米軍を追い出すならその後の議論もしなければならないハズだが

 なんかもう、最悪のタイミングですね。
 

 沖縄 米兵2人女性暴行 集団強姦致傷容疑
 
 沖縄県警は十六日、二十代の女性を乱暴してけがをさせたとして集団強姦(ごうかん)致傷の疑いで、米海軍の上等水兵クリストファー・ブローニング容疑者(23)と三等兵曹スカイラー・ドージャーウォーカー容疑者(23)を逮捕した。
 沖縄県内では、八月に那覇市で女性への強制わいせつ致傷容疑で米海兵隊員が逮捕されたばかり。米軍普天間飛行場(宜野湾市)への新型輸送機MV22オスプレイの配備をめぐっても抗議が続いており、沖縄県側の反発が強まるのは必至だ。

 
 もちろんこの事件で一番悪いのは犯人自身です。
 こいつらは法に則って全体に処罰されるべきであり、裁判が確定した後はその罪を本人の身を持って償わさせなければなりません。
 これは当然であり前提のお話です。
 
 その上で2点、この問題に関連して考えるべき問題があると思います。
 まず一点目は、外国人犯罪をどう考えるかという視点です。
 残念なコトですが、強姦事件というのは日本の各地で日本人が犯人で起こるコトもゼロではありません。
 もしかしたらニュースにすらならない、我々が聞いたコトもないような事件もおそらく日本中には少なくない数として存在しているのではないでしょうか。
 その中で今回の沖縄米兵の事件がここまでピックアップされて大きく取り上げられるというのは、ひとつは外国人が犯した犯罪だからっていう点が1つあるでしょう。
 つまり、他人の国に来ておいて礼儀知らずだけならまだしも、日本人が今まで築いてきた倫理を蔑ろにし、日本人を辱めて犯罪を犯すとは何事だと、他人の国に来てまで何をやっているんだと、そういう感情が働くワケです。
 これはある種当然でしょう。
 そして沖縄という地は歴史的な面から見ても、また地理的にも小さな島、言ってみれば閉鎖されがちな地理にあるワケで、その中での「我々の国の中で他人が」っていう思いは大きくなるというのは、これもやっぱり当然のコトだろうと思います。
 ましてこの種の事件は一向に無くならない、特に軍隊によって規制しやすいと思われる「米兵が」っていう部分がさらにあって、ますます怒りに繋がっているのでしょう。
 それはとても分かる感情です。
 ただそれはそうなのですが、この場合沖縄の人間では無いやえなどの立場からすれば、そことはまた違う、一歩引いた冷静な目で考えなければなりません。
 米兵が犯した犯罪と言えども、しかしそれは米軍が任務として実行したモノではなく、あくまで一外国人が個人の資質として犯した犯罪です。
 こう考えれば、では米兵以外の外国人が犯す犯罪と、この扱いの差をどう考えるべきかという問題があろうかと思うのです。
 
 中国人や韓国人、またアメリカ人もいるでしょう、ブラジル人の犯罪も統計では多いと出ていますが、これらの犯罪に対して「我々の国に来ておいてなんたるコトか」という怒りを持つというコトは分かります。
 やえだってそう思うコトはよくあります。
 特に今までの日本の常識では考えられないような手口や乱暴な手段が使われた時、特にこういう感情は生まれやすいですよね。
 ですから、結局「他人の国に来てまで何をしているんだ」っていう気持ちは、これは米兵に限らず、全ての外国人に対して湧き出る感情なワケです。
 そして日本では残念ながら米兵以外の外国人による強姦事件や犯罪は起きてしまっています。
 これをどう考えるかです。
 沖縄の人ならともかく、米兵の事件だけをことさら大きく取り上げる、それだけを政治問題にするっていうのはおかしいのではないでしょうか。
 
