考えるべきは少子化社会をどうするのか
例えば頂いたコメントの中にも「移民政策に賛成なのか反対なのか」という問いもあったのですが、これ、問題の本質を間違えているんですね。
移民政策の問題の本質は少子化問題であり、つまり質問するなら「少子化問題をどう考えるのか、どう対処すべきなのか」というところを考えなければなりません。
いくら移民問題の賛否を決めたとしても、少子化問題が解決しないのであれば全く意味がありませんからね。
移民政策自体の議論が無駄とは言いませんが、それだけで終わるのであれば何ら問題は進展しないという点はキチンと踏まえておく必要があります。
よってまずは「少子化問題」、もっと言えば「人口が減ってしまうとどうなってしまうのか」という問題を考えなければなりません。
ただこれはハッキリ言ってかなり難しい問題ではないでしょうか。
なぜなら、これは誰も経験したコトのない状態であり、よって予測しか立てられない以上、全ては仮定のお話しかできないからです。
例えば日本の人口が半減してしまった場合、いったいどういう社会になってしまうでしょうか。
まず間違いないのはGDPの減少でしょう。
ではGDPが減少するとどうなるのかと言えば、日本は先進国ではなくなる可能性が高いのではないかと思われます。
先進国でなくなればどうなるか、それは言葉だけの問題ではなく実情として、技術や物質やサービスなどあらゆる分野において世界より一歩遅れた国家になるという意味を孕んでいます。
つまり、いまの世界水準で比べれば例えば日本の24時間いつでもなんでもお買い物ができるコンビニなどはまだまだ途上国ではかなり珍しいモノですが、そういう日本では当たり前だけど世界的に見たらそうでないモノが、そうでないモノ並みになるってコトです。
ここで間違えてはならないのが、コンビニがなくなるっていう意味ではないというコトです。
いまの記述やサービスは維持されるでしょうけど、しかし技術やサービスは日進月歩であり、日本が途上国になった時代の世界における「先進国のサービス」が、その時の日本では発達していない可能性があるっていう意味です。
未来の新しいテクノロジーですからやえにはそれが何なのか想像付きませんが、がんばって想像したとして、例えば先進国では宇宙旅行が当たり前の時代になっているのに、途上国である日本ではそれが達成されていないような世界、という意味です。
現代の日本人は、世界から比べれば最高水準の生活を送れています。
日本人はどうもこの世界最高水準が理解しにくいようで、外国に行ってもどこも同じ生活が送れるかのような錯覚を持ってしまっているフシがありますが、そんなモノは幻想でしかなく、日本ほど便利で豊かな国はそうはないんですね。
G20の韓国だってしょっちゅう道路やビルやらが崩壊してるじゃないですか。
G20のブラジルも、治安が悪すぎてワールドカップは大丈夫なのかと言われてしまっているぐらいじゃないですか。
でもG20ですら世界から見れば上位ですよ。
その中のさらに上にいるのが日本です。
この便利な社会は当たり前のモノなのでは決してなく、とてつもなく強い経済に支えられているからこそ享受できているモノなのです。
たまに、人口が減ってもいいじゃないか、経済が弱くなってもいいじゃないか、それなりの暮らしをすればいいじゃないか、っていう意見もありますが、しかしやえはそれはちょっと本当にそれで済むお話なのかと疑問でしかありません。
経済ってあらゆる分野に関わってくるワケですよ。
コンビニなどの利便性だけのお話ではなく、例えば日本の優れた医療技術もいまの経済力があってこそ成り立つモノであり、もし「経済が弱くなってもいいじゃないか」の世界において先進国では簡単に受けられる医療や薬でも、経済が弱い途上国の日本ではそれが受けられず、助かる命も助からない場面も多くなってしまうのではないのでしょうか。
医療技術や設備の差は、国によって相当大きいですよね。
またいまでも途上国では東南アジアあたりでは津波で何万人もの人が一気に亡くなってしまうワケですが、例えばこういうコトも「将来の途上国日本」では同じようなコトが起きる可能性があるワケですよ。
地震や津波の規模が違いますから単純比較はできませんが、それでも東日本大震災の死者行方不明者は約1万8千人に対し、スマトラ沖地震の際のインドネシアの死者・行方不明者は15万人を超えています。
こういう「差」を考えれば、将来の世界において先進国なら死亡社ゼロで済んでいた災害でも、途上国である日本においては経済力や技術力が足りずに満足な対策やインフラができなかったために何百人もの命が失われてしまった、なんてコトになってしまう可能性は、どうやっても否定出来ないワケです。
