり、思想や政治や教育など、あらゆる面にまで手を伸ばしてしまったからこそ、社会党と労働組合はどんどん一般人から思想的に遠ざかり支持が得られなくなって、結局は日本を停滞させる最も大きな原因に成り下がったのです。
 
 まだ共産主義は労働者のための制度と言えなくもありませんからいいとしても、憲法問題や教育の問題、特に「階級史観」などの歴史を歪めるような主張、そして戦後民主主義の負の象徴とも言える悪平等の問題にまで手を出したのは、日本の労働組合の一番の失敗と言えるでしょう。
 これにより、自民党と社会党の対立というのは、単純なイデオロギーの対立になってしまいました。
 「自由主義社会vs社会主義(共産主義)社会」という構図です。
 そしてそれは、特にソ連崩壊してから共産主義が夢想の主張でしかなかったコトが判明した後にはますます思想が瓦解し、最終的には「自民党vs反自民党」という、もはや理由無き闘争という全くの無駄な政治停滞をもたらしたワケです。
 
 いまや労働組合と言えば、日本の中でも最も嫌われている圧力団体という印象がありますが、やえは労働団体そのものは存在すべきだと思っていますし、社会において果たすべき役割はあると思っています。
 それは、その名の通り労働問題を解決する役割としては、現代社会にとって必要不可欠だと思うからです。
 
 労働者は弱い立場です。
 いくら法で守ったとしても、経営者にクビだと言われれば一方的にクビにされてしまうというのが現実的な社会のあり方です。
 もしそこでクビを撤回されたとしても、社内での雰囲気は耐えられないモノがあるでしょう。
 出世なども絶望的になりますしね。
 まして法律は万能ではありません。
 いくら法律が存在しても、実際の運用では理想通りになっていないというのは、これは労働の場面に限らず、現実社会においてはどこにでもある光景です。
 その中において、全ての人が問題となりえる労働という分野において、その法律と現実の乖離について手助けをするというのは、これは社会にとって利益になると言えるでしょう。
 ですから、そういう面での労働組合は必要だとやえは思っています。
 
 だからもう労働組合は政治に口出しするのはやめて、政党のバックに付くのはやめて、労働組合は労働問題にだけ汗をかくべきなのです。
 もちろん労働問題は時に法律の問題になりますから、その面では政治に口や手を出すコトもあるでしょうけど、でも少なくともひとつの政党のバックについて、その政党の後援者となるという行為はもう辞めるべきでしょう。
 それは自らの手足を縛っているコトにしかなりません。
 別の件で主張を前面に出し、それに反発されては、敵対政党から本来の件すら話を聞いてもらえなくなりかねません。
 ましてそれは、労働組合の方から敵対しだしているワケですしね。
 事実、憲法改正が党是の自民党からすれば、憲法改正絶対反対と言い続けている団体とはまともに取り合わないでしょう。
 労働組合が、労働の問題よりも憲法の問題の方が大切だというのでしたら仕方ありませんが、それなら労働組合っていう看板を外すべきで、労働の問題こそが労働組合の存在意義だと思うのであれば、キチンとそのように特化した方が、それは自らのため、労働者のためのハズなのです。
 
 もはや労働組合による政治全体の把握は不可能だと証明されました。
 いくら民主党という支持政党を与党に出来たとしても、結局なんら労働組合の利益にならなかったではないですか。
 民主党政権になってから、劇的に労働者の環境が良くなりましたか?
 むしろ悪くなっていませんか?
 結局「反自民」という、民主党と労働組合の共通理念こそが政治の混乱と「決められない政治」を招いたのです。
 国民の利益を損ねたコトを労働組合はキッチリと反省し、いまこそ生まれ変わる時です。
 労働組合の果たすべき使命は少なくありません。
 労働組合を頼りにしている人もいるのです。
 早く労働組合は政治から手を引いて、労働問題の専門家として、労働問題だけを取り扱う団体になるべきです。