現実的に原発問題を考えよう 2
もうちょっと昨日の続きを書いておこうと思います。
まず最初にひとこと言っておきます。
放射能に関しては、これはコメント欄にも書きましたように、震災直後からずーっとやえは書き続けています。
ブログに移行する前のサイトなので、ブログの過去ログにはありませんが、リアルタイムでその時その時の状況を鑑みながら、やえ自身もいろいろと調べて勉強しながら、様々なコトを書いています。
いただいたコメントの中にはそれらの更新の中にすでに書いてあるモノに対する疑問や質問も多々ありますので、ぜひまずはそちらを読んでみてください。
例えばベクレルとシーベルトの計算式を調べて計算したり、世界一自然放射線の強い地域やラドン温泉などを比較してみたりですね、日々の放射線量は地方自治体が管理するガイガーカウンターを見て比較するとかですね、そういうコトを書いてますから、まずはそちらを読んでみてください。
ちょっとタグ関係でリンクが難しくなっちゃってますが、過去ログの一覧はこちら、震災からの更新はこちらです。
よろしくお願いします。
さて。
まずですが、今回の一連の更新ではやえは「結局原発は安全だからどんどん作ろう」なんてコトは言っていません。
もしそう捉えている人がいるのであれば、申し訳ないのですがもう一度最初から読んでいただきたいのですけど、今回の件はあくまで議論するための論拠や根拠を積み上げましょうというコトを言っているのであって、やえは結論的なモノは一切言っていません。
いつも言ってますよね。
論拠です。
根拠です。
なにを結論づけるにしても、これがなければ絶対に結論なんて得られないのです。
例えば昨日も紹介しましたいただいたコメントに「汚染地域が数百年単位で居住不能になったらメリットの全てを吹っ飛ばして余りあるんじゃないかという論は十分に成立しうると思われます」というモノがありますが、この一文だけでは確かに論としては成立していますよ。
それは否定しません。
ただその前提となっている「汚染地域が数百年単位で居住不能になったら」という部分について、この論拠はなんですかと、根拠はどこにあるのですかと、そういうコトなんですよ。
数百年単位で住居不能になるような状況が起こりえるのか、どれぐらいの可能性でそうなるのか、セキュリティは働いていないのか、科学的に放射性物質がどれだけ堆積したら、放射線が何シーベルト常時出続けると住居不能になるのか、それが拡散するのはどれだけの時間が必要なのか、こういうコトをですね、「汚染地域が数百年単位で居住不能になったら」という一言とっても積み重ねていかなければならないんですよ。
そしてその上で積み重ねた結果、リスクがリターンを大きく上回るっていうデータが出るのであれば、原発はやめようという結論になるワケです。
ですからやえは、「メリットの全てを吹っ飛ばして余りあるんじゃないかという論は十分に成立しうる」という部分については一切否定をしていません。
成立しうると思います。
ただいまは、それが本当に成立するかどうかの正しい議論が出来ていない、論拠も根拠も正しい冷静な科学的な論理的なモノが出されていないと、放射能こわいよーわーにしかなっていないんじゃないですかと、北斗の拳のイメージにしかなっていないんじゃないですかと、そう言いたいのです。
「・・・起こるからにはそれを考えるのは当然。最悪のことを想定しないと意味無いの。」というコメントを頂きました。
よく見る意見ですよね、「最悪のコトを想定する」っていうの。
でもこれ、正直ごまかし、まやかしの言葉にしかなっていないと言わざるを得ません。
最悪のコトを想定しましょう。
北朝鮮がいつ日本の核兵器を撃ってくるか分かりません。
そしてミサイル防衛システムは、いまのところ100%の精度には達していません。
最悪のコトを考えたら、明日にでも東京が火の海になるコトでしょう。
どうしましょうか。
地下核シェルターを作って一生涯そこに籠もっていましょうか。
それとも日本脱出しましょうか。
でも日本脱出しても、日本より安全なところはありません。
アメリカだっていつテロルの標的にされるか分かりません。
欧州も同様です。
そもそもそれらの国々は核兵器を持っていますから、原発も当然ありますね、最悪のコトを考えればいつそれが暴発するか分かりませんから、やっぱりそこでは住めません。
じゃあ核兵器を撃ち込まれる戦略的メリットが低い途上国に住みましょうか。
多分アフリカとかその辺なら大丈夫でしょう。
でも、とてもじゃないですけど安全安心に暮らせるとは、少なくとも日本よりは治安は格段に悪いワケで、最悪のコトを想定したら、引っ越した次の日には身ぐるみはがされて川に浮いているかもしれません。
困りましたね。
最悪のコトを想定したら、どうやって生きていけばいいのか分からなくなってしまいました。
これ、皮肉でも何でもありません。
「最悪のコトを想定したら」っていうのは、結局論拠や根拠を考えない、リスクヘッジを完全に無視する考え方でしかないのです。
もし「最悪のコトを想定する」が全ての論拠の上位に位置するのであれば、じゃあなぜ車社会を肯定するかのやえには全く理解が出来ません。
最悪死ぬんですよ?