 やえは今回の件は騒ぎすぎだと言いたいのではないのです。
 それぐらいの怒りを持つなら、別の犯罪にだって同じ大きさの怒りは持つべきなのではないのですかと言いたいのです。
 米兵だけに米兵だからという理由だけで怒りが大きくなるっていうのは、それはもはや差別思想になってしまいます。
 裏を返せば、中国人や韓国人の犯罪には寛容だというコトになってしまいます。
 そうではなくて、米兵でも中国人でも韓国人でもブラジル人でも何人でも、同じように怒ってしかるべきなのではないでしょうかと言いたいのです。
 むしろ米兵以外の外国人犯罪にはもっと怒るべきでは?と思っています。
 特に報道するっていうコトに関しては、そういう感情を増幅させるコトに繋がります。
 こういう意味において、犯罪や国籍によって差異を付けるという行為はむしろ差別に繋がる危険な行為のハズなのです。
 ここはシッカリと考えるべき問題でしょう。
 
 もう1点は考えるべき点があります。
 仮に沖縄に米軍基地がいらないとなったとしても、その後どうするのかっていうお話は、この部分はキチッと考えなければならない、むしろ追い出す議論をするなら同時並行的にその後のコトの議論をしなければならないってコトです。
 でもいまの議論って、米軍基地をどうするのかっていう議論だけで、その後のコトまで言及している論評はかなり少ないですよね。
 「最低でも県外」と言った鳩山総理や民主党は、では仮に県外に持っていった後、そこをどうするべきだったのか、今まで米軍が担っていた様々な案件を今後どう補填していくのか、こういう視点で何かを語ったコトなんて1度もありませんでしたよね。
 これはもう本当に片手落ちにも程があるのです。
 
 アメリカは、伊達や酔狂で沖縄に基地を作って軍隊を駐留させているワケではありません。
 意味があるからこそ、もっと言えば、駐留させておくだけの効果があるからこそ沖縄に軍隊を駐留させているワケです。
 よってその軍隊がいなくなったら変わりの方策を考えなければならないというのは当然のお話でしょう。
 そういう意味ではやはり自衛隊が変わって国土や領海などを守るっていうのが当然のコトとしてあがってくるのではないでしょうか。
 そもそも今は、日本は助けないけどアメリカは日本を助けるというある種の不平等条約が日別の間に取り交わされており、だからこそ日本を守るタメに米軍が駐留しているのですから、この米軍がいなくなった後どうするんですかっていうお話は絶対にしなければならないハズなのです。
 
 そう考えた時、果たして今の自衛隊だけで対応出来るのでしょうか。
 やえは、やっぱりここは憲法改正して、普通の国の軍隊にしなければこれをキチンと対応出来るようになるとは思えません。
 そしてなにより、少なくともそういう議論をしながらでないと、米軍を追い出すような議論は出来ないのハズなのです。
 少なくとも、ただ追い出しました万歳万歳これで終わり、とはなりませんよね。
 ではその後どうするのか、米軍基地で働いている日本人も多いと聞きますから、そういうコトも含めてどうするのかっていうコトはしっかりと考えなければならないのです。
 
 ある意味これは日米同盟の根幹をなす議論です。
 もし日本が米軍はもういらないと言うのであれば、今度は日本独自で日本を防衛しなければならなくなります。
 もちろんこれは本来独立国家としては当たり前のお話ではあるのですが、日本は未だに米軍におんぶにだっこなワケですから、ここはキチンと考えるべき問題です。
 米軍がいらないと言うなら、日本が攻められた時は当然のコトながら自分達だけで対応するコトになりますが、しかしそれだけではなくアメリカとはこれで縁を切るってコトになるワケでは絶対ないのですから、つまり対等軍事同盟になるワケで、この場合、では集団的自衛権などはどう解釈するのですかっていう問題もキチンと考えなければならないでしょう。
 ここのところもちゃんと考えているのでしょうか。
 
 ただただ米軍出て行けわーわーだけでは、問題は何も解決しません。
 そのために自分達は何をしなければならないのか、ここのところの責任もキチンと考えるべきでしょう。