お金を循環させてこその景気
今日はこちらのニュース、というか、このニュースに対する反応についてちょっと違和感がありますので、それについてお話ししたいと思います。
安倍首相が少子化対策の新制度…1人あたり1000万円までの贈与税を非課税に
結婚育児支援で贈与税非課税の方針 自民
自民党税制調査会は来年度の税制改正で、少子化対策の一環として、親や祖父母が結婚や出産、子育ての費用を一括して援助した場合、子や孫1人当たり1000万円を上限に贈与税を非課税にする新たな制度を4年間の時限措置として創設する方針を固めました。
自民党税制調査会は、地方創生に向けた基本法で、結婚や出産、子育てに希望が持てる環境の整備が基本理念の1つに掲げられていることを踏まえ、税制面から少子化対策を後押ししようと、来年度の税制改正で新たな制度を創設する方針を固めました。
記事もそうですが、どちらかと言えばリンク先のレスを見ていただきたいのですけど、こういうレスだけを集めているんだとは思いますが、それにしてもどうかと首を傾けざるを得ません。
経済の基本ですが、景気が良いという状態はどういう状態なのかと言いますと、「お金持ちが多い」という状態ではなく、「お金の循環が早い」という状態こそを言います。
よって、景気が良い状態を作ろうとするのであれば、対象をお金持ちに当てるかどうかなんていうコトはかなりどうでもいいお話で、お金持ちでもそうでない人も全ての人が「よくお金を使う状態」になるコトが大切なんですね。
もっと極端な言い方をするのであれば、「貧乏な人がお金を貯めるコトができる状態になる」のが好景気なのではなく、「貧乏な人でもお金を使うコトができる状態になる」のが好景気なのです。
バブルの頃が一番分かりやすい状態で、とにかく誰でもお金を使うコトが正義で楽しくて素晴らしいコトだと日本中が狂乱していたワケで、もちろんなんでもやりすぎは良くないのですけど、少なくとも「好景気」という状態がどういう状態なのかという点を考える上では最も分かりやすい例と言えるでしょう。
もっと言えば、みんな貧乏でもあれぐらいのテンションで狂乱すれば経済的には好景気になるのです。
ですから逆に言えば、「お金を貯めるコト」は好景気になるための壁とすら言えてしまうでしょう。
そういう中における今回の政策というのは、ズバリお金を使わせようという政策です。
日本は世界で見ると貯蓄率が相当に高いというのはよく知られているお話だと思いますが、しかしそれって景気という面で考えればあまりよくない状態なワケです。
特に高齢者の貯蓄率が高いと言われている中において、しかし高齢者というのは、「老後のため」というのはもちろん分かるのですか、それ以上にため込んで、そしてそれを使おうとしないというのも事実の一面としてはあるワケです。
この政策というのは、そういう人に対して、もっとお金を使おうというコトを促す効果を狙っているんですね。
簡単なお話として、おじいちゃんおばあちゃんは孫に甘いのであって、その孫のためならお金を使おうと意識が働くワケですよ。
そしてそういう意識を持っていかせるために、贈与税を低くしたりゼロにしたりするコトによって、より促進させようとしているのです。
これまでは税がかかるので100%お金を子や孫のために渡すコトができなかったけど、今の期間なら100%渡すコトができるので、ならいま渡してしまおうと、そういう意識の変化を狙ったモノですね。
本来経済のためだけを考えるなら使い道も限定しない方がいいのですが、そこは少子化対策とセットとするコトによって、お金の負担が軽くなるという面から「なら子供も考えよう」「もう一人頑張ってみようか」という意識の変化をも合わせて狙っているモノだと思われます。
この政策のメリットは、実質的にお金がかからないというところにあります。
引用したサイトのレスに、子供を産んだらお金をもらえるような制度を作れなんていうモノがありましたが、この場合、やはり大きな財政負担が発生します。
金持ち優遇とかいう批判も同じようなモノで、ではお金を持っていない人にお金をばらまくのかっていうお話にしかならず、そしてそれは民主党政権の時に大失敗した経験を日本国民は持っているハズです。
財源不足っていうのも民主党政権の時に散々批判されましたよね。
そういう中においてこの政策というのは、将来課税されるであろう税金をゼロにするという部分においてはマイナスがあるとは言えますが、しかしその資本自体は民間のお金であって、財源という意味においては全くかからず、民主党政権時代のバラマキと違いいますぐに実行に移すコトができる政策なのです。
ここの財源の部分はキチンと冷静に考える必要があるでしょう。
さらに言えば、最初の景気のお話で言いましたように、景気とはお金の流れが早い状態を好景気と言うのですから、将来いつになるか分からない税収よりも、いますぐにお金が使われるコトの方が、日本経済全体で考えればプラスになるんですね。
そして財政的にも、好景気になった方が全体としての税収は上がりますから、いつになるか分からない贈与・相続税を待つよりもプラスになるという考え方です。
これらを総合的に考えれば、今回のこの政策は、特にデメリットがあるとは思えない政策と言えるのではないでしょうか。
お金持ち優遇措置だと言う人は言うのでしょう。
でも財源を必要とせず景気を上向きにさせる方法は、結局は「お金を持っている人に“より”使わせる」というコトを考えなければならないのです。
ここを見ようともせず、ただただ金持ち批判するのであれば、あとはもう共産主義しか手立てはないのではないのでしょうか。
もはやそれは批判のための批判と言われても仕方ありません。
むしろそれ以外にどういう方法があるというのか、安倍総理も選挙前から言っていましたが、むしろこういう方法以外に手立てがあるのでしたら、具体的に指摘するべきでしょう。
ディスカッション
コメント一覧
S.Sさんへ
仰る通り確かに所得分配政策は非常に重要です
例えば岸ー池田ー佐藤時代の高度成長期に格差があまり出なかったのは所得分配が上手くいったからです
しかしそれはあくまでも経済全体のパイが拡大した時に効果がある政策です
それは民主党が景気対策と称して所得分配政策をばら撒いた結果経済効果が出なかった事で明らかです
今の経済はアベノミクスのおかげで回復基調ですが増税の影響で回復が遅れています
どっちも重要な政策ですが今より重視するべきは景気拡張政策によるデフレ脱却だと思います
あとこの政策は明らかに消費税増税延期とバーターの政策ですし仕方ない部分が有りますね
むしろそれ以外にどういう方法があるというのか、安倍総理も選挙前から言っていましたが、むしろこういう方法以外に手立てがあるのでしたら、具体的に指摘するべきでしょう。
→金を流して経済を上向かせる手法は、確かに自由主義経済においては基本ではあるでしょう。
しかし、恩恵を受ける人と受けない人で明確な差が表れるのも事実であります。それはアメリカの「99%の貧困層と1%の超富裕層」で示されています。或いは中国を見れば、社会主義を名乗ってはいますが、社会保障制度が全くありません。故に富裕層から低所得への「トリクルダウン」が全く通じていないのであります。よく豊かな中国人が、銀座や池袋に行って生活必需品(粉ミルクとか)を買う光景がニュースになりますが、それはある意味で、中国本土では基本的なものも生産できない証左でもあるでしょう。
故に、重視すべきは、きちんと低所得者に金を流す所得再分配ではないでしょうか。