なぜ自動車に乗るんですか?
死ぬのはデメリットではないのですか?
自動車に自分が乗らなくても、いつトラックが自分に突っ込んでくるか分かりませんよ。
自動車に乗らないのであれば、バスや電車や飛行機に乗ると思うのですが、それだって死にますよ?
そう考えれば、自分が自動車に乗らないだけでなく、自動車というモノ自体を禁止させるよう活動ぐらいしたくなりますよね。
結局「最悪のコトを想定」ってこういうコトなんですよ。
人間はそんな0か1かの選択肢の中で生きているワケではありません。
ここは現実問題としてキチンと認識すべきコトです。
どんなリスクだってそれをある程度状況を判断して鑑みて確率計算して、その上で採用するかどうかを、多少のリスクがあっても決定しているのです。
この考え方に原発だって当然含まれます。
放射能の問題はあります。
当然です。
これは大きなデメリットでありリスクです。
やえは放射の方がリスクでないなんて一言も言ってません。
そうではなくて、そのリスクがどれくらいの大きさなのか、その論拠や根拠を積み重ねるべきだと言っているのです。
さっきも言いましたように、その結果としてデメリットがメリットを上回るのであれば原発をやめようとなるのも当然だと思います。
大切なのは論拠です、根拠です、ここを欠いてはいけません。
残念ながら「最悪のコトを想定」は論拠には成り得ないのです。
最後にもう1つです。
ttp://union-milme.cocolog-nifty.com/photos/uncategorized/2011/03/27/sonderbericht__bild4templateidpos_2.png
画像自体はドイツ気象庁のモノなのでそれなりに信頼性のあるソースかと思われます。震災から大体二週間半程経った時点のデータだそうです
…えっと、福島原発の事故が「あの程度」で済んだのは偏西風の風下に海しかなかったためですからね?
この地図を見れば浜松の辺りで福島と同等の原発事故が起きたらどんな事態になるか大体想像がつくと思われるのですが。
それともう一つ、一種のジョークとして。
政府、と言うか民主党が嘘付いたり何かやらかしたりしたら鬼の首を取ったかのように騒ぎ立てる貴女が、原発問題に関しては政府のデータをそれなりに信用しているのは何故なのでしょう?
本来のデータを公表したらヤバイ事になるだろうから隠しとけ、位のことはやりそうだと思うのですが、あの連中は。
…ま、疑わしきは罰せずってやつなんでしょうけど
まず画像の方ですが、ごめんなさい、やえはドイツ語が分かりませんので、この表というか色分けがどのような意味を持つのか教えていただければと思います。
たぶんこれ、放射性物質の拡散状況の図なんだと思うのですが、これだけ見せられても、これは果たしてその一瞬だけの拡散状況なのか、それとも1日なのか、それともこの日までの累積なのか、この辺が全然分かりませんし、なによりこの色がどれぐらいの量を示しているのかが分かりません。
仮にですよ、一番薄い黄色の部分だけで50年は人が住めないような量ですって言われると、それはもうとんでもないコトですよ。
それはそうでしょう。
でも多分違いますよね。
この手の図っていうのは色々なところで出されていて話題になりますが、何が書かれているのかっていうコトを正確に読み取らないと、むしろデマを広めてしまう結果にしかなりません。
絵だけのイメージで語っていい問題では決してありません。
多分絵だけで示そうと思ったら、中国の黄砂に含まれる放射性物質の拡散具合なんて、とんでもないコトになりますよ。
絵は絵です。
そうではなく、それをデータとして読み取るのであれば、単位や意味などキチンと理解して示さないと意味がないというコトは指摘しておきたいと思います。
あとこのお話しは、震災直後にずーっと書き続けていた放射能関係の更新でも同じように触れています。
確か、ある図を示しながら、この図の読み方はこうですよって書いた記憶があります。
それは日本語の図でしたからね。
併せて読んでいただければと思います。
