現実的に原発問題を考えよう 2

2012年4月15日

 もうちょっと昨日の続きを書いておこうと思います。
 
 まず最初にひとこと言っておきます。
 放射能に関しては、これはコメント欄にも書きましたように、震災直後からずーっとやえは書き続けています。
 ブログに移行する前のサイトなので、ブログの過去ログにはありませんが、リアルタイムでその時その時の状況を鑑みながら、やえ自身もいろいろと調べて勉強しながら、様々なコトを書いています。
 いただいたコメントの中にはそれらの更新の中にすでに書いてあるモノに対する疑問や質問も多々ありますので、ぜひまずはそちらを読んでみてください。
 例えばベクレルとシーベルトの計算式を調べて計算したり、世界一自然放射線の強い地域やラドン温泉などを比較してみたりですね、日々の放射線量は地方自治体が管理するガイガーカウンターを見て比較するとかですね、そういうコトを書いてますから、まずはそちらを読んでみてください。
 ちょっとタグ関係でリンクが難しくなっちゃってますが、過去ログの一覧はこちら震災からの更新はこちらです。
 よろしくお願いします。
 
 さて。
 まずですが、今回の一連の更新ではやえは「結局原発は安全だからどんどん作ろう」なんてコトは言っていません。
 もしそう捉えている人がいるのであれば、申し訳ないのですがもう一度最初から読んでいただきたいのですけど、今回の件はあくまで議論するための論拠や根拠を積み上げましょうというコトを言っているのであって、やえは結論的なモノは一切言っていません。
 いつも言ってますよね。
 論拠です。
 根拠です。
 なにを結論づけるにしても、これがなければ絶対に結論なんて得られないのです。
 
 例えば昨日も紹介しましたいただいたコメントに「汚染地域が数百年単位で居住不能になったらメリットの全てを吹っ飛ばして余りあるんじゃないかという論は十分に成立しうると思われます」というモノがありますが、この一文だけでは確かに論としては成立していますよ。
 それは否定しません。
 ただその前提となっている「汚染地域が数百年単位で居住不能になったら」という部分について、この論拠はなんですかと、根拠はどこにあるのですかと、そういうコトなんですよ。
 数百年単位で住居不能になるような状況が起こりえるのか、どれぐらいの可能性でそうなるのか、セキュリティは働いていないのか、科学的に放射性物質がどれだけ堆積したら、放射線が何シーベルト常時出続けると住居不能になるのか、それが拡散するのはどれだけの時間が必要なのか、こういうコトをですね、「汚染地域が数百年単位で居住不能になったら」という一言とっても積み重ねていかなければならないんですよ。
 そしてその上で積み重ねた結果、リスクがリターンを大きく上回るっていうデータが出るのであれば、原発はやめようという結論になるワケです。
 ですからやえは、「メリットの全てを吹っ飛ばして余りあるんじゃないかという論は十分に成立しうる」という部分については一切否定をしていません。
 成立しうると思います。
 ただいまは、それが本当に成立するかどうかの正しい議論が出来ていない、論拠も根拠も正しい冷静な科学的な論理的なモノが出されていないと、放射能こわいよーわーにしかなっていないんじゃないですかと、北斗の拳のイメージにしかなっていないんじゃないですかと、そう言いたいのです。
 
 「・・・起こるからにはそれを考えるのは当然。最悪のことを想定しないと意味無いの。」というコメントを頂きました。
 よく見る意見ですよね、「最悪のコトを想定する」っていうの。
 でもこれ、正直ごまかし、まやかしの言葉にしかなっていないと言わざるを得ません。
 
 最悪のコトを想定しましょう。
 北朝鮮がいつ日本の核兵器を撃ってくるか分かりません。
 そしてミサイル防衛システムは、いまのところ100%の精度には達していません。
 最悪のコトを考えたら、明日にでも東京が火の海になるコトでしょう。
 どうしましょうか。
 地下核シェルターを作って一生涯そこに籠もっていましょうか。
 それとも日本脱出しましょうか。
 でも日本脱出しても、日本より安全なところはありません。
 アメリカだっていつテロルの標的にされるか分かりません。
 欧州も同様です。
 そもそもそれらの国々は核兵器を持っていますから、原発も当然ありますね、最悪のコトを考えればいつそれが暴発するか分かりませんから、やっぱりそこでは住めません。
 じゃあ核兵器を撃ち込まれる戦略的メリットが低い途上国に住みましょうか。
 多分アフリカとかその辺なら大丈夫でしょう。
 でも、とてもじゃないですけど安全安心に暮らせるとは、少なくとも日本よりは治安は格段に悪いワケで、最悪のコトを想定したら、引っ越した次の日には身ぐるみはがされて川に浮いているかもしれません。
 困りましたね。
 最悪のコトを想定したら、どうやって生きていけばいいのか分からなくなってしまいました。
 
 これ、皮肉でも何でもありません。
 「最悪のコトを想定したら」っていうのは、結局論拠や根拠を考えない、リスクヘッジを完全に無視する考え方でしかないのです。
 もし「最悪のコトを想定する」が全ての論拠の上位に位置するのであれば、じゃあなぜ車社会を肯定するかのやえには全く理解が出来ません。
 最悪死ぬんですよ?
 なぜ自動車に乗るんですか?
 死ぬのはデメリットではないのですか?
 自動車に自分が乗らなくても、いつトラックが自分に突っ込んでくるか分かりませんよ。
 自動車に乗らないのであれば、バスや電車や飛行機に乗ると思うのですが、それだって死にますよ?
 そう考えれば、自分が自動車に乗らないだけでなく、自動車というモノ自体を禁止させるよう活動ぐらいしたくなりますよね。
 結局「最悪のコトを想定」ってこういうコトなんですよ。
 
