自民圧勝 選挙結果を分析する

 安倍晋三元総理が凶弾に倒れるというあってはならない事件が起こりました。
 激しい怒りと悲しみを禁じ得ません。
 当サイトとしても、安倍総理はずっと応援してきただけに、本当に、本当に残念です。
 心より哀悼の誠を捧げます。
  

 おひさしぶりです。
 要所要所では更新をしようと思っていたのですが、いつの間にやら2年ぶり、総理大臣も岸田文雄さんに替わっていました。
 歴史的な総裁選についても述べられなかったのは残念でしたが、やえとしましては昔からずっと推していた岸田文雄さんが総理大臣になって、すごく嬉しく思っているところです。
 

 右も左もイッてよし!
 バーチャルネット思想アイドルのやえです。
 おはろーございます。
 

 さて、というワケで、昨日行われた参議院選挙の結果について総括してみようと思います。
 主な政党の獲得議席は次の通りです。

【自民】63
【公明】13
【立民】17
【維新】12
【国民】 5
詳細はこちら

【自民党】63

 言うまでもなく圧勝です。
 自民党が参議院改選議席で単独過半数を得たのは2013年以来とのことで、2013年の参院選とは、前年に自民党が与党に復帰したタイミングですから、正に自民党に最も勢いがあった時ですね。
 つまり今回の自民党の獲得議席は、安倍政権下で最も勢いがあった時並というコトで、これはなかなかにスゴいですね。
 
 安倍さんの事件です。
 事件については、やえもつらいところがありますので、事件そのものについてはここでは触れませんが、結果的に自民党が獲得した議席は63議席であり、これは事件前に各社で調査され予想されていた議席数とそうは変わらないというコトを鑑みれば、結果的には事件が大きく結果に影響を与えたとは言えないでしょう。
 やえとしましては、それはそれで色々と言いたい気持ちにはなってしまうのですが、しかし「暴力がどういう形にせよ結果に影響を与えてはならない」という民主主義の原則から考えれば、これは良かったコトだと、歯を食いしばって言うのが正しいのだと思っています。
 自民党にとって追い風になったコトは否定しませんが、影響そのものは小さかったと言うべきなのでしょう。
 
 ネット上では色々と言われる岸田総理ですが、NHKの調査では「政策を評価する」が7割以上と出ていたりしましたように、多くの国民が岸田総理を評価していたワケで、選挙によって改めて岸田内閣は信任されたというコトが言えるんだと思います。
 また年代別投票先も、自民党が全年代で3割以上を取ってトップ
 岸田総理の人柄通り、抜群の安定感を見せつけた格好になりました。
 
 繰り返しますが、選挙の結果、岸田総理は信任されたと、そう評価が下されました。
 結果は結果。どんな立場の人であっても、ここは正面から受け止めなければなりません。
 
 今後ですが、マスコミは煽るように「黄金の3年間」なんて言ってますが、基本的に衆議院は任期満了までやりませんし、自民党総裁選のコトを考えれば、岸田総理は再来年までに解散をするのではないかと予想されます。
 逆に言えば「やろうと思えばいつでも解散し選挙が出来る」というコトですから、岸田総理のイニシアティブがより強くなり、同時に政策もやりやすくなった環境が整ったと言えるでしょう。
 来年にはG7サミットが広島で開催されるなどありますので、ぜひ引き続き頑張って貰いたいと思います。
 
 

【公明党】13

 注目すべきは比例の「6」という数字です。
 3年前の参院選では「7」。
 6年前も「7」。
 9年前の自民政権復帰直後の2013年の時ですら「7」ですから、他の党ならいざ知らず、選挙の度に選挙区の立候補者数=当選者数をやってしまう“完璧な計算が出来る”公明党にしては、今回の6はかなり想定外だったのではないでしょうか。
 
 さらに得票数で言っても今回は約618万票。
 3年前の得票数は653万ですから、結構落としています。
 議席数で言えば自民党も1減らしていますが、しかし自民党の得票数自体は「1771万から1825万」とむしろ増やしているコトを考えれば、公明党の落ちぶりは顕著だと考えるべきでしょう。
 
 なぜ公明党は票数を減らしていっているのでしょうか。
 よく公明票イコールは学会員票と思われがちですが、実際公明党が出す票数というのは、純粋な創価学会員票ではありません。
 実態は、いわゆる「フレンド票」と言われる、学会員の強力で膨大な選挙運動量によって掘り起こされる非学会員票がありまして、学会票に「フレンド票」がプラスされて出てくるのが、公明党の得票数です。
 よって、学会票は減るとは思えない(学会員自体が減ってる可能性もありますが)ので、おそらく減っているのはこの「フレンド票」だと思われます。
 
