歴史的な平和記念公園の献花

 先日、広島におきましてG7外相会合が開催されました。
 この会合が広島で開催されるのはもちろんはじめてで、そもそもアメリカ・イギリス・フランスという核保有国の外務大臣が広島に来るっていうだけで史上初のコトという、歴史的な会合でした。
 そして生中継までされた、平和記念公園での献花。
 併せて原爆資料館の視察と、予定に組み込まれていなかったと言われている原爆ドームの視察。
 広島で生まれた身として、本当にあの時は涙が出そうなくらい、胸が一杯になりました。
 
 前回言いましたように、核問題に関わる様々な感情の部分については多くは語りません。
 要は核兵器のない世界を望む、そんな世界が一日でも一秒でも早く訪れるためにどう足を踏み出すのかを現実的に考え、小さくてもその一歩を着実に進めてもらい、そしてその歩みをキチンと評価し歓迎するっていうのが、やえの率直な思いですし、そしておそらく多くの広島の人間にとってもこの願いこそが共通する願いでしょう。
 ですから、もしその歩みに逆行するようなコトを言ったりするっていうのは、少し冷静に考えて欲しいと思うのです。
 それは一時的な感情を満足させるため、ただ単にカタルシスを得るためだけではないのですかと、真の願いは核廃絶なのではないのですかと、そう問いかけたいのです。
 
 今回の外相会合では、新聞やテレビをはじめ、本当に多くマスメディアが取り上げていましたが、その中で一番気になったのが、被団協の主張でした。
 広島県原爆被害者団体協議会という団体(細かく言えばこれも2つの団体があったりするのですが)なのですが、その名の通り被爆者の団体です。
 この被団協がテレビなどのインタビューで、「ケリー国務長官は被爆者と意見交換しなかったのはけしからん」というニュアンスのコトを言ってたんですね。
 やえはもう本当にガッカリしました。
 
 被団協は一部の政党に近しい極左的な雰囲気を持ちつつも、それでももはや政治闘争しかしていない他の左翼団体と違い、今でもその行動原理は核廃絶こそを目的とし、そのために行動している団体として、広島では認知されています。
 ですから、地元メディアでは露出の機会も多く、広島内での知名度はかなり高い団体でもあります。
 しかしそんな一定の努力を行っている団体なのに、核廃絶よりも自分たちの感情を前面に出したワケなんですね、今回の主張というのは。
 やえは本当にガッカリするしかありませんでした。
 
 いま被団協がケリー国務長官と面談したら、いったいどんな要求をしてしまうのか、それは容易の想像が付きます。
 謝罪要求と即時核廃絶条約の締結要求、この2つを口に出してしまうコトでしょう。
 しかしその結果どうなるかは、もう説明する必要はありませんよね。
 間違いなく謝罪はするハズもありませんし、条約も今の段階でアメリカが締結するワケもなく、しかしその一方、そんな要求をされたからには、もはやアメリカの高官は二度と広島の地を訪れてはくれなくなるでしょう。
 それは間違いなく、核廃絶への道に逆行する行為です。
 被団協はなぜそんな簡単な理屈が理解できなかったのでしょうか。
 
 そもそもとして、被団協だって別に被爆者の全てが加入している団体ではありません。
 決して被爆者の総意を代弁する団体ではありません。
 それなのになぜ、さもケリー長官が被団協と会うコトは当然のコトかのように、ケリー長官は我々と会うのは義務なのにそれを履行しなかったと言わんばかりに、平然とマスコミの前でしゃべれるのでしょうか。
 その姿は、さすがに何様ですかと思わずにはいられませんでした。
 自分たちの感情だけを優先させ、また結局は団体の指摘利益だけを追求するかのようなその姿勢は、本当に失望せざるを得ませんでした。
 
 今回、広島選出の岸田文雄外務大臣の主導の下に出された「広島宣言」の一節です。
 

 我々は、核兵器は二度と使われてはならないという広島及び長崎の人々の心からの強い願いを共にしている。

 
 この一文だけでも目頭が熱くなる思いであり、この一文のためだけでも今回広島でG7外相会合が開催された意義があったとしみじみと感じ入ります。
 次はいよいよオバマ大統領が広島入りするかどうかが焦点になっていますが、もちろんやえも米大統領が広島を訪問してもらえるなら、それは大変意義深いコトだと思っています。
 今後どうなるかはやえには分かりませんが、少なくとも、この核廃絶への長くそして細い道ではありますが、それでも少しずつは前進しているのでしょうし、なによりこのG7外相会合がその歩みを促進させたのは確かでしょう。
 どうか、この道がもっと広く短いモノになってほしいと願うところです。
 
 バーチャルネット思想アイドルやえ十四歳は、核なき世界を応援しています。