それでいいんですか、と。
まずはここを考えてもらいたいです。
少子化を容認するというコトは、経済力の低下と国力の低下を意味します。
そしてそれは、いま挙げた例だけでなく、もっと多くの「不便」を国民に強いるコトとなるでしょう。
もしそれでもいいと言うのであれば、それはひとつの選択だと思います。
ただそれは、本当に「差」というモノを現実のモノとして想像出来ているのか疑問でしかないのです。
いまの生活で満足だからこのままでいいと言うのは、それは今が世界最高水準だからこそ言えているコトでしかないんじゃないですかと、将来の世界において本当に満足できる生活なのかどうかという部分については、それは自分の身のコトだけで終わるのではなく、次の世代その次の世代のコトを真剣に考えた場合のコトを考えていっているのですかと、想像力の欠如ではないのですかと言いたくなるのです。
ハッキリ言って、少子化が根本の問題であるこれを目の前にして、しかし移民問題だけにしか目を向けずに反対だ反対だと言うのは、それは無責任なだけでなく、少子化問題への議論の害悪とすら言えると思っています。
いまネットに多く散見される移民反対論は、移民に反対する自分は正しい行いをしているんだというポジショントークに終わってしまってはいませんか?
ましてこの手の移民反対論は、移民に反対するってだけで終わってしまっています。
さらにその姿勢や声というのは、移民政策問題の根元には少子化・人口減少問題が存在しているっていうコトを見えなくさせているとすら言えます。
少子化問題を考えてこその移民政策議論なのに、移民に反対するのは正義という短慮によって、本来考えるべき本題が見えなくなっているのです。
つまり移民問題だけを言って終わっている人というのは、本質的には何も言っていないのと同じですし、議論としては少子化問題をぼやかすという意味で害悪になっていると言えてしまうのです。
移民問題の本質は少子化の問題であり、少子化の責任は誰でも無い国民自身にあるっていうコトをまずは自覚すべきです。
どうも理解出来ない人がいるようですが、前回と前々回の更新は、この問題の責任の所在はどこにあるのか、当事者は誰なのか、キチンと自分の問題として考えられているのかっていうコトに対する問題提起であって、移民問題はむしろ関係はないとすら言えるコトでしかありません。
自分の問題なのに他者のせいにして、そうするコトによってその問題を「他人からの押しつけという構図」でしか見なくなってしまうため、その結論も「他人からの抑圧に反抗する」という変な抵抗論で終わってしまうのです。
ここが問題だと言ってるんですよ。
「政府が押しつける移民政策に反対する」という見方をしている限りは、本当の問題である少子化問題が見えなくなってしまうのです。
でも抵抗論はある種の麻薬のようで快感を伴うので、それにおぼれているだけの人が少なくないと指摘しておきます。
これは少子化・人口問題の議論のためには害悪にしかなりません。
ここの問題の違いをキチンと理解して下さい。
もちろん移民政策問題を政策問題として議論するコトはおおいに結構なコトだと思います。
しかしこの場合も、ざっくりと「移民政策」という言葉だけでとらわれるような議論はすべきではないでしょう。
移民と聞くと、他民族が一気にドッと押し寄せてくるかのようなイメージがありますが、それは方法論の違いでしかありません。
そういう移民政策もあるかもしれませんが、もっと違う方法もあるでしょう。
そういうコトを個別具体的に議論してこそ、本当の議論です。
次回は、頂いたコメントにレスしたいと思います。
ディスカッション
コメント一覧
>シン
いや、分かったからいいや。
君は子持ちじゃなくて、結婚もしてない。で、移民には賛成なのね。
国として、少子化が問題だというなら、まず少子化対策が先だろうというのが俺の立場。移民を考えるのはフランスくらいのことをしても増えないとなってからだ。
で、君は移民に賛成のようだが、そうすると少子化対策についてはどう考えてるのか?やえたんもそうだけど、そこに対して何も言わないんだよな。
>君、そう言うからには当然2人以上子供居るんだよね。
ああー、『当事者じゃないと意見言っちゃダメ!論法』ですね。「憲法9条改正するんなら政治家が前線に行け!」とか「原発を作るなら永田町に造れ」とかありましたねー。歴史は繰り返すのだというさらなる傍証を頂きましてありがとうございます!
