公務員叩きをして人気を得ようとする衆愚政治

2012年4月15日

 もう公務員をなんでもかんでも叩いて人気を取ろうとするくだらない政治ショーは辞めましょうよ。
 

 消費増税前に無駄削減を=鈴木宗氏
 
 新党大地・真民主の鈴木宗男代表は14日夜、大阪府富田林市で開かれた会合であいさつし、消費増税について「国会議員や国家公務員の無駄をなくすことが先決だ。議員自らが身を削らず、負担をお願いするのは間違いだ」と述べ、増税の前提として、議員歳費や国家公務員給与の削減が必要との考えを示した。
 鈴木氏は「国会議員のボーナスは返上すべきで、給与も3分の1カットすればいい。国家公務員のボーナスを3分の1カットすれば3000億円浮き、(東日本大震災からの)復興財源の柱になる」と指摘した。

 
 そもそもいつも疑問に思うのですが、この「増税する際にはまず公務員のみを削るべきだ」という考え方が、まったく理に適ってないと言わざるを得ません。
 だって増税したところで、公務員も国会議員も、それは一般の人と変わらず等しく増税されるからです。
 消費税にしても所得税にしても、それを増税したからといって公務員だけには適用されないとか、そんなワケは全然無いですよね。
 ですから、この理屈はかなりおかしいのです。
 
 多分、お給料が税金からという発想からこのようなワケの分からない考え方になっているのでしょうけど、しかし公務員の仕事も民間の仕事も、それは役割分担であって、税金からお給料が出ているから扱いは下だとかいう、そんな発想は本来あり得ません。
 こんなの、汚い言葉で申し訳ないですが、かなり下衆な考え方と言わざるを得ません。
 ムダな仕事があるとか、必要以上の人員がいるとか、そういう問題は、今回とは別問題です。
 ムダはムダで削減していけばいいです。
 でもそれと、「国会議員のボーナスは返上すべきで、給与も3分の1カットすればいい」という、十把一絡げにして「公務員だから」という論拠しか存在しない手法というのは、それはもう、自給自足ではなく近代社会の役割分担するという社会の構造を完全に無視した考えとしか言いようがないワケです。
 貴族制なら話しは別ですが、いまの日本には職業選択の自由があって、つまり公務員にならなかった人は、公務員にならなかったという自分の意志によって選択して決めたのですから、そこに誰しも差はないワケで、決して「お給料は税金から出ているから」という理由で公務員だけに何らかの差をつけていい理由には全くならないのです。
 
 国家国民の代表にそれなりの待遇を用意するというのは、これはもう人間の常識としてあるべきです。
 国家の威信というモノにも関わってくる問題ですしね。
 また公務員だって、はじめから手当が厚いと公開された上で、その門戸は誰にでも平等に開かれているのですから、優秀な人材を確保するという観点では、これはむしろ合理的とすら言えるでしょう。
 国会議員を含めた公務員は国家に対しても社会に対しても必要だから存在しているのです。
 無くて困るのは国民自身です。
 繰り返しますがムダな部分は削減するというのは当然として、しかしそういう発想ではなく、一律に「公務員だから」という根拠だけで何らかの措置を取るというのは、不適切そのものです。
 
 復興は国民全員の力で成すべきコトです。
 言い換えれば、国民全員で負担すべき問題です。
 そして、だからこそ税金なのです。
 税金の種類による公平性というのはまた別の議論になりますが、日本国民に等しく負担をお願いするというのが税金であって、そこに国会議員とか公務員とかの例外規定なんてないのですから、これこそ「公平な負担」なのです。
 決して「自分以外からならいくらでも取っていい」なんて安易な発想で公務員にだけ大きな負担を押しつけるような考え方にはなってはなりません。
 それは卑しい考え方です。
 
 そして鈴木宗男氏は国会議員ではありませんが、ほぼそんな感じの人ですからそういう言い方をしますが、国会議員からそのような言い方をして、民衆を煽るようなやり方は、本当に汚いです。
 衆愚政治そのものです。
 何より理に適っていません。
 こんなデタラメな理屈で政治が動くとすれば、本当に頭の痛いコトだと言うしかないでしょう。