「少子化と地方空洞化の解決策について」へのレス

 「やえの掲示板」の方に、「少子化と地方空洞化の解決策について」のご意見を頂きましたので、今日はこちらにレスしたいと思います。
 まずは引用させて頂きます。
 

 少子化と地方空洞化の解決策について考えてみました。
 あまおち総統とやえさんはどのようにお考えでしょう?
 私の考えを記述します。
 
・ベーシックインカム(国籍条項あり)
・地方の産業専門特化と大手企業の移転誘致補助
・大学の淘汰と地方移転補助。できなければ官民共同の職業訓練校の充実(大卒資格)
・起業税金優遇強化
・都道府県レベルの合コン婚活支援
・介護や保育士などの補助資格を原付並の手軽さで取得できること
・保育園に変わる、団地や街単位の子供預かりビジネスの奨励
 
 こんだけやれば地方に若いのが行き渡って、出生率が上がると思いたい。
 子供にかかる金の大半は学費(特に大学と予備校塾)だという事を踏まえると、そもそも4年制大学に行かないとダメ、みたいな風潮こそ何とかすべき。
 MARCH未満の大学は全部淘汰していい。
 変わりに大検資格で全入できる専門教育機関を地方にバラして作るべき。
 その代わり進級が厳しく、サボってると絶対に進級できないようにする。
 地方産業を専門特化させて、そういう専門教育機関の講師を調達しやすくする。
 学費は最初の1年はタダで、2年目以降に学費を払う仕組みが好ましい。
 ※卒業後にその地方に留まっている期間は、地方公共団体が学費ローンを負担する。
 
 いかがでしょうか?

 
 まずベーシックインカムについてのやえの考えなのですが、端的に言えば、やえはアレは反対です。
 金額をどれぐらいにするのかっていうのは議論のあるところなのでしょうけど、しかし結局これって、仕事をしなくても生活できるだけのお金を無条件に配るってお話ですよね。
 正直、これは少子化問題に限らず、この制度を導入して国が良くなるとはやえは全く思えないんです。
 
 わざわざ括弧書きで国籍条項について書かれているので、おそらく生活保護への外国人の不正受給問題を念頭に置いているんだろと思うんですが、しかしこの場合の問題は不正が問題なのであって(もちろん外国人が受け取るコト自体への是非もありますが)、それには外国人も日本人もないんですね。
 不正をする人は日本人だって許せませんよ。
 要はですね、なぜ生活保護とかの不正受給が起きてしまうのかと言えば、結局は働かなくてもリスクを負わなくても書類を出すだけでお金がもらえてしまうシステムそのものにあるんだと思うんです。
 
 やえは生活保護の制度そのものには反対しません。
 国家というモノが、ギリギリのところで国民の生命を守るシステムを持つコトには意味があると思っています。
 しかしそれはあくまで「それなりの理由がある」のが条件です。
 自分の力だけではどうしようもない、そういう限界が見えている人に対して国家が手を差しのべるっていうのは、むしろ国家の本来のあり方だとすら言えるでしょう。
 ですから、そういうギリギリの人向けへの保障制度は残しておくべきです。
 
 でもベーシックインカムって、そういう趣旨じゃないですよね。
 もし国家の予算ってモノが天から無限に降ってくるモノであればこれもいいのでしょうけど、現実はそんなコトはなく、あくまで国民が納めている税金が財源なのですから、誰かがたくさん働いていっぱい税金を納めてこそ通用する制度なんですね、これ。
 それなのに、働かなくても生きていけるお金をもらえる、もしくはかなり低い生産性しかない短時間のお手伝い程度の仕事しかしなくても生きていけるお金がもらえるような社会になってしまうと、これは国家全体としての国力の低下にしかならないのではないかと思うのです。
 特に日本は資源の少ない国です。
 みんなが一所懸命働いているからこそこれだけの国力を持ち得ている国であるのに、そのアドバンテージを自ら捨てるっていうのは、これは間違った選択ではないのでしょうか。
 
