民間と同じにしろと言う口で、民間並を認めない矛盾

2012年4月15日

 この時期になると毎回この話題を取り上げている気もするのですが、でもちょっとさすがにこれはないと思いましたので取り上げたいと思います。
 というのもですね、あるテレビ番組で政治資金のお話をしていたのですが、その前のコーナーで公務員宿舎のお話をしていて、そこでは「民間では、民間では」と言っていたくせに、次に政治資金の話になると「民間ではともかく政治資金なんだから」と、つい数分前の自分の発言を忘れたかのようなコトを言っていたのを見てしまい、本当にこの人達は無責任ですねぇと改めて感じたのです。
 このニュースです。
 

 政治資金を高級クラブに…農水副大臣が会見で釈明
 
 岩本農林水産副大臣の資金管理団体が、高級クラブやキャバクラでの飲食代を政治資金で支払っていたことが分かりました。岩本氏側は問題を認め、自ら支払うとしています。
 岩本農水副大臣:「女性と遊ぶのが目的として行ってたら、当然、そういうのは自分で払っているでしょうし、支援者と行くというところで、後援会活動費として私は認識していた」
 先月30日に公表された2010年の政治資金収支報告書によりますと、岩本副大臣の資金管理団体「岩本つかさ後援会」は、高級クラブやキャバクラなどの飲食費30件以上、少なくとも70万円以上を政治活動費として計上していました。岩本氏の事務所は問題になった交際費について、資金管理団体に寄付する形で返金するとしています。

 
 この人の場合の接待交際費としての使い方がどうなのかはともかくですね、テレビではとにかく「キャバクラ、キャバクラ」と、とにかくキャバクラが悪の権化だと、そんなモノに関わるのは全て悪だと、そんな風に言わんばかりの物言いでした。
 しかも、さも税金が使われたかのような言い方をしてです。
 この「政治資金」のお話がマスコミに取り上げられる時、いつも、さも「政治資金=税金」と言うニュアンスで伝えるワケですが、厳密には違いまして、例えば献金ですとか政治資金パーティーですとか、そういうモノで得たお金も「政治資金」という枠内に入るのです。
 まぁ税制の面で扱いが違いますから一般企業の利益とは同列には比較できませんし、政党交付金など一部税金からの原資のモノもありますが、しかし政治資金と言うと全てが全て法律によって強制的にお金を集めるという趣旨である税金ではないというコトも確かです。
 たまに「自分が払ったお金でキャバクラに行ったのか」なんて言う人が、これが結構多いワケですが、それは完全な誤認だというコトは知っておいてほしいと思います。
 
 多分これだけでもこのニュースに対する印象ってかなり変わってくると思うのですが、そもそものお話として、一般の民間の世界でも、仕事関係でキャバクラに行ったりしますよね。
 やえ、耳年寄りとは言われますが、いまどきのご時世、キャバクラって言葉だけで大騒ぎするようなモノじゃないですよ。
 その上でよく考えて貰いたいのですが、こういうお付き合いとか接待とかは、人間が人間の感情や知恵として人間関係を円滑にするために生み出した文化と言えるでしょう。
 居酒屋でもキャバクラでも高級料亭でも、そこでお酒とか料理とかを食べるのが目的なのではなく、人間関係を作り、さらに発展させるのが目的なのです。
 ですから、その中で女性がその潤滑油になるなら、それはそれでいいじゃないですかと。
 別に働いている女の人は奴隷として強制労働させているワケではないのですから、女が潤滑油として機能するコトすら否定するのは、それはむしろ女性蔑視ですよ。
 そしてなにより、だからこそ接待の場で民間でもひろくキャバクラは使われているワケで、これは「人としての当然の感情」と呼べるモノだというコトです。
 この日本の中で、接待が行われていない日なんて存在しないでしょう。
 
 ここに、民間とか霞が関とか永田町とか関係ないワケです。
 仮に政治家が人間でない何かであれば分けて考える必要もあるのかもしれませんが、そうではありません。
 立場がどうであれ肩書きがどうであれ、人が人として関係を作り発展させる場が接待の場であるのですから、社会として接待という行為が必要だと認められているのであれば、それは認めるべきです。
 そして民間でも「接待費」であれば経費として認められるワケで、その部分を見れば、個人の飲食代ではない部分の税制的な扱いの違いもやっぱりあるワケですから、接待は接待としてどんな立場であっても認めるモノは認めるべきでしょう。
 
 何が接待で、何が賄賂なのかの線引きは必要ですが、接待という枠組みであれば、そこに民間も政治も関係ありません。
 そもそも最初に言いましたように、公務員宿舎の件でしきりに「民間並み民間並み」と言っている口でこう言われると、さすがテレビはレベルが低くてムカッとしちゃいます。
 公務員宿舎だって、福利厚生を厚くして有能な人材を集めるためであれば、民間よりいい待遇を整えるのは悪いコトじゃないですよ。
 もちろんそんな待遇で労働組合が主張するような全然仕事をしないような内容であれば、それはその仕事ぶりを批判すればいいコトであって、宿舎とか官舎を無くしてしまえというのは「坊主憎けりゃ袈裟まで」理論にしかなっていません。
 接待交際費にしても宿舎にしても、ちょっと批判する矛先を間違えているのではないでしょうか。
 
 公務員や政治家であれば、何を言っても何を押しつけてもいいというワケではありません。
 こういう基準が適当な、言ってみれば「嫉妬」でしかないモノなんかで政治を語ろうとするから、どんどん政治が陳腐化して悪くなってしまうのです。