大臣が東電株を持つのはダメ?では電力労働組合から献金を受けるのは?

 法令的には全く全然問題はないのですが、野党やマスコミが「大臣が東京電力の株を持っているのはダメだ」というようなコトを言っています。
 ちょっとこの理屈が分からないのですが、おそらく想像するに、「様々な権限を持っている大臣がそこの株を持っていれば、その権限を私利私欲のために使うのではないか」という理由なんだろうと思われます。
 確かに悪用しようと思えば、それは不可能ではないでしょう。
 大臣ほどの権限を悪用すれば、特定の会社の株を上げたり下げたりするコトができる、または株価の情報を市場に出る前にキャッチするコトは可能でしょうから、そういう意味では悪用も可能だと言えるコトはできるかもしれません。
 
 しかし、そんなコト心配するまでもなく大臣任期中は株の売買は禁止されているハズです。
 いわゆる「大臣規範」と呼ばれるモノで、調べたらちゃんとウィキペディアにもあるんですね。
 

 国務大臣等の在任期間中は、株式等の有価証券、不動産、ゴルフ会員権等の取引を自粛することとする。就任時に保有する株式、転換社債等の有価証券については、信託銀行等に信託することとし、在任期間中に契約の解約及び変更は禁止する。

 
 というワケで、大臣が自らの権限を行使するコトによってインサイダー取引まがいのコトをするコトも、これで出来ないコトになっているワケです。
 もちろん大臣でなくなった後には売買できるので、大臣任期中に株価を操作して辞任後に利益を得るっていうコトも、理屈上では出来ないコトはありませんが、それこそそんなコトがあればその事実をもって政治家の質の問題として質していけばいいだけのお話でしょう。
 むしろそんなたったワンチャンスのためだけに今後の政治生命をかけますかね、とは思いますけどね。
 人生全て賭ける程の大規模取引なら目立ちまくるでしょうし。
 ですからこれは、「株を持っている」というだけのコトで批判できるようなモノではないんですね。
 
 結局「特定の勢力のためだけに政治家が公権力を揮う」のが問題だというのが、このイチャモンの根底でしょう。
 これだけであれば、それはその通りです。
 政治家に付与される公権力は、広く公のために使われるべきモノであって、そのための付与されるのが政治家への公権力であって、決して私利私欲のためではなく、また特定の勢力のためだけでもありません。
 ここの文脈だけ読み取れば、それはその通りです。
 

 電力献金、民主側に1.2億円=労組から出身議員ら中心に
 
 収支報告書によると、電力総連の政治団体「電力総連政治活動委員会」は昨年、全国の電力会社労組の政治団体などから約6400万円を集金。この中から東電出身の小林正夫民主党参院議員の「小林正夫と民主党を支援する会」に2000万円、小林氏の選挙事務所に650万円を寄付していた。
 この他、パーティー券購入代金などとして元原子力政策・立地政策プロジェクトチーム座長の川端達夫総務相側に20万円、江田五月党最高顧問側に5万円を支出。川端氏側は、電力総連の関係団体や関西電力労組の政治団体などからもパーティー券代金など116万円を得ていた。
 また東電は、同党の下条みつ衆院議員側のパーティー券40万円分を購入。同社労組の政治団体「東京電力労働組合政治連盟」は、同社出身の民主党系地方議員や候補者側に約9300万円を献金していた。関係政治団体を経由して寄付したケースもあり、金額はさらに膨れ上がるとみられる。

 
 やえは献金が悪いとは言いません。
 記事には会社の役員からの自民党への献金の話題も載っていますが、どちらにしても献金自体は法令に則った形で行われたモノであり、これをなんら批判できるモノではありません。
 
 しかし民主党は「大臣が株を保有している」というだけで批判をしました。
 その理由はおそらく「大臣が株を持っているコトで、その公権力を東電だけの利益につぎ込むおそれがあるから」というモノでしょう。
 やえはそれこそ本来は結果によって、もしそういう結果が出ているのであればその時に批判すべきモノであって、「おそれ」なんかで批判すべきではないと思うのですが、しかし民主党はそう言うんですね。
 
 ではこの、電力会社の労働組合からの献金は何なのでしょうか。
 
 労働組合の体質としてそれが間違っているとは言いませんが、労働組合は最終的には「労働者の権利を守るため」の組織です。
 つまり「自分たちのための自分たちによる組織」なんですね。
 繰り返しますが労働組合とはそういうモノですし、それが全体に広がるコトで結果的に公共性に繋がるコトもあるでしょう、それは否定しませんが、しかし本質的な体質というのは「自分たちの権利のための組織」であるコトは否定できません。
 極論すれば、「電力供給が滞ったとしても労働者の権利の方が大切だ」とするのが労働組合ですよね。
 むしろこれはストライキの手段なワケです。
 もちろん労働組合としてはこれは保障された権利ですが、しかしこれを政治までそのままの構図を持ち込むコトは、それはちょっと不適切でしょう。
 特に電力問題の場合、政治とは、労働者の権利を守るのも大切ですが、もっと広い多くの国民の生命と財産のために電力の安定供給を実施していかなければならない義務があるハズです。
 そういう中において、「株を持っているだけで公権力の私的利用」と言わんばかりに批判する民主党は、果たして「公よりも私を優先する団体からの献金」を受けているというのは、果たしてどう整合性があると言うのでしょうか。
 
 株を持っているだけの事実をもって「公権力を私的利用する」と言うのであれば、それは「労働組合から献金をもらっていれば公権力を労働組合のためだけに悪用する」と言えてしまうでしょう。
 実際は献金を受けているだけで「公権力を私的利用する」なんて批判は出ませんし、それは的外れだと思いますが、でも民主党の主張がそういう類いのモノなのですから、民主党は自らの言葉に従うべきでしょう。
 「株を持っているだけで公権力を私的利用する」と主張するのであれば、同じように「労組から献金を受けているだけで公権力を私的利用する」と言うしかありません。
 むしろ労組からの献金の方が「公に繋がらない公権力の私的利用」の可能性が高いのではないのでしょうか。
 
 それとも民主党は誰から献金をもらってもパーティー券を買ってもらっても株を持っていても全て綺麗な行為で、自民党のそれは全て汚い行為だと言うつもりなのでしょうか。
 もしそう言うのであれば、それこそヘイトなんじゃないですか?
 少なくとも「株を持っている」というだけで批判が成立するというのであれば、民主党はそう言っているワケですが、そうであればむしろ電力労働組合から献金をもらっている方が「公権力の私的利用」の観点からは数段タチが悪いと言うしかないでしょう。
 
 相変わらず民主党の言っているコトは支離滅裂です。