「反原発」というモノは選挙の争点としては終わり

 では前回の続きです。
 今回の東京都都知事選挙の結果と、前回のやえの更新で書きました分析を元に、「反原発」という「争点」について、総括しておきましょう。
 
 もうこれ、選挙の争点としては終わりですね。
 そもそも原発問題、特に「反原発という主張に対する是非」の問題は、前回の衆議院選挙、そして参議院選挙でハッキリと決着が付いている問題とすら言え、今回の選挙で争点に据えるコト自体が間違いだと言えるのですが、そこに目をつむったとしても、今回のこれでハッキリしたと言えます。
 結果は、反原発派の大惨敗です。
 反原発派である宇都宮さんも細川さんも舛添さんの半分にすら及ばず、結果が出なかったという点だけでも十分なのに、なんとこの二人の得票率を合わせたとしても舛添さんには届かないという、惨敗にもほどがある結果でした。
 細川さんが手を上げたとき、反原発派で立候補者を一本化すべきだという声もあったようですが、しかしもし一本化していたら、この結果以上に惨敗していたコトでしょう。
 なぜなら、一本化しても今回の数字がそのまま足し算されるコトはなく、むしろ減るからです。
 だって仮に細川さんに一方化されたら、バックに小泉さんが付いている時点で強固な共産主義者や社会主義者は「自由主義の権化」である小泉さんには絶対に入れないでしょうし、また同じような理由で宇都宮さんが一本化していたとしても「共産主義だけはナシ」と思っている多くの人は忌避感を示すからです。
 よって、どちらに一本化してもどちらにも「それだけはない」という層が抜け落ちますから、確実に今回の結果の足し算よりは低くなっていたと考えられます。
 このように、反原発派にとっては大惨敗にもほどがある結果なのです。
 
 よってこれは明確に「反原発」というスローガンにはNOという都民と、そして国民の意思が、ハッキリ示されたと言えるでしょう。
 衆議院選挙・参議院選挙・都知事選挙と続けば、もういいでしょう。
 ハッキリとNOです。
 
 さらに言うなら、NHKの出口調査によると「最も重視した政策は何か」に対しては、「景気・雇用対策」と答えた人が最も多く31%だったと出ています。
 「原発などエネルギー政策」は22%だったようですから、ここからしてももはや反原発はNOという都民の姿勢が窺い知れるでしょう。
 またその22%の中にも、むしろ「反原発にNO」という意味での「最も重視した政策」の人も含まれるワケですから、ますます「反原発票」というのは少ないと見るのが妥当でしょう。
 また宇都宮さんや細川さんに入れた人もその全てが反原発というワケではないでしょう、宇都宮さんに入れた人の中には「共産・社会主義者だから」という理由で入れただけでの人はいるでしょうし、同時に細川さんに入れた人も「小泉ファンだから」という理由で入れた人も少なからずいたハズですから、この二人の得票がそのままイコールで「反原発票」とは言い切れません。
 もちろん「反原発という主張の人が皆無」とは言いませんよ。
 ある程度の人が国内にいるのは確かです。
 都民の10%だけだとしても、絶対数で言えば相当な数になるでしょうから、それなりにはいるとは言えます。
 ただ重要なのは、国策になるぐらいまでの大きな数字では無い、というコトなワケです。
 ここは弁えなければなりません。
 
 というワケで、「反原発」は国策として支持されるレベルではなくそれを正義に掲げるコトは出来ない、というコトがハッキリした選挙とも言えるでしょう。
 つまりいくらデモをして1万人とか集まったとしても、それは所詮少数派が集まっただけに過ぎず見た目だけの数でしか無いというコトであって、デモ自体それそのものに一切の説得力は無いというコトです。
 もちろん主義主張を口にするのは自由ですから、もう二度と口にするななんてコトを言うつもりは毛頭ありませんが、それはあくまでも自分だけの主張であって、「国民の支持」を用いて説得力を与えられるモノでは全く無いという事実は受け入れなければなりません。
 自らの主張として述べるコトは自由ですが、国民をバックに語るのは、もう不可能です。
 
 逆に言えば、むしろ反原発派な人達は今回の選挙の争点を「反原発だ」と声高らかに叫び、一部マスコミもその尻馬に乗ったのですから、そう言っていた人達こそが今回の結果を正面から受け止めて「国民は反原発にNO」という事実を噛みしめなければならないでしょう。
 「反原発」と言った分だけ、実際はそうではなかったという事実を受け止めなければならないのです。
 だって「争点」だったのですから、「負けた」以上は、その政策は否定されたとしなければならないですよね。
 もし勝っていたとすれば、「これが民意だ」と言っていたのでしょうから、買った負けたは関係なく争点にした時点で「勝ちか負け」による結果を受け止めなければならないのです。
 「負けたからアレはナシね」なんてどこのガキですかというお話です。
 これはむしろ反原発派の人達が招いたコトなのですから、結果もキチンと受け止めてもらいましょう。
 
 というワケで、もはや「反原発」というモノは選挙の争点としては終わりです。
 まぁ立候補者がそれを主張するのは勝手ですが、全候補者が意見表敬をわざわざしなければならなくなるような「争点」として取り上げるほどのコトではないと言えます。
 まぁエネルギー政策という面においては資源の少ない日本においてはいつも考えるべき問題ですから、そういう面ではアリなんでしょうけど、少なくともイエスかノーかを突きつけられるかのような「反原発か否か」という風潮はもう終わりにしなければなりません。
 そんな風潮での選挙なんて、大部分の国民は望んでいないのですから。