 ちょっと少子化の問題から離れたのですが、このような理由からやえはベーシックインカムには反対です。
 以前に生活保護の特集をした時にも書いたのですが、国家がお金を出すのであれば、それは理由を明確にすべきだと思うんですね。
 生活保護を縮小しろっていうと必ず病気の人がいるとかなんとか言う人が出てくるのですが、そもそもやえは、病気理由で働けない人の問題なのであれば病気理由の保障制度を作るべきだと思うんです。
 病気が理由の場合は、それは医師による診断書がひとつの判断基準になり、そしてもちろん病気が治れば働けるようになるワケですから、その保障制度の打ち切りの判断も明確です。
 医師が偽装に加わるとかの場合もあるので不正がゼロになるとは言いませんが、しかしそれはどんな事柄にもシステムを正面から破る行為までをゼロにするコトは難しいワケで、その上でゼロを目指すためにどうするのか、それはある程度のチェック機能(医師は国家資格であるコトや、診断書の発行には医師自身への責任問題にもなるコトなど)を整えるコトがこの際重要なんですね。
 そうやってキチッと専門家のチェック機能が働くよう、国家がお金を出すのであれば、それぞれの理由に即した制度をつくるべきなのです。
 いまのような病気などのその問題の専門家でない役所の窓口の人間が、ありとあらゆる問題に対応してお金を出すっていう今の生活保護制度の方がデタラメであるワケで、まずはここを出していくコトが先なのではないのでしょうか。
 
 こういう点を踏まえた上で、では少子化の問題への対応の仕方ですが、そうですね、全く一律のベーシックインカムには反対ですが、少子化対策という特別の理由に対する何らかの保障というコトでしたら、意味があるコトではないでしょうか。
 簡単に言えば、出産した家庭に一定額の生活保証金を支給するっていう形です。
 これなら、むしろ出産しない家庭との対比も出来て、より高い効果を出すコトができるのではないのでしょうか。
 
 ただしこれは、どこまでも額の問題になってしまいます。
 やえも以前に少子化問題の特集を組んだときにこれについては触れているんですが、結局は「どれだけ出すのか」という点にしかならないと指摘しました。
 例えば女性が出産前に稼いでいた金額+入院費などを足したモノを3年間ぐらいそのまま受け取れるように国家が支給するようにすれば、かなり状況は変わってくるとは思います。
 ただしこれ、国家の予算的に大丈夫でしょうか?
 予算の難しさは、1つの問題だけを考えてしまうと破綻してしまうところにあります。
 確かにこうすれば少子化の問題は解消するかもしれませんが、必ず別の部分にいびつが生じるコトでしょう。
 例えば年金が減るとか、医療費の負担分が増えるとか、役所の窓口が減るとか、信号の故障率が増えるとか、パスポートの発行日数が増えるとか、などなど予算に関わる全ての事柄に影響してきます。
 少子化問題ひとつとれば、さっき言ったような支給額にすれば解決するかもしれませんが、しかしその代償として国家の他の部分に多大なる悪影響が出てしまう可能性が大きいワケで、果たしてそれで国家全体としての利益にキチンとなっているかどうかという部分は考えなければなりません。
 少子化問題を考えるっていう場合においても、必ずそれ以外の部分についても考える必要はあるんですね。
 その上で、では「ベビーインカム」を導入するのであれば、その額をどうするのかっていうのは、おそらくこここそが最大の問題だと言えるでしょう。
 予算は無限ではないのです。
 
 そしてここが少子化問題の一番の難しさでもあるのかもしれません。
 お金を突っ込めばある程度どうにかなりそうっていうのは誰しもが考えますし納得するところなんだろうと思うんですが、結局はその額をどうするのかっていう部分に決着点が見えないんですね。
 ハッキリ言ってしまえば、やえにも分かりません。
 これはどこに基準を置くのかっていう部分なのかもしれませんけどね。
 女性のお給料を保障するっていう視点か、出産育児に関するお金を負担するかっていう視点か、もしくは旦那さんの方の給料を上げる(もしくは税金を下げる)っていう視点か、この辺で変わってくるかもしれません。
 どういう視点が一番「効果的」でしょうか。
 
 
 というワケで、ちょっと長くなってしまいましたので、他の項目については次につづくというコトにさせてください。
 
 (つづく)