よく分からない公明党の自衛権への解釈

 公明党も曲がりなりにも与党なんですから、その見解は国政にとって決して小さくないモノでしょう。
 でもやえはこれやっぱりちょっと理解出来ないんですね。
 むしろなぜこれをマスコミとかが大きく取り上げないのか疑問です。
 

 自衛隊の米艦防護で議論 現行法下での実施可能性も検討
 
 その中で北側副代表は、現行法や現在の憲法解釈で自衛隊による米艦の防護が可能と考えられる五つの類型があると整理。
 
(1)平時に公海上で自衛艦が米艦に対する給油活動をしている場合
(2)米艦が自衛隊と連携して日本の防衛に資する活動をしている場合
(3)米艦への攻撃が日本への攻撃の着手と見られる場合
(4)日本の領海にある米艦が攻撃された場合
(5)日本に対する攻撃が発生し、米艦が日本の防衛のために行動している場合
 
 ―について、過去の政府答弁に照らし、集団的自衛権によらず、「個別的自衛権の発動などで可能」と指摘した。

 
 もちろん考え方は人それぞれあるワケですから、これらが個別指摘自衛権の範囲内だと主張するコト自体は問題ありません。
 特に(3)が個別自衛権だと言うのはかなり苦しい、むしろこれが個別でいけるなら集団的自衛権なんて概念は必要ないとしか言いようがないのですし、(1)や(4)なんてこれは米軍だけを対象にしているのはなぜか、もしこの概念で個別自衛権が発動出来るならどの国の軍艦だって同じだと言うのが自然であり、むしろ米軍だけを対象にするならそれは集団的自衛権の概念のもとの考え方としか言いようがないのですが、まぁそれでもいいでしょう。
 主張するだけなら自由です。
 
 ただここがどうしてもおかしいのですが、この(1)~(5)が個別的自衛権でOKとするのであれば、それも結局「これまでの政府の憲法解釈の変更」に他ならないハズなんですね。
 
 特に自衛隊をイラクに派兵した時に大きく議論されたコトですが、あの時の議論では結局「隣にいる他国の部隊が敵勢力から攻撃を受けても自衛隊は反撃はできない」というコトで整理されました。
 自民党の国防族の議員さん達(主に石破さんとか)が、これをなんとかできないかと苦心したにも関わらず、どうしてもここを覆すコトはできなかったワケで、ここはもうこうだと今の解釈内では整理されてしまっているんですね。
 ですから(4)と(5)は別にしても、(1)~(3)までのパターンが仮に個別自衛権でも対応可能という法解釈が成り立つと仮定したとしてもですね、どちらにしてもこれは「従来の政府の憲法解釈」を変更するコトに他ならないワケです。
 この辺、公明党としてはどう考えているのか、そして与党としての主張である以上ここの注目の度合いというモノについて疑問としか言いようがありません。
 
 だいたいこの「他国軍が攻撃されたら自分への攻撃と見なす」という考え方自体が集団的自衛権の考え方であって、それを個別自衛権だとする方が強弁でしかないんですね。
 現実を見ずして言葉遊びに終始しているとしか言いようがありません。
 そもそも自衛権の発動とはつまり戦争の開始であり、戦争する権利は国家の固有の権利ではありますが、その上で国連憲章では一応その理由を国連に報告するコトになっていますから、これはもう日本国内だけの問題じゃないんですよ。
 

 米艦防護「集団的」か「個別的」かで自公に溝
 
 また、岩屋氏が指摘したように公明党の主張を“疑問視”する向きも政府・自民党には強い。国連憲章は自衛権を行使した場合、国連安全保障理事会への報告を義務付けており、安倍晋三首相も「自衛権の行使は国際的に説明できなければならない。個別的自衛権と認められないのに個別的自衛権とはいえない。(集団的か、個別的かの)答えを用意しておく必要がある」と指摘してきた。

 
 日本の中だけで「これは個別なんだい」と強弁しても、国連の枠組みで認められなければ全く意味が無いんですね。
 「米軍が攻撃されました。でもそれは日本への攻撃ですから個別自衛権で自衛隊が反撃しました」と説明を国連が受けて、果たしてそれで国際法として納得される説明でしょうか。
 ここまでくると極めて法的な問題であり、主張さえすればいいって問題じゃないんですよね。
 
 もはやいまはアメリカも含めて一国だけで自主防衛できない時代になったのですから、必ずどこかで国際協調しなければならない面は出てくるのです。
 そういう中で、日本だけが日本だけしか通用しない理屈を日本国内だけで並び立てても、全く意味を成しません。
 公明党に限らず、はやく日本国内の「言葉遊び派」は現実に目を向けてほしいところです。
 
 そして、いまの安倍総理が進める集団的自衛権ですら、国際的にはメチャクチャに限定されたモノでしかありません。
 おそらく集団的自衛権の全解除はさすがに憲法改正が必要だとは思いますが、早くその時を迎えなければならないと思います。