 ではなぜ「フレンド票」が減るのかと言えば、それはフレンド票と自民党票は潜在的な投票者層がカブるからであり、そして公明党からの自民党に対する要求が年々キツくなっているからです。
 潜在的立憲民主党票や維新票が、学会員の運動によって公明党票に変わる、とはあまり思えませんよね。
 となければ、やはり同じ与党の自民党に親和性が高い層から票を取ってくるコトになりますが、しかし公明党の焦りからか、選挙における公明党の要求が年々大きくなっていると言います。
 そして自民党の現場レベルで反発が起きてしまい、結果的に協力が上手くいかず、フレンド票がこれまで通り獲得できなくなってきている、というのが実情ではないかと思われるワケです。
 
 またこの動きに合わせてかどうか、岸田総理は公明党と距離を置いています。
 選挙前、相互推薦を巡ってバタついたのは、まだ記憶に新しいと思います。
 安倍菅政権時代は公明党の焦りを全て受け入れていた自民党ですが、岸田政権になってからはむしろ突き放す姿勢を見せており、もしかしたら今回の比例6という結果は、それも1つの要因になった可能性はあります。
 
 今後公明党はこの結果をどう受け止めて分析するか、次の党大会では党首が替わると言われていますが、自民党との協力の在り方を含めて、今後の政治の大きな注目ポイントになると思います。
 
 

【立憲民主党】17

 改選前議席が23。
 6議席も落としての敗北。
 一方比例は、3年前の8から7という1減なので、なんとか踏みとどまったという表現もできなくもないかもしれません。
 
 敗因としては、象徴的な選挙区での敗北でしょう。
 例えば、あの森ゆうこさんの新潟県、小沢王国の岩手県、また途中で立憲党本部が候補者の1人を切り捨てるという事件のあった神奈川県など、国民から「もういいよ」と思わせるところがことごとく負けました。
 比例にしても、白眞勲氏、有田芳生氏が落選。
 辻元氏は復帰したものの、立憲民主党の今回の象徴はここのあるのだと思います。
 
 よって立て直すなら「もういいよ」感をどうするかでしょう。
 やえは就任直後は泉代表に期待していた部分もありました。
 提案型を標榜し、今までの民主党とは違うと宣言していたからです。
 
 しかし選挙前の焦りでしょうか、それとも下からの突き上げでしょうか、泉代表は国会終盤から突如「いつもの民主党」に先祖返りしました。
 
 「岸田インフレ」などの中身を伴わないレッテルによる罵詈雑言。
 他の野党すら乗らず孤独に提出して粛々と否決された内閣不信任案。
 選挙中も「岸田さんは粉もんの敵だ」と意味不明の供述を繰り返すなど、就任時とは別人かのように目を血ばらせていました。
 
 維新や国民民主のところでも述べますが、しかしいま国民は、他人への攻撃に辟易しているのだと思われます。
 特に若い人に顕著です。
 それにマッチした岸田総理の人柄がいま高支持率に繋がっているのであって、立憲民主党はそれを冷静に分析できず、選挙前に“先祖返り”してしまったのが最大の敗因なのではないでしょうか。
 
 すでに「泉下ろし」も聞こえてくる立憲民主党ですが、党首を代えてもマインドが今まで通りなら、何度選挙をやっても変わらないと思います。
 もしくは自民党が失点するのを待ち続けるか、ですね。
 どちらにせよ、あまり建設的ではありません。
 
 

【日本維新の会】12

 改選議席が6だったので、ちょうど倍増。
 文字面だけなら大勝なのかもしれませんが、辞任を表明した松井代表自身が言っていたように、実質は負け…とまでは言えないとは思うのですが、やはり、勝利とは言えないでしょう。
 
 比例は立憲より多い8ですので、当初の最小目的は達したと言えるのかもしれません。
 しかし、本当は選挙区も合わせた数で立憲を上回りたかったハズで、結果としては「立憲17・維新12」、遠く及ばなかったというのが実情です。
 
 なぜ伸びなかったのでしょうか。
 結局、維新の支持が阪神地域から外に出ない、というのが一番の理由でしょう。
 問題なのは「阪神」止まり、というところです。
 
 象徴的なのが京都選挙区です。
 1位が自民で、2位が立民の福山哲郎氏で、維新は当選するコトはできませんでした。
 ここから見えてくるのは、「あまり大阪が好きではない京都という土地柄が、維新の雰囲気とマッチせず、支持が拡がらない」という分析です。
 維新としては大阪を拠点に支持を全国に拡げる戦略で、事実、関西圏以外でも積極的に立候補者を出したワケですが、残念ながら阪神以外で当選者は(候補者が元知事の神奈川以外は)出ませんでした。
 まして同じ関西圏での京都でも敗北を喫するとなった以上、これは「阪神圏でしかウケない体質が維新の敗北の原因」と考えざるを得ないのではないかと思っています。
 
