政治家批判とは?

 やえも皆さんのコメントのレスで、一言「政治家批判」という言葉を使ってしまっているので、様々な意味で混同してしまい、誤解を生みやすくなってしまっていてちょっと失敗したかなと思っている部分もあるんですが、やえが言いたいのは「政治家に直接向けた主張なのか」それとも「政治家を評価し、それを国民に向けて主張するのか」では全く意味合いが違うワケなのです。
 
 政治における結果と過程、そして主張するってコトについては、2つの点において、2つの視点が必要なんだと思うんですね。
 まず「政治家に直接向ける主張なのか」それとも「政治家の行動への評価を国民に向ける主張なのか」という点。
 そして次に、そもそもとしてその主題に対しては政治家はどういう行動を行うのが正しいと主張者が判断するか、です。
 
 「男系を優先するために、最終的には法改正すべきだ」という結論が同じだったとしても、この2つと2つの点において、その主張方法は大きく変わります。
 この皇統問題で言えば、やえは「政治家に直接向ける主張なのか」についてはすべきではないと思っていますが、その前に、そもそもとしてこの件は本来は国民の側から動くべき問題であるという前提があります。
 特に「天皇皇族と政治家(権力者)との距離という非常にデリケートな問題」は、日本という常に天皇を戴いた上で悠久の歴史をはぐくんできた国家としては、本当によくよく考えなければならない問題です。
 その上で本来なら、国民の側からキチンと道筋を立てた上で、権力者にはただの実務者として動いて貰うっていうのが、この皇統問題で言えばベストでしょう。
 一方最も悪いのは、一部の国民の声だけに押されて動くような事態です。
 これだけは絶対に避けねばなりません。
 ですから、「政治家に直接向ける主張」はすべきではないと思っています。
 
 ところでやえはこれまで、政治家の評価、政党の評価という意味では、過去に色々と文章を上げてきました。
 例えば、民主党政権の時代は、今ではなかなか考えられない、記憶が薄れている人も多いかもしれませんけど、特に前期は民主党政権こそが正しくて批判する人間は悪だと単純なレッテルが貼られるぐらい、強い民主党への追い風がネット上でも吹いていましたが、やえは以前の主張通り、あの政党が行う政策の多くの部分について具体的に指摘をして間違った政策だと、かなり強く批判をしていました。
 でも間違って欲しくないのは、これらは全て「国民に向けた文章」なんですね。
 これって過去何度か説明しているんですよね、実は。
 つまり「政治家を直接批判して政治家の行動を変えてやろう」とした文章なのではなく、「政治家の間違った行動を国民に向けて説明するコトによって、国民の意識に訴えよう」という意味での文章なワケです。
 似てるように思うかもしれませんが、これ、全然違うワケです。
 
 お話を皇統問題に戻すと、何度も言ってますように、やえはいまの動きについて政府与党の動きが間違っているとは思っていません。
 もし間違っているとやえが判断するなら、「安倍政権はこんな風に曲がっているんですよ」と国民に向けて文章をアップしていたかもしれませんが、しかしこの件に関しては、安倍政権も与党も間違っているとは判断していません。
 となければ、「政治家の行動への評価を国民に向ける主張」においても、政治家を主題とする文章というモノは出てこないんですね。
 
 短絡的に考えれば、確かに「男系を優先するために、最終的には法改正すべきだ」という結論を得るためには「政治家が動けば良い」という方法を採るコトが簡単ではありますから、そのルートをとるのであれば政治家批判になるような主張になってしまうのかもしれません。
 本来は「政治家は政治家としてどう行動すべきか」という理由を考え、その評価を冷静に下さなければならないのですが、結論を早く得たいがためにその中身の評価が出来ず、短絡的に「行動しないから悪い」という結論を出してしまうのでしょう。
 しかしそれは、「政治家は政治家としてどう行動すべきか」がないままの政治家批判であり、結局のところは「政治家に直接向ける主張」になってしまっているんですね。
 「政治家が動けば最良の結論が得られて解決するんだ」と、理屈抜きの結果ありきの主張にしかなっていないからです。
 この理屈は大変に危険な理屈なんですよね。
 
 やえは皇統問題を今の段階で政治家が具体案を出すべきではないと思っています。
 1つは、未だ国民の理解が低いので、男系優先の具体案を政治家が提示しても、むしろ反発されてマイナスにしかならないだろうと予想しているから。
 もう1つは、天皇皇室と政治家(権力者)との距離のバランスの問題からです。
 
 逆に言えば、これらがクリアされれば、どんどん議論を前進させて法改正まで持って行くべきだと思っています。
 ですから、もっと国民が男系男子優先こそを最優先に考えるべきだと意識を持ち(やえは側室制度すら復活には賛成です。もちろんこれは理解されるかどうかの問題は度外視しています。やえの個人的な意見です)、その上で天皇と権力者の距離の問題をうまく整理できれば、後は法改正が必要なのですから政治家がリーダーシップをとるべきでしょう。
 こういう意味において、もしこの段階まで来たのにも関わらず政治家が動かなければ、それはその時に「キチンと動かない安倍総理はおかしい」と国民に向かってやえは主張するでしょう。
 そして残念ながら、あらゆる意味でいまの日本においては、足りていないモノばかりだと言わざるを得ないのが正直な現状だと思うのです。
 
 結論も主観でいいんですが、ただその結論を達成するために安易に「政治家が動けば達成される」→「政治家が動かないから達成できないんだ」→「この政治家は悪だ」と思考してしまうのは、ちょっと短絡的すぎるのではないのでしょうか。
 なぜ動かないのか、本来はどう動くべきなのか、他に理由や足りないモノがあるのではないのか。
 様々なモノを考えるべきなのです。
 「とにかく政治家が動いて法改正をすればそれで終わる」とは、結果だけ見ればその通りなのかもしれませんが、それは大変危険な考え方だと指摘するしかありません。
 
 以前よく使っていたフレーズなのですが、「政治家や国家は国民の安楽装置ではありません」。
 少なくともこの問題について言えば、現状、男系最優先論が未だ国民の中で受け入れられていない以上は、国民以外の言葉で表現される主体に責任を転嫁させるようなコトはできないのではないでしょうかと思っているのです。
 
 さて、何度もこのようなお話を繰り返してもアレですから、次回はまた皇統問題の中身について書いていきましょう。
 次回は「神武天皇家が続く意味」を説明してみようと思います。