あと民主党政府のデータについてですが、正直ここは信じなければ始まらないというのがまず1つあります。
ただ、それだけではありません。
最初にも言いましたが、それだけではないデータも結構世の中にはありますから、それらを同時に見ながら、比較しながら判断しています。
例えば地方自治体が管理しているガイガーカウンターです。
地方自体は国に完全に支配下に置かれるコトはありません。
石原東京都知事が国が何と言おうとも水について独自に調査して乳幼児がいる家庭にはミネラルウォーターを配布するっていうコトもしていましたように、地方は地方で国の言いなりにはなりません。
そういう独立している地方が管理するガイガーカウンターを見ながら判断等をしているワケです。
この辺も当時いろいろと書いてますので読んでいただければと思いますが、こうやって様々なソースを当たるっていうのもリスクヘッジですよね。
いろいろとあたってみてください。
色んなデータ、そして色んな意見があって、それらを積み上げて、自分の中で消化し昇華してみてください。
「民主党が嘘付いたり何かやらかしたりしたら鬼の首を取ったかのように騒ぎ立てる貴女が」とは言いますが、それは全て論拠があってのコトですからね。
この問題にしても、原発をどうするのかという問題にしても、やっぱり一番大切なのは論拠・根拠なのです。
ここを積み重ねていかなければならない、そうしなければ結論は得られないというコトをシッカリと認識しておかなければならないのです。
ディスカッション
コメント一覧
>交通事故がゼロにはならないのに反対しないのは矛盾しているじゃないですか
・・・なんでそう思う?
交通事故は保険に入るなり何なりで一応リスク対策はある。
交通事故で大量の国民が非難しなきゃいけないこともないし放射能汚染で国土が使えなくなることも無い。
そして大規模原発事故に対してのリスク対策は現状、何も無い。
どう考えても比較対象にならんだろ・・・前から言ってるがなんで交通事故と比較する?
どっちも0じゃないが被害範囲が桁違いだろ。
いや、あの、「可能性はゼロではない」という言葉は論拠になり得ないというお話をしているんで、保険があるからなんとかって言われても、全然論点がズレちゃっているんですけど。
この世の中に可能性がゼロのモノなんてあるんですか?
そこに保険があっても、そんなモノは「全く可能性はゼロ」という部分には関係がありませんよ。
保険があっても交通事故はゼロになっていないのですから、ここはもう議論の余地すらないのです。
だからこそ「可能性はゼロではない」というモノは論拠にはならないと言っているんです。
「可能性はゼロじゃない」という理由を持って原発反対と言っている人に、そんなのは理由になりませんと、その例えの1つとして交通事故がゼロにはならないのに反対しないのは矛盾しているじゃないですかと、あくまで「可能性はゼロじゃない」というモノを論点にして言っているんです。
保険があるから自動車を運転していいって、やえはそんな話をしているんじゃないんですよ。
ここをごっちゃにしないでください。
どうもここをごちゃ混ぜにして、整理が出来ていないようですが、自動車運転の有無をやえが言及しているんじゃないです。
繰り返しますが「可能性はゼロじゃない」というモノを論点にして、その言葉は論拠には決してならないコトを説明しているのです。
よって保険なんて関係ないんです。
別に自動車運転の是非を問うているのではないですから。
ここはキッチリと冷静に整理して分けて考えてください。
キチンと論点を理解していただきたいところです。
分からん人だな。
最悪の事故に対する保険があるなら原発造ってもいいよ。
でも無いんだから止めとけっての。
事故にあうかもしれないから保険に入るんだろ???
事故にあわない保険なんて有り得ないだろ。
保険の意味分かってる?大丈夫か?
保険に入っていたら絶対に事故が起きないのですか?
絶対に死なないのですか?
自衛隊と日米同盟があると絶対に北朝鮮は攻めてこないのですか?
核ミサイルが飛んでこないのですか?
日本には絶対に着弾しないのですか?
可能性がゼロになるのですか?