 人間はそんな0か1かの選択肢の中で生きているワケではありません。
 ここは現実問題としてキチンと認識すべきコトです。
 どんなリスクだってそれをある程度状況を判断して鑑みて確率計算して、その上で採用するかどうかを、多少のリスクがあっても決定しているのです。
 この考え方に原発だって当然含まれます。
 放射能の問題はあります。
 当然です。
 これは大きなデメリットでありリスクです。
 やえは放射の方がリスクでないなんて一言も言ってません。
 そうではなくて、そのリスクがどれくらいの大きさなのか、その論拠や根拠を積み重ねるべきだと言っているのです。
 さっきも言いましたように、その結果としてデメリットがメリットを上回るのであれば原発をやめようとなるのも当然だと思います。
 大切なのは論拠です、根拠です、ここを欠いてはいけません。
 残念ながら「最悪のコトを想定」は論拠には成り得ないのです。
 
 最後にもう1つです。
 
 

 ttp://union-milme.cocolog-nifty.com/photos/uncategorized/2011/03/27/sonderbericht__bild4templateidpos_2.png
 画像自体はドイツ気象庁のモノなのでそれなりに信頼性のあるソースかと思われます。震災から大体二週間半程経った時点のデータだそうです
 …えっと、福島原発の事故が「あの程度」で済んだのは偏西風の風下に海しかなかったためですからね?
 この地図を見れば浜松の辺りで福島と同等の原発事故が起きたらどんな事態になるか大体想像がつくと思われるのですが。
 それともう一つ、一種のジョークとして。
 政府、と言うか民主党が嘘付いたり何かやらかしたりしたら鬼の首を取ったかのように騒ぎ立てる貴女が、原発問題に関しては政府のデータをそれなりに信用しているのは何故なのでしょう?
 本来のデータを公表したらヤバイ事になるだろうから隠しとけ、位のことはやりそうだと思うのですが、あの連中は。
 …ま、疑わしきは罰せずってやつなんでしょうけど

 
 まず画像の方ですが、ごめんなさい、やえはドイツ語が分かりませんので、この表というか色分けがどのような意味を持つのか教えていただければと思います。
 たぶんこれ、放射性物質の拡散状況の図なんだと思うのですが、これだけ見せられても、これは果たしてその一瞬だけの拡散状況なのか、それとも1日なのか、それともこの日までの累積なのか、この辺が全然分かりませんし、なによりこの色がどれぐらいの量を示しているのかが分かりません。
 仮にですよ、一番薄い黄色の部分だけで50年は人が住めないような量ですって言われると、それはもうとんでもないコトですよ。
 それはそうでしょう。
 でも多分違いますよね。
 この手の図っていうのは色々なところで出されていて話題になりますが、何が書かれているのかっていうコトを正確に読み取らないと、むしろデマを広めてしまう結果にしかなりません。
 絵だけのイメージで語っていい問題では決してありません。
 多分絵だけで示そうと思ったら、中国の黄砂に含まれる放射性物質の拡散具合なんて、とんでもないコトになりますよ。
 絵は絵です。
 そうではなく、それをデータとして読み取るのであれば、単位や意味などキチンと理解して示さないと意味がないというコトは指摘しておきたいと思います。
 
 あとこのお話しは、震災直後にずーっと書き続けていた放射能関係の更新でも同じように触れています。
 確か、ある図を示しながら、この図の読み方はこうですよって書いた記憶があります。
 それは日本語の図でしたからね。
 併せて読んでいただければと思います。
 
 あと民主党政府のデータについてですが、正直ここは信じなければ始まらないというのがまず1つあります。
 ただ、それだけではありません。
 最初にも言いましたが、それだけではないデータも結構世の中にはありますから、それらを同時に見ながら、比較しながら判断しています。
 例えば地方自治体が管理しているガイガーカウンターです。
 地方自体は国に完全に支配下に置かれるコトはありません。
 石原東京都知事が国が何と言おうとも水について独自に調査して乳幼児がいる家庭にはミネラルウォーターを配布するっていうコトもしていましたように、地方は地方で国の言いなりにはなりません。
 そういう独立している地方が管理するガイガーカウンターを見ながら判断等をしているワケです。
 
 この辺も当時いろいろと書いてますので読んでいただければと思いますが、こうやって様々なソースを当たるっていうのもリスクヘッジですよね。
 いろいろとあたってみてください。
 色んなデータ、そして色んな意見があって、それらを積み上げて、自分の中で消化し昇華してみてください。
 「民主党が嘘付いたり何かやらかしたりしたら鬼の首を取ったかのように騒ぎ立てる貴女が」とは言いますが、それは全て論拠があってのコトですからね。
 この問題にしても、原発をどうするのかという問題にしても、やっぱり一番大切なのは論拠・根拠なのです。
 ここを積み重ねていかなければならない、そうしなければ結論は得られないというコトをシッカリと認識しておかなければならないのです。