ちなみに、その質問に答える気はまったくありませんが、仮に「ええー、三人いますよ。男女男の三兄妹」とか「やえちゃんと同じ14歳なので、まだそういう年齢じゃありません……」って回答されたら、どうしたのでしょう。そこで議論終了で、まるで発展性はないですよね。
で、気付いたと思いますが、そもそもやえちゃんなんてバーチャルですから、まぁ、なんというか、色々と不可能なわけで、じゃあ語ってはいけないとなると、そもそもこのサイト自体の意義を否定されているわけで、つまりそういった言説そのものが非常にナンセンスでインテリジェンスじゃありませんね。
>いまネットに多く散見される移民反対論は、移民に反対する自分は正しい行いをしているんだというポジショントークに終わってしまってはいませんか?
ましてこの手の移民反対論は、移民に反対するってだけで終わってしまっています。
とありますが、少なくとも私はきちんと理由も他国の例も出された論理的な反対意見を目にするんですが・・・。
それについて反論するならともかく、それらを見ずに表面(?)だけみてネット論を語るのはどこぞのよしのり氏のようでちょっと。
普通にその手のスレなどを眺めていれば出てくるし、知名度のある方も反対の理由を出して表明していますよ。
時間が取れずに深く見ていないのかもしれませんが。
少子化についての議論をしたいといっても移民について結構書かれていましたし、この反応も仕方のないことです。
むしろあえてこういう反応をして欲しかったように見えました。
そうでないのなら少子化についてを重視して移民について荒立てる必要もないですしね。
>例えば日本の人口が半減してしまった場合、いったいどういう社会になってしまうでしょうか。
>まず間違いないのはGDPの減少でしょう。
嘘つきだね。
一人当たりのGDPが3倍になれば人口半分になっても
総GDPは1.5倍になるよ。
>シン
君、そう言うからには当然2人以上子供居るんだよね。
>自分の問題なのに他者のせいにして、
ああー、確かに「女性の社会進出が~、高学歴が~、雇用が~」とか他人の所為ばかりを見かけますねー。
>移民反対
移民反対移民反対とにかく移民反対と、表層的なことのみに拘り大本を考えないというのは、改憲反対安保反対みたいですねー。歴史は繰り返すというのはよく言ったものです。
なるほど、なるほど~。
少子化で人口減少→GDP減少→日本が発展途上国になる→それはマズイ!
という訳ですね。
では、あなたにお尋ねしますが、現在の日本よりも人口が少ないイギリスやフランス、ドイツ、イタリア等は日本に先行して少子化が進行しています。
これらの国々は発展途上国で国民は貧困にあえいでいるんですよね?
また、あなたの大嫌いな中国は日本の十倍の人口を持ち、最近(名目上)GDP1位になりましたが、世界最強の先進国で宇宙旅行に行き放題で地震が起きても死人も出ないすごい国なんですね?
じゃあ、あなたが中国に移民されてはいかがでしょうか???
『GDP=人口=先進国の証』なんでしょう?
そういう国にあなたは住みたいのでしょう。
ならば、中国に移民しなさい。
どうせ、安倍や竹中が移民推進すれば日本は中国人だらけになるのです。
だったら、あなたが最初から中国人だらけの国に行けばいい。
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