違いますよね。
では、保険に入っていたら原発を作ってもいいのですかってお話しになっちゃいますよ、それ。
やえが言っているのは、「可能性はゼロではない」という言葉は一切の論拠にならないと言っているのです。
この世の中に「可能性はゼロ」なんてモノがどこにあるのですかと。
そんなモノはないからこそ、人間はリスクヘッジして可能性や損失を低く小さくする努力をして、ゼロにはならないけど、言い方を変えればそれで妥協して人間は生きているんじゃないですか。
あらゆるコトでそうなんですよ。
自動車だって軍事問題だってそうなのです。
可能性がゼロなんてモノはないです。
ゼロではないからこそ、具体的なモノをひとつひとつを積み重ねて、具体的にリスクヘッジしたりするワケです。
だからそれは論拠にはなりません。
「可能性はゼロではない」というモノはこの世の中に存在しない、だからこそそれは論拠にはならないというお話しをしているんです。
申し訳ないですが、匿名 12-03-11 (日) 10:25さんの書き込みは論点がズレてますよ。
自動車事故に備えるからこそ保険に入ったりしてるけど?
生命保険にも入ってるしね。
最悪のことを想定して生活してるけど。
原発事故の最悪のパターンはサーフェスフュージョンだね。
核燃料が外に出て大地を侵食してしまう状態。
その結果、長年にわたりその地域が高濃度放射能に汚染される。
起こる確率は知らない。でも0ではない(事故として想定されてるわけだからね)
それだけで十分だね。
いつか起こることは必ず起こるからだ。
どんなに確率が低くてもね。
そしてそれが起きた後、今のところ人類には対応策が無い。
放射能を除去する方法がないわけだから。
というか、自衛隊とか日米同盟とかもどこの国が攻めてくるか分からないから
保険として存在してると思ってたんだけど。
そういうならどこの国がどの程度攻めてくるのか確率含めてきちんと評価してくれ>やえたん
こんにちは。はじめてコメントします。
人が死ぬのももちろんデメリットですが、原発の場合、事故が起きると土地を失う可能性もあるのが問題なのでは?
原発の利用については、安全だという正確なデータが得られるまでは消極的であるべきと僕は考えます。
SIRO さんが既に指摘されていますが、せっかくなので翻訳も追加してみます。
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Relative Verteilung in Fukushima ermittelter radioaktiver Partikel
福島で放出された放射性分子の相対的拡散
Konzentration noch relativ hoch
比較的高濃度
Konzentration deutlich verdunnt
かなり低下した〔希釈された〕濃度
Konzentration stark bis sehr stark verdunnt
きわめて~非常にきわめて低下した濃度
Wichtiger Hinweis:
Die Darstellung erlaubt keine Ruckschlusse auf die tatsachliche Konzentration radioaktiver Partikel in der Luft, da die Starke der Quelle unbekannt ist. Es wird lediglich dargestellt, wie sich eine fiktive Emission am Kraftwerk in Abhangigkeit der Wetterlage verteilt und damit verdunnt.
重要な注意点:
この図から、実際の放射性分子の大気中濃度を逆に推理することはできません。なぜなら、発生源における〔放射能〕濃度が不明だからです。この図はただ、原子力施設における仮定的な放出量が気象状況によってどのように拡散され、それによって希釈されていくかを示したものです。
(出典元)
原子力資料情報室
http://cnic.jp/modules/news/article.php?storyid=1056
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そんなわけで、あまり有益なものとは言えません。
震災後やたらとネット上で見かけましたが、まだ出回っているんですね。。。
>ドイツ気象庁の予測データ
http://www.witheyesclosed.net/post/4169481471/dwd0329
>>この図は放出される放射性粒子の相対的な分布図(訳注:大気中)と題されており、下部の小文字部分には要注意:放出源の濃度が明らかでないため、この予想図には空気中にある放射性粒子の実際の密度が反映されているとは限りません。発電所からの仮想上の放出が天候条件によってどのように分布し希釈化されていくのかのみが表現されています。との注意書きがあります。
と、あるので。放射性物質が『放出されたとしたら』どの部分で濃くなるのか程度の情報でしか無い模様です。
希釈の濃度は、恐らく対数単位なので殆ど誤差の範囲じゃないかと。
何より重要なのは、『実測データでは無い』と言う点で。本記事でも述べられている様に、民間の実測データに比べて説明力が著しく劣るシロモノであると言えますね。
>匿名さん
被災地を『復興させない』事で需要を抑制して乗り切る腹なんじゃ無いでしょうかねぇ。
反原発派は、原発全炉停止しても夏場のピーク需要を火力で乗りきれるといってますが、本当でしょうか?
昨年夏は廃炉予定だった火力発電所を急遽稼働させるなどして乗り切りました。それでも原発数炉は稼動している状況でした。
さて、今年の夏はどうなるのか?果たして火力発電所は定期検査を行う期間を確保出来るのでしょうか?