 その他は共産やれいわすら当選する東京選挙区で敗北。
 名古屋市長と連携した愛知でも敗北。
 関西圏である奈良においても事件とは無関係だと言うしかないぐらいのかなりの大差が付いて敗北しています。
 
 つまり大阪と兵庫という、文字通り阪神圏でしか勝てないというのが如実に表れたのが今回の維新であり、限界が見えた選挙でした。
 これは昨年の衆院選でも明らかで、小選挙区で維新が勝っているのは大阪と兵庫しかありません。
 厳しい言い方をすれば、維新はまだまだ沖縄の「オール沖縄」みたいな地域政党の域を出ない、たまたま阪神圏が人口が多く議席数が多いだけ、という程度でしかないという評価になります。
 
 なぜ支持が拡がらないのでしょうか。
 もしかしたらそれは、関西圏で人気が高いコトとの裏返しかもしれません。
 というのも、大阪=維新の原動力に「対東京」というのが、どうしても根底にあるような気がしてならず、つまり全ての原動力が「東京に負けない」という部分にあるように見えてしまうからです。
 都構想とかですね。
 これは「○○がしたいから政治をする」ではなく、「東京に勝ちたいから政治をやっている」という薄っぺらい動機にしか見えなくなってしまうワケで、さらにそれは「敵を作って叩く」「敵に立ち向かう維新」というストーリーに繋がっており、しかしそれが阪神以外の人に見透かされているのではないかと思うのです。
 これでは阪神圏以外に支持が拡がりません。
 
 異論はあると思います。
 ですがやえは、阪神の人間ではないので、やえとしたらこういう風に感じるというのも事実なのです。
 「東京というラスボスを倒すために冒険の旅をしている」という風に見える維新に、阪神の出ではないやえには全く魅力を感じないんですね。
 あくまでやえの維新に対する敗因を分析して推察した結果ですので、違うというのでしたらそれでいいですが、やえの分析はこうだというコトで、記しておきたいと思います。
 
 とは言え、3年前に比べたら比例得票数はかなり増えています。
 これを維新自身はどう見るかによって、今後の維新の行く末が決まっていくコトでしょう。
 
 

【国民民主党】5

 7議席から2つ落とす結果になりました。
 やえは比例は伸びるのかなと思っていたのですが、3年前から変わらずの3議席です。
 得票数も、3年前348万→今回315万と、全体の投票率が上がったのにも関わらずの得票減で、国民民主党もずいぶん厳しい結果になったと言わざるを得ません。
 
 国民民主党の敗因は、正直よく分かりません。
 というか、ここなんだと思います。
 国民民主党は政策がシッカリしているというイメージはありますが、しかし「だったら自民党でいいじゃん」になります。
 自民党の方が経験も組織もシステムもシッカリしていますからね。
 だから政党としての輪郭がハッキリしない国民民主に対して、明確な投票動機が持てなかったというのが、一番の敗因なのではないでしょうか。
 
 なかなか自民党との違いを出すというのは難しい課題です。
 批判に終始すると立憲になり、攻撃的になると維新になり、慣例を破りまくるとれいわになる。
 特に岸田総理の自民党だと、政策のウイングがもの凄く広く、ますます違いを出すコトが難しくなります。
 
 玉木代表もそのコトは痛いぐらい分かっているでしょう。
 ですから今はわりと我慢のしどころかと思います。
 玉木代表、「この政策は先に国民が主張していた」というひけらかしが過ぎるイメージがあって、いわゆる「鼻につく」きらいがありますから、その辺を抑えればもっと良くなるんじゃないかなぁというところです。
 (給付金10万円騒動の時も、実際は最初に名言したワケではないのに、いつの間にか自分が一番最初に主張したと既成事実化しようとしています。特に相手が、自己主張しない岸田総理なので尚更なところがまた)
 
 国民民主党としては、今回の選挙で党勢がそこまで落ちなかったというのが一番のポイントでしょう。
 あと1年か2年は選挙がありませんから、これ以上党勢が落ちるコトはなく、よってその間に国民民主党という政党の性格をいかに国民に伝えるかが、今後の勝敗の分かれ目になるかと思います。
 もしかしたら岸田総理の間は厳しいかもしれませんが、どこまで我慢できるか、国民民主党の勝負になるでしょう。
 

 他にも議席獲得政党はありますが、特にコメントするコトもないので割愛させてください。
 例えば共産党やれいわみたいな政党には、何がどうなっても一定数支持する人はいるので、「そんなもんでしょう」というのが感想です。
 
 以上となります。
 また要所要所で更新したいと思っていますので、ぜひこれからも応援よろしくお願いします。
 

 バーチャルネット思想アイドルやえは、民主